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社説 全銀システム障害の教訓生かせ

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 10月10日朝、全国の金融機関が資金決済に使う全銀システム(全国銀行データ通信システム)に障害が発生した。三菱UFJ銀行やりそな銀行、山口銀行など10金融機関で振り込みができなくなり、暫定的な復旧まで丸2日かかった。決済システムの担い手としてあってはならない事態だ。遠因も含めて分析し、教訓を再発防止に生かすべきだ。失いかけた信頼を早期に取り戻してほしい。
 1973年の稼働以降で初めて銀行利用者に影響をもたらすトラブルになった。両日に受け付けた仕向け分255万件のうち、障害2日目の15時半までに着金できなかった振り込みは87万件に達した。他行などから送られる被仕向け分251万件でも多くの遅延が発生した。東京都や愛知県にある地方自治体で児童手当の着金が遅れるなど影響は広範囲に及んだ。
 障害は各金融機関とつなぐ中継コンピューター(RC)の入れ替えに伴って起きた。銀行間の手数料である内国為替制度運営費をチェックするプログラムが正常に動かなくなったのが要因。振り込みができなくなった銀行などはRC更改の第1陣だった。新機種への入れ替えは2029年まで続く予定で、万全を期してほしい。
 バックアップを含めたRC2台の更改を同時に行い、トラブル時に本来の機能を発揮できなかった。この手法が適切なのか十分な検証が必要になる。さらに、問題を洗い出せなかった事前テストの点検項目も徹底して分析すべきだろう。
 システムトラブルは完全に防ぐことが難しい。不具合が起きることを前提に「想定外」を減らす対策が重要なことは言うまでもない。
 運営する全国銀行資金ネットワーク(全銀ネット)は27年に次期システムの稼働を予定する。移行の難易度は今回より格段に高くなる。再発防止へ議論とチェックを尽くすのが信頼回復の近道になる。2023.10.20


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