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社説 地域銀行の新中計、前面に立つ覚悟を

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 地域銀行が、2024年度スタートの中期経営計画を相次ぎ発表している。ここ数年、地域全体の経済指標などを、銀行の成果指標(KPI)として掲げる銀行が増えており、その傾向がより強まった。具体的な指標としては、県域の経済成長率や温室効果ガス削減量などが目立つ。
 3メガバンクで唯一、24年度開始の新中計を策定した三菱UFJフィナンシャル・グループは、21年に定義した「世界が進むチカラになる」というパーパス(目的)に基づき、「成長を取りにいく」という基本方針を掲げた。地域銀も海外の成長を取り込むことは可能だが、基本的には地元経済と自行の経営基盤の浮沈が軌を一にする側面が強い。
 地域銀の武器は営業エリアを覆うネットワークであり、地域の成長戦略や環境対策の旗振り役に転じれば、影響力は大きい。行政機関や地域の中核企業と一緒に、人口減少や低成長などの地域課題に挑む前面に立ってほしい。競合する金融機関も地域振興の使命は共通しており、ライバル同士であっても目標達成のために手を組むべきだ。
 5年間の新中計を策定したひろぎんホールディングスは、若手16人からなるタスクフォースが10年後の目指す未来像を提言し、その未来像から逆算して、取締役会を中心に新中計を議論した。保守的な銀行界では珍しいアプローチであり、過去の成功体験が通用しない変革期にあっては価値ある挑戦だろう。
 デジタルトランスフォーメーション(DX)戦略では、取引履歴や顧客情報などの膨大なデータを総合的に分析できるシステム基盤を整え、最適な営業提案や商品・サービスの向上に生かす試みが次の潮流となりそうだ。大手地方銀行は基盤の構築に動き始めており、滋賀銀行も新中計にプロジェクトチームの設置を盛り込んだ。デジタル時代の優勝劣敗は戦略的なシステム投資がカギとなるだけに、今後の動向を注視したい。2024.4.12


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