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社説 電子化見据えインボイス支援を

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 消費税の適用税率と税額を正確に記載するインボイス(適格請求書)制度の開始まで2カ月を切った。官民の呼びかけが功を奏し、約300万の課税事業者の登録率は6月末に9割を超えた。残る個人事業主やフリーランスが多い免税事業者からの移行組も2023年に入り急増している。金融機関は取引先の対応を把握し、10月以降に経営に影響が出ないよう万全を期してもらいたい。
 12月末までに必要な改正電子帳簿保存法の電子データ保存対応を考えれば経理事務をデジタル化する好機でもあり将来を見越して支援する必要がある。インボイス対応も適用されるIT補助金など有用情報を伝え、取引先の業務効率化を後押ししてほしい。
 免税対象の零細事業者が課税事業者になれば税額を考慮した価格を見直す必要が出てくる。一方、免税事業者のままでは取引を打ち切られるとの心配は根強い。発注先が価格交渉に応じないケースや消費税相当額を支払わない場合も想定される。
 政府は独占禁止法や下請法の違反例を示し、注意喚起に動いているが、目が届かない可能性はある。金融機関は幅広い層の顧客を抱えており、制度開始以降の取引状況にも目配りすべきだ。問題があれば一緒に解決策を考える親身な姿勢を忘れないでほしい。
 企業の経理事務はインボイス制度開始と残り4カ月余りに迫る電帳法の経過措置終了を機に大きく変わる。従来の仕組みを変革する好機だ。遅れる中小企業のデジタル化を促進する「最後の機会」と捉える向きもある。
 政府と銀行界は受発注に伴う売掛金の消し込み自動化を目指している。全国銀行資金決済ネットワークは、インボイス情報をシステムに取り込めるデジタルインボイス対応の金融EDI(電子データ交換)情報の標準規格を策定しており、低迷する全銀EDIシステムの普及へ起爆剤となることを期待したい。2023.8.18


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