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社説 リスキリングに本腰を入れよ

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 社員に今後必要なスキルを再教育で習得させるリスキリング(学び直し)が、企業の人材戦略で重要課題となっている。とりわけ、デジタル化の波が押し寄せる金融界では対応が待ったなしだ。政府は5年間で1兆円を投じ、企業を後押しする方針を打ち出した。社員のリスキリング支援を通じた競争力強化の好機と捉え、学びやすい環境整備に本腰を入れてほしい。
 先行するのが「DX人材」の育成に力を入れる大手金融機関だ。三菱UFJフィナンシャル・グループなどメガバンクや保険会社では、全社員のデジタルリテラシー向上を目的とした育成プログラムの導入が目立つ。
 背景には大きく二つある。一つはDX人材の獲得は競争が激しく、自社でスキルを習得させることで採用コストを抑えられる点。もう一つは店舗の削減や事務合理化に伴う余剰人員の配置転換を円滑に進めることだ。デジタル活用による事務の省人化が進むなか、職務の見直しを迫られる事務担当者を再戦力化することが主眼にある。
 デジタル化の急速な進展によって早晩、金融界全体がこうしたリスキリングへの対応を迫られよう。異業種との競争環境も厳しくなるなか、変化に応じた人材の再教育・再活用は不可欠と言える。
 学び直しを全社的に進めるには、会社が求める能力・技能を示した「スキルマップ」の策定・公開が有効だ。必要なスキルを“可視化”することで、社員は今後の成長目標やキャリアへの道筋が把握でき、仕事へのモチベーション向上につながるためだ。
 一方、社員のリスキリングは自社のDX化にとどまらない。デジタルに関する知見に乏しい中小企業の顧客向けサポートに役立てられ、地域のデジタル化推進という社会課題解決にも資する。金融機関の経営層は働き手の能力を引き出すリスキリング支援を企業変革に加え、地域貢献につなげる観点で臨んでほしい。2022.11.4


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