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社説 内部監査に経営は主体的関与を

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  金融庁は9月10日、金融機関の内部監査に関するモニタリングレポートを公表した。高度化への取り組みは進展が確認できた一方、その度合いに大きな差異が見られると指摘している。金利の復活や地政学リスクの高まりなど経営環境が変化するなか、適切にリスク管理して事業展開するために内部監査機能の発揮は欠かせない。経営陣は主体的な関与が必要だ。
 今回のレポートでは各業態の好事例が多く示された。例えば地域金融機関では、本部が高い営業目標を掲げたことで「顧客トラブル、職員の疲弊」などの弊害があることを内部監査部門が取締役会に報告した結果、目標数値の引き下げにつながった。またAI(人工知能)を活用し、高リスク分野を監査員が重点的に検証した事例(証券・保険)などもある。積極的な取り組みは参考にしてほしい。
 他方、進展していない金融機関では経営陣と内部監査部門との間で経営戦略やリスク認識などに関するコミュニケーションが不足し、監査の高度化に向けた議論が進んでいないなどの課題が指摘された。金融庁は規模の大小ではなく、「経営陣の意識の差が大きい」と強調する。
 実際、地域金融機関では内部監査が営業店の事務不備監査にとどまっているところが少なくない。業績目標を追う営業店向けに牽制(けんせい)機能を働かせるだけで「検査からの脱却」ができていない。
 また監査部門の多くが依然、支店長経験者などベテラン職員の出向待機ポストと位置づけられ、経営陣に助言できる人材配置が広がっていない。内部監査の充実が求められてから20年以上経つが、「いまだにコストセンターと捉える向きが根強い」(内部監査の専門家)という。経営陣の意識改革が不可欠である。
 不祥事など顧客の信頼を失いかねないリスクの低減にとどまらず、企業価値向上につなげる取り組みとして内部監査の高度化を進めてほしい。2024.9.27


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