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社説 銀行間手数料は幅広く議論を

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 銀行界が高止まり批判のある銀行間手数料の見直しに動き始めた。政府の未来投資会議がキャッシュレス決済普及の妨げになっているとして是正を求めたものだ。厳しい指摘を受け止め、コストに見合う合理性のある水準を探る努力が必要。一方で手数料の引き下げは金融機関収益のほか、全国銀行データ通信システム(全銀システム)の安全性にも影響を及ぼしかねない。幅広い観点から主体的に議論を進めてほしい。
 見直しのきっかけは公正取引委員会が4月に発表した報告書。3万円未満の送金で117円、3万円以上で162円という銀行間手数料が40年以上も固定化された上、事務処理コスト(試算値)を上回っている点を問題視した。まずは送金で発生するコストの透明化が求められる。
 手数料の契約方法も改める必要がある。全銀システムに接続する約1200の金融機関が相対で決めるのは現実的ではない。システムを運営する全銀ネットが統一的な利用料を定める仕組みに変えるという案は妥当と言えよう。
 ただ、引き下げる際の影響には留意すべきだ。特に被仕向行となる場合が多い地域金融機関にとっては仕向行からの手数料収入が減少する。全体のバランスを踏まえた調整が大事になる。見直しを契機に口座維持や公金の手数料有料化など、金融サービスの対価のあり方について議論を深めることも大切だ。
 全銀システムは1973年の稼働以来、大きな障害を起こさず高い安全性を保ってきた。今後もマネーロンダリング(資金洗浄)やサイバー攻撃への対応で相応のコストがかかる。政府からの要請とはいえ、利用者利便を優先する余り、重要な社会インフラとしての機能が低下してしまっては本末転倒だ。顧客からの安心・信頼を維持する視点を忘れてはならない。2020.7.10


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