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社説 早期再生へ“先手”打つ局面だ

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 全国銀行協会は、中小企業の事業再生を支援するためのガイドライン(指針)を改定した。将来の経営悪化を予兆管理し、先を見据えた早期支援を金融機関に促すことが柱だ。実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資の返済本格化に伴い、過剰債務を抱える企業の倒産は増えている。抜本的な再生に猶予はない。指針の改定を機に、伴走支援の深掘りを急いでほしい。
 2022年4月に運用が始まった再生支援指針は、コロナ禍で苦境に立つ事業者の債務整理の円滑化が主眼だ。再起しやすいように法的手続きでなく債権者による私的整理スキームを整えた。帝国データバンクによると、23年9月末までの1年半で利用は145件と増えつつある。
 一方で、ゼロゼロ融資利用後の倒産件数は23年に631件と前年比4割増加(東京商工リサーチ)。4月には再び民間金融機関分の返済が集中するのに加え、今後は借入金利の上昇も見込まれる。それだけに指針の利用・普及が急がれるが、事業者側の危機感が薄く取引金融機関への相談が遅れて再生が難しくなる事案も多いという。
 改定では、金融機関が早めの再生計画策定・実行を働きかけるよう明記した。資金繰りだけでなく事業再構築へ“先手”を打ち主体的支援に動く局面だ。経営悪化の兆候を把握した段階で事業者の実情に応じた支援メニューを提示してほしい。金融庁はスポンサー企業への事業譲渡や転・廃業支援など活用例を公表しており、参考になろう。
 足元では人手不足や原材料高など不透明な事業環境が続く。新指針では弁護士など実務専門家を含む関係者と「平時」からの一層の連携が盛り込まれた。貸出先のモニタリング強化の観点からも対応の徹底が求められる。
 再生支援の実効性を高めるために行職員へのインセンティブも重要。経営改善の取り組みを適切に評価する体系となっているか点検が必要だ。2024.1.26


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