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社説 「2ブランド」の相乗効果を

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 横浜銀行は2月3日、株式公開買い付け(TOB)によって神奈川銀行を完全子会社化することを正式に発表した。同一県内の地方銀行と第二地方銀行が、互いのブランドを維持したまま経営統合する事例が増えている。2021年10月に福井銀行が福邦銀行を子会社化し、23年10月には福岡銀行と同じグループの傘下に福岡中央銀行が入る。銀行間の規模の差が大きい組み合わせの再編では、合併には踏み込まない「2ブランド戦略」の利点が浮かび上がる。各県内の金融システムの安定を図る観点から、新たな「大と小」の組み合わせによるシナジー効果に期待したい。
 銀行業は「規模の経済」が働きやすい業種であり、その差が小さい県内再編では合併を選ぶ事例が多い。実際、20年以降の9件の県内再編(予定を含む)のうち、6件が合併を選択した。一方、先述した3件の経営統合は規模の差が顕著だ。それぞれの預金量を比較すると、横浜銀が神奈川銀の36倍、福岡銀が福岡中央銀の26倍、福井銀が福邦銀の6倍。いずれも、規模では劣る第二地銀が中小・零細企業や個人事業主との取引に強みを持つという共通点がある。
 2ブランドのメリットとしては、中堅以上と中小以下で異なる企業ニーズに合わせたきめ細かな対応が可能だ。また、第二地銀側は有力地銀のグループに入ることで信用力が増す効果や、銀行事務の共同化などを通じてコスト削減の余地も生まれる。
 さらに、地銀のコンサルティング機能や専門子会社を活用すれば、より付加価値の高いサービスを中小企業に提供できる。一方で、県内トップの地銀には「アンチの企業も一定数いる」(地銀関係者)のが常であり、取引先の選択肢が維持される2ブランド路線はアンチ層にも不安や動揺を与えない。
 今回の再編でも「1県1グループ」体制の下で互いの強みを生かし、取引先支援の高度化に取り組んでほしい。2023.2.10


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