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社説 国民感覚とのズレなくせ

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 菅義偉(よしひで)自民党総裁が第99代首相に就任した。新内閣は、安倍政権を継承する顔ぶれが目立つ。喫緊の課題である新型コロナ対策と社会経済活動を両立するため、手堅さや継続性を重視した点は理解できる。ただ、前政権では首をひねりたくなるコロナ対策もあった。新政権には、国民の声を丁寧に聞き取る姿勢が求められる。また、危機を克服し、持続的な成長に向け、道半ばの地方創生や、デジタル化を加速させてもらいたい。
 菅首相は派閥に属さず、二世議員でもない。秋田県出身で地方の実情も知っている。そうした背景を生かした改革が望まれる。首相が言う通り「世の中には国民の感覚からかけ離れた数多くの当たり前でないことが残っている」。
 就任会見では「安倍政権が進めてきた取り組みを前に進めることが使命」と明言した。その前に8年近くに及ぶ前政権が残した課題は、しっかり点検すべきだ。とりわけ継承するとしたアベノミクスの三本の矢の一つ金融緩和は、長期化すればするほど、金融機関や預貯金に頼る高齢者の副作用が大きくなる。
 首相は地方創生に取り組む姿勢も強調した。官房長官時代には訪日外国人誘致を進め、地方に新たな需要を生んだ。ただ、コロナ禍でインバウンド頼みの一本足打法の危うさがでた。生活・働き方の常識が変ろうとする機会を捉え、企業や行政の地方分散を進めるなど、追加の矢が必要だ。
 自民党総裁選前には「将来的には地方銀行の数が多過ぎる」との発言もあった。地域経済が縮小し続ける前提での発言だろうが、それを食い止め、活性化させるのが地方創生政策のはずだ。
 肝いりのデジタル化は、新たな生活様式に欠かせない。特別定額給付金支給で遅れが露呈した行政は当然だが、社会全体でデジタル化を急ぎ、生産性向上につなげたい。2020.9.25


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