3月16日号 API公開、利用者保護優先で
3月1日までに、大手銀行や地域銀行の全行が、API公開のための連携・協働の方針を公表した。全国銀行協会は「オープンAPIのあり方に関する検討会」の報告書をまとめ、標準化を明示。金融情報システムセンターは「API接続先チェックリスト」を作成。メガバンクなどではすでにAPIを公開しており、新たなサービスが登場しているが、内容は似ている。独創的でかつ、収益につながるかが今後の発展のカギとなる。
一方、セキュリティーなど新たなリスクが指摘されていることを十分に留意すべきだ。電子決済等代行業者の接続先企業もレベルを高めているが、他の企業を経由して金融機関の情報を活用したサービスが提供されることで、データ改ざんや情報流出の恐れがある。API接続先のシステムダウンにより、利用者が取引不能になることも想定される。また、提供先から他の企業へ接続する「API連鎖接続」では、提供先の責任と管理を求めるなど金融機関の事前審査やモニタリングも必要だ。
利用者に対する対応では、誤解や誤認の防止のほか、問い合わせや相談などを受け付ける体制整備が求められる。また、こうした取り組みを担う人材を確保することも課題である。
新しい金融サービスは業界内だけで完結する時代は終わり、他業界との連携・協働が欠かせない。オープンAPIのリスクを認識し、課題を克服して、「安全・安心で利便性の高い金融新時代」を築いてもらいたい。2018.3.16
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