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社説 過去の常識に固執せず決断を

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 地域銀行の動きが慌ただしい。横浜銀行と千葉銀行の連携に続き、ふくおかフィナンシャルグループ(FG)はスマートフォン専用のモバイル専業銀行の立ち上げを明らかにした。また、島根銀行は、SBIグループから25億円の出資を仰ぎ、経営再建を目指すことを決めた。県内2行体制の福井銀行と福邦銀行が手を組むのも異例だ。窮余の選択に見えるところが一部あるのは事実だが、持続可能性を高める一手と受け止めたい。地域銀を取り巻く経営環境は厳しさを増しており、殻を破る決断の重要性は高まっている。
 一連の新たな動きに共通するのは、過去の常識にとらわれない点だ。ふくおかFGのモバイル銀戦略はデジタル化の波による消費者の行動様式を踏まえたもので先を見越した一手だ。地域を問わずサービスを提供できる点では、地域銀の性格を変える要素を持ち合わせている。
 島根銀も苦境を脱するためとはいえ、これまでになかった道を選んだ。従来、経営が悪化した場合、近隣銀行との合併・経営統合、あるいは国の資本支援を求めるケースがほとんどだった。インターネット金融サービスに強いSBIグループとの相乗効果で、新たな戦略を描ける可能性はある。
 福井銀と福邦銀が目指す県内競合店舗の同一支店内営業も例がない。広がる昼休業では難しい物件費削減が見込める。事務の共同化も進めるとしており、効率化の成果を地元への還元で示すことができれば、経営統合以外の有力な選択肢となる。
 地域銀が銀行機能を持って地域経済の発展を支えてきたことは事実だ。今後もその役割は重要だろうが、それだけで地方経済の縮小に立ち向かうのは難しい。インターネットやデジタル技術を活用し、地域の枠を広げるのも一つだろう。逆に地域活性化につながる銀行業務以外の機能を充実させ、従来以上に地域を支えていく姿勢を鮮明にすることも考えられる。いずれにしろ経営トップは今後の生き方を明確に示す必要がある。そうでなければ、地域・利用者の支持を得られないだけでなく、行員が安心できない。2019.9.27


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