社説 地域の将来見据え先手を
フィデアホールディングス(HD)傘下の北都銀行と荘内銀行が、2026年度中の合併に向け検討を始めた。北都銀は秋田県秋田市、荘内銀は山形県鶴岡市に本店を構えており、実現すれば東北地区で初の県をまたぐ広域地方銀行が誕生する。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2050年に秋田県の人口は56万人、山形県は71万人に減るとされており、将来的な経済規模を考えれば、合併は合理的な選択と言えよう。一部にあるリレーション低下などの懸念を払拭(ふっしょく)し、標榜する「地域のために地域とともに成長する新しい広域地方銀行」の実現に努めてもらいたい。
フィデアHDの新野正博社長は合併を検討する理由の一つに「規模の小さい銀行が併存することの限界が見えてきた」ことを挙げた。合併すれば、規模の利益が期待できるほか、効率化も進めやすくなる。ただ、それだけで終われば、地域のステークホルダーの理解は得られまい。合併したからこそできる地域経済・社会を支える取り組みが求められる。
近年の地域銀再編は、肥後銀行と鹿児島銀行のような隣県銀行の持ち株会社方式による経営統合、十八銀行と親和銀行のような県内地銀の合併、福井銀行と福邦銀行にみられる県内地銀と第二地方銀行の統合・合併など多様な形態で進んできた。このほかにアライアンスで効率化を目指す動きもある。
いずれも一長一短あり、最適解を絞ることは難しいが、一連の動きの背景に人口減少という避け難い問題が横たわっていることは明らかだ。
人口問題研究所の推計によれば、50年に20年比で人口が増加するのは東京都のみ。11県では30年間で30%以上減ると見込まれている。地域銀行に限らず信用金庫、信用組合を含めて地域金融機関は、縮む地域の将来を見据えて、先手を打って対応していくことが重要だ。2024.2.9
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