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社説 再利上げ交渉、対話で納得感を

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 日本銀行の政策金利0.5%への追加利上げを受け、金融機関で短期プライムレートの再改定が相次いでいる。昨年8~10月の改定時は貸出金利引き上げがおおむね順調に進んだが、今回は短期間での再交渉となる。賃上げを迫られる中小企業などでは財務負担増から難航も予想される。丁寧な説明や経営課題の解決提案など、対話を通じ融資先の納得感を高めてほしい。  本紙が昨年12月に地域銀行を対象に行った調査によると、65%の銀行が前回の短プラ改定に伴う貸出金利引き上げを「9割以上」実現できたと回答。日銀のマイナス金利解除が周知されたこともあり、ベース金利の上昇に理解を示した企業が多かったとみられる。  だが、短期間でのさらなる引き上げは難易度が上がる。中小企業では人手不足を背景に業績改善を伴わない防衛的な賃上げが目立ち、製造業などでは価格転嫁が物価上昇に追い付かない先も多い。そこへ利払い負担が重なれば利益が圧迫される。金利を個別に決める固定金利型貸出では、より難しい交渉となる。  貸出金利を十分に引き上げられなければ、先行する預金金利上昇分をカバーできず預貸金利ざやが縮小する懸念も出てくる。日銀は利上げ継続の姿勢を示しており、政策金利1%も視野に入る。再交渉の成否は「金利ある世界」を追い風にできるかどうかの重要な試金石となろう。  現場での交渉は年度末を控えた時期と重なり、企業にとっては運転・設備資金の計画を策定するタイミング。事業内容や業績に踏み込んだヒアリングで経営課題やニーズを丹念に探ることが重要だ。販路開拓やデジタル化による生産性向上といった本業支援策を提案できれば、利上げの説得力は増す。結果的に企業の金利上昇への耐性も高まる。  金融機関と融資先の双方がメリットを享受できる関係性を長期的に構築できるか、真価が問われる。2025.2.7


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