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社説 金融行政方針、組織横断で実践を

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  金融庁は8月30日、2024事務年度(24年7月~25年6月)の金融行政方針を公表した。15年に最初に策定してから10回目となる。以前は金融監督部門と金融検査部門が別々に当該事務年度の方針を作っていたが、14年に一本化し、15年からは両部門以外も含めた庁全体の取り組みを公表するようになった。その背景には、庁内の縦割りを排し、組織横断で諸課題に臨む姿勢を示す意味があった。
 同庁は26年春の施行を目指す事業性融資推進法の細部を詰めるため、7月に部局横断のプロジェクトチームを立ち上げた。新設される企業価値担保権の活用を金融機関に促すには、与信審査や期中管理、引き当てなど実務上の課題を整理する必要がある。施行前の金融機関の準備期間を考慮すれば、24事務年度中の検討作業が重要となる。
 同庁が規制緩和を進めてきた結果、金融機関側の業態の垣根も低くなっている。インターネット専業を含む大手銀行・証券などの金融グループは傘下に複数業態を抱え、海外業務のウェートも高まっている。そのため、庁内の部門間連携を深め、グループ経営に対する監督を強化する姿勢を新たに打ち出した。同一グループの銀証間での顧客情報漏洩(ろうえい)や、大手保険会社グループの不祥事が相次ぎ表面化しており、グループガバナンスの強化は喫緊の課題だろう。
 「金利ある世界」の本格的な到来に備えてリスクの点検は必要だが、現在は国内金融機関の健全性への不安は少ない。こういう時期こそ、時代の変化や将来を見据えた制度整備を進めてほしい。
 実際、金融行政方針のメニューには、資産運用立国に向けた資産運用ビジネスの高度化、気候変動問題に対処するサステナビリティ情報の開示方法の検討、生成人工知能(AI)活用のための環境整備などが並ぶ。6月に「金融・資産運用特区」に指定された4地域での試行も含め、効果的な規制緩和を期待したい。2024.9.6


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