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社説 株高持続へ企業変革を支えよ

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 日本株市場が大きな節目を迎えた。2月22日、日経平均株価がバブル期以来の史上最高値を更新。堅調な企業収益を背景とした海外投資家の買いが原動力となっている。ただ、足元では米国株の上昇や円安が押し上げている面もある。株高を持続させるには、企業が中長期的な目線で事業構造改革を進めることが不可欠。金融機関はそのサポートに尽力してもらいたい。
 「バブル期と違う」。今回の株高は前回と“中身”が異なると評価する声は多い。確かに今の株価収益率(PER)は約16倍と当時からは大きく低下。割高といえる水準ではない。景気回復による企業業績の拡大期待から資金が流れ込んでいるのだが、外部環境の存在も忘れてはならない。
 年初からの株高は景気減速する中国からの資金シフトが要因と指摘されるほか、今回の最高値も米半導体大手エヌビディアの好決算に伴う米国株上昇が背景にある。円安も海外投資家にとって日本株が割安となり買われやすい。こうした要因が剥落(はくらく)すれば、日本株には逆風となろう。
 投資家の資金を今後も引きつけるには、企業価値を高める地道な取り組みが肝要だ。特に上場企業との取引シェアが高い大手銀行の役割は大きい。デジタル化や株価純資産倍率(PBR)改善を後押しする資金供給、知見の提供などで力量を発揮してほしい。
 三菱UFJフィナンシャル・グループは銀行や信託など傘下5社が一体となって投資先企業との対話を強化。気候変動対応などサステナビリティ領域の課題を共有し、企業価値向上を支援している。
 産業の新陳代謝も重要だ。スタートアップ企業が相次いで誕生する環境が整えば、経済全体の生産性や活力が高まり、ひいては内外投資家の資金を引き寄せる好循環が生まれる。不動産担保や経営者保証に依存しない「事業成長担保権」の創設で、起業・創業の支援が広がる呼び水になることを期待したい。2024.3.1


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