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社説 株主との対話 平時から深めよ

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 金融界の株主総会が6月14日から始まった。東京証券取引所が上場企業に要請した資本効率の改善などガバナンス改革を問う株主の圧力は一段と強まっている。経営陣は緊張感を持って建設的な対話に臨んでほしい。ただ、株主と意思疎通する機会は総会に限らない。平時から積極的な情報発信に努め、経営方針の理解を得ることが重要だ。
 株主の関心はPBR(株価純資産倍率)改善策や環境対策、女性役員の登用、サイバーセキュリティーへの対処など多岐にわたる。質問には経営の考え方を明確に示し、通り一遍の回答に終始することなく丁寧に説明してほしい。
 近年目立つのは「物言う株主」と言われるアクティビストや機関投資家からの提案だ。三菱UFJ信託銀行によると、6月総会で株主提案を受ける上場企業は91社(336議案)と過去最多で、金融界でも12社(69議案)に上る。
 最近は以前のような極端な要求でなく、株主の不満を代弁しているとして支持を得るケースが増えている。また従来、安定株主だった資産運用会社などが議決権行使の基準を厳しくしており、総会で否決されても相応の賛成率を獲得する提案が少なくない。
 重要なのは、株主構成の多くを占める中長期投資家から共感を得られるビジョンを発信することだ。アクティビストの高い要求に満たなくても「メインストリームの機関投資家が要望する最低限の開示、ガバナンス体制を示せるか」(信託銀)が肝要だ。
 こうした機関投資家とは総会の場だけでなく、普段からSR(シェアホルダー・リレーションズ)活動を通じ、信頼関係を強めておきたい。仮に株主総会で会社議案に反対された場合は、総会後に面談するなどして懸念の払拭(ふっしょく)に努める必要があろう。
 自社の経営が株式市場からどう見られ、企業価値向上に何が求められているのか。常日頃から株主と緊密に対話し探ってもらいたい。2024.6.21


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