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社説 好業績テコに支援のギア上げよ

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 銀行の「稼ぐ力」が回復している。2024年3月期は3メガバンクグループ(G)の連結純利益合計が3兆円を超え、地域銀行も50行超で増益となった。超低金利下で進めてきた収益構造改革の成果が表れてきた。一方で足元の景気は力強さを欠き、人手不足などで苦境の中小企業も多い。収益力を高めた銀行は、企業へのリスクマネー供給や生産性向上といった支援のギアを上げてほしい。  3メガGは実質業務純益を2割伸ばしたことが大きい。低採算のリスク資産圧縮や海外貸出スプレッド改善など、ここ数年の取り組みに円安効果が加わった。地域銀は有価証券ポートフォリオ見直しによる評価損益改善や、法人向け手数料収入の拡大が進展。今後は国内金利の上昇で利ざや拡大も見込める。  こうした本業収益力の回復を、経済活性化の後押しにつなげることが求められる。新興企業へのリスクマネー拡大策として、金融庁は銀行グループによる事業会社への出資規制を緩和。設立10年以上の企業にも5%超の出資が可能となる。若い企業への資金の流れに弾みがつくよう、積極的な取り組みを期待したい。  三菱UFJフィナンシャル・グループは新中期経営計画で支援先のスタートアップの時価総額を20兆円に増やす目標を掲げた。投資額よりも企業価値向上に重点を置いた戦略であり、注目される。  深刻化する中小企業の人手不足対策も喫緊の課題だ。帝国データバンクの4月調査では、正社員が不足する企業の割合は51%と高止まりが続き、業績の下振れ要因トップに挙がった。内閣府は取引先のデジタル化に向けたコンサルティングに伴走する銀行などに補助金を出す事業を始めた。こうした制度も活用し、企業の生産性向上を側面サポートしてほしい。賃上げの裾野拡大にもつながる。自行とともに成長する企業をいかに増やすか。収益拡大基調が強まる銀行の真価が問われる。2024.5.24


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