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社説 与信リスクの総点検を急げ

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 大手行の4~6月期決算は新型コロナウイルス感染拡大の影響が色濃く出た。5グループの連結純利益は前年同期比で半減。融資先の貸し倒れに備えた与信費用が31倍に膨らんだ。地域銀行でも取引先の業況悪化で与信費用を積み増すところが増えている。感染拡大が長期化すれば銀行経営を大きく圧迫する。コロナ禍で企業に対する支援融資も急増しており、与信リスクの総点検が急がれる。
 全国銀行協会によると、全国銀行の貸出金残高は5月末~7月末に3カ月連続で前年同月比6%台の伸びを記録。企業の資金繰り難に積極対応してきた結果で「足元の融資要請は一服」(大手行幹部)しているが、再び支援を求める声が強まる可能性もある。
 一方、4~6月期の国内の実質経済成長率は民間予測平均でリーマン・ショック後を上回る悪化幅のマイナス23%。景気の落ち込みは今後、銀行財務に下押し圧力となる。与信費用が発生するリスクの把握と与信管理の高度化が重要だ。コロナ禍は広範な業種に及んでおり、事業者ごとだけでなくサプライチェーン全体に目を配る必要もある。
 その前提が「目利き力」となる。事業の将来性や地域特性を把握し、独自の目線で融資継続の是非や柔軟な引き当てにつなげてほしい。金融検査マニュアルが廃止されたタイミングであり、事業性評価の真価が問われる局面だ。
 与信リスクが顕在化する前に、事業者にとって最適な経営改善・事業再生の支援策を見極めることも重要になる。踏み込んだ支援では資本性ローンや債務の株式化(DES)のほか、政府系ファンドを活用するといったケースも必要になってこよう。もっとも全ての取引先を救済し続けるのは現実的に難しい。業績改善が見込めない事業者に対しては転・廃業のアドバイスも選択肢の一つとなる。2020.8.14


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