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社説 女性役員3割の早期実現を

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 経営のかじ取りを担う取締役会メンバーの多様性を高め、組織の意思決定にさまざまな発想を取り入れることは、企業価値の向上につながる。多様な顧客を抱える金融機関は、他産業に先駆けて女性役員登用のスピードを速め、環境変化に備えるべきだ。
 政府は昨年、2030年までにプライム上場企業の女性役員比率を30%以上にする目標を掲げた。いまだに多くの分野で、女性に不利な男女格差が存在する。それらが解消されるまでは、数値目標を掲げて積極的な格差是正措置を講じることには意義がある。
 集団には、少数派が無視できない存在になる数的分岐点があり、その割合を超えたグループを「クリティカル・マス」と呼ぶ。女性役員3割はその一つの目安となる。
 銀行でも女性役員が増えてきたのは事実だ。しかし、東京証券取引所に上場する銀行の女性役員比率は約12%(23年度)にとどまり、プライム平均の13.4%に劣る。海外との差はさらに大きく、日本を除くG7諸国は平均39%、OECD諸国は同30%だ。
 現状、女性役員の大半を社外人材が占めており、女性比率を高めるには内部登用が欠かせない。4月に三井住友銀行が副頭取に、6月には山陰合同銀行が代表取締役専務執行役員に、それぞれ生え抜きの女性を充てる。前者はメガバンク初、後者は地方銀行初の事例となる。こうした人事が一日も早くありふれたニュースになることを望む。
 女性登用をプライム企業に限る必要はない。非上場の協同組織金融機関も含め、多様な意見を組織の成長やサービス向上に役立てるべきだ。
 女性取締役が1人もいない企業の株主総会で経営トップ選任に反対票を投じる機関投資家も増えている。金融機関には、機関投資家として議決権をどう行使するかという決断が求められる。株主の立場から他産業の背中を押すことは、多様性のある社会の実現へ一石を投じることになる。2024.3.22


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