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社説 能登地震、金融機能で支えを

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 悪夢のような元日からおよそ2週間がたった。最大震度7の地震に襲われた能登半島では今も余震が続く。交通や通信などの回復が遅れ、支援の手が行き届いていない集落もある。復旧・復興には数年単位の長い期間を要するだろう。被災地の再建には、速やかな財政支援と息の長い金融仲介機能の後押しがいる。
 金融機関も大きな打撃を受けた。金融庁の調べでは、1月8日時点で10金融機関の40店舗が休業を余儀なくされるほどの甚大な被害だった。各金融機関は店舗再開に向けた復旧作業と並行して、休日も含めた相談窓口の設置など被災者支援に奔走している。
 今回の地震で壊滅的な被害を受けた珠洲市や輪島市などの奥能登地域は、以前から地域経済の衰退に苦しんできた。奥能登4市町の高齢化率は48.9%(2020年)。最新の人口推計では、50年に珠洲市と能登町の人口は20年比で4割未満に落ち込む。超高齢化や人口減という日本の将来を先取りする「課題先進地域」とされてきたゆえんだ。
 震災は、過疎の地域が抱える社会的課題を一気に顕在化させかねない。珠洲市では「市内の6千世帯のうち9割が全壊またはほぼ全壊だ」(泉谷満寿裕市長)という。高齢世帯が自力で住宅を再建するのはハードルが高く、純粋な民間の金融支援だけでは再建が見通せない。被災者の生活を立て直すには手厚い公的支援が必要となる。まずは仮設住宅の着工が急務だが、国や県はその先も見据えた財政支援を検討すべきだ。
 生活インフラの復旧後は、事業者支援が課題となる。手をこまぬけば観光関連や地場産業の事業継続が危ぶまれる。雇用の減少は、人口流出を助長しかねない。国は金融機能強化法に基づく公的資金の活用も視野に入れ、被災地の金融機関のリスク許容度を高める準備を急ぐ必要がある。被災地の復興には、地域に根差した金融仲介機能の持続的な発揮が欠かせない。2024.1.12


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