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社説 5月25日号 採用の時期・方法を弾力的に

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 2019年度の新卒採用の選考活動が日本経済団体連合会(経団連)の指針に基づき、6月1日に解禁される。だがリクルートの調査では19年3月卒業予定の大卒求人倍率は1.88倍と7年連続で上昇。超売り手市場の下、既に事実上の内定を出す企業が多いのが実態だ。一方、メガバンクの人員削減やフィンテックによる業務効率化、マイナス金利の影響で金融の就職人気は低下。地域金融機関には強い逆風が吹くなか、学生の“質”はもとより“量”の確保も課題となる。変化の時代に合わせ採用の弾力化を急ぐべきだ。
 本紙が主要162金融機関を対象に行った調査では、18年度新卒採用者は合計約1万6800人で17年度比13%減少。デジタル化で業務量削減を進める大手行の減少幅が約1400人と大きく、メガバンクは19年度採用もさらに絞り込む。一方、一定数を継続採用する地域金融機関はエントリー数の減少や複数の内定を得る学生の増加から「採用予定人数の確保は相当難しい」(第二地方銀行)など苦戦が予想される。
 そのため採用活動は春の新卒一括採用にこだわらず、多様性を持たせるべきだ。秋採用や期間に縛られない通年採用もある。既卒者や留学経験者など幅広い人材も募集でき、採用担当者の時間的余裕も生まれる。学生の併願が多くなる一括採用に比べ内定辞退を抑えられる効果が期待できる。
 選考方法の工夫も必要。例えば採用段階から募集職種を明確にすることも考えられる。全国銀行員組合連合会議(全銀連合)が16年度に行った離職率調査では、過去5年間の入行者の平均約2割が離職した。こうした若手の早期離職は仕事内容や条件面など採用時のミスマッチも一因とみられ、最初に明確にしておけば防げる可能性は高い。
 求める人材を確保するためインターンシップを充実して学生との接触機会を増やしたり、若手を公募して面接官に抜てきする銀行もある。組織の魅力や仕事のやりがいを分かりやすく学生に伝えることが重要だ。採用難の今こそ、選考のあり方を見直す機会にしてほしい。2018.5.25


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