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社説 期待されるESG融資推進

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 金融界の代表者らを集め議論してきた環境省のESG懇談会は7月27日、「ESG金融大国を目指す」とする提言をまとめた。環境・社会・ガバナンスを考慮した投融資は世界的な潮流だ。日本は出遅れ感もあるだけに、各金融機関が、それぞれの特性に合わせてESG投融資に取り組んでもらいたい。
 今回の提言には直接金融だけでなく、間接金融における推進が不可欠との考えが盛り込まれた。期待されるのは気候変動リスクへの対応などだ。メガバンクや生命保険会社は脱炭素社会の実現に向け、石炭火力発電への融資を厳格化する方針を打ち出している。ただ、持続可能な社会を実現していくには、地球温暖化につながる融資を制限するだけでなく、環境負荷の低い再生可能エネルギーへの転換を後押しする融資への取り組みが欠かせない。日本企業の優れた脱炭素技術が生かせる海外のプロジェクトを、金融面から支援していくことも一つだ。
 地域金融機関には取引先にESGを意識した経営を促す役割が期待される。ESG経営で非財務面の評価が高まれば、当該企業の事業拡大だけでなく、金融機関にとっても新たな収益機会が生まれる。環境に配慮した設備向け融資の金利を優遇するなどの対応は徐々に広がっている。これらをさらに深化・加速させていくことが大事だ。今後、ESGに後ろ向きな企業は商品の納入を断られたり、制限されたりするリスクがあることを認識しておく必要がある。
 また、地域社会の持続性を高めるため、障がい者の就労支援や生活困窮者の自立支援など社会的課題の解決に資するソーシャルビジネスを支える金融にも積極的に取り組むべきだ。日本政策金融公庫は、2017年度に1万819件のソーシャル関連ビジネス融資を実行しており、うち1529件は民間金融機関との協調融資だった。融資実績の乏しいNPO(非営利団体)組織も少なくないだけに、ノウハウを共有しながら、地道に広げてほしい。環境保護をテーマにした投資信託など金融商品の開発・販売も地域の環境意識向上につながる。2018.8.3


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