「ニッキンONLINE」創刊!
 
HOME > 「ニッキン」最新号から > 社説 > 社説、規制緩和生かし地域経済守れ

社説、規制緩和生かし地域経済守れ

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 金融審議会の銀行制度等ワーキング・グループが2020年12月に「経済を力強く支える金融機能の確立に向けて」と題する報告書をまとめた。銀行業高度化等会社の業務拡大など、幅広い規制緩和が提言されており、国会手続きを経て21年中の実施が見込まれる。金融機関は自らのビジネスモデルを見極め、地域経済を支える新業務の取り扱いを検討してもらいたい。
 報告書のタイトルが示す通り、今回の規制緩和の主眼は、人口減少など構造的な問題にコロナ禍が加わり、厳しさが増す地域経済を金融機関が下支えしやすくすることだ。
 例えば、高度化会社の業務では旅行代理店のような業務も認められる。地域商社の業務範囲も広がる。自行で開発したアプリやITシステムの販売、広告ビジネスも制約が減るなど、取引先支援の選択肢は大幅に増える。
 ただ、手掛ける業務は、経営体力や地域経済の現状に照らし合わせて、取捨選択すべきだ。横並びで総花的に始めるのは得策とは言えない。IT活用やシステム開発に自信があるなら、その分野で取引先の生産性向上を支援するなど、得意分野を生かしていくことが、自らの存在意義を高めることになる。
 投資専門子会社は、出資範囲が拡大され、コンサルティング業務が行えるようになる。事業再生や事業承継問題の解決へ有力な手段となるが、人材を含めて準備しないと、器を作っただけに終わる。
 報告書は、地域における金融機能の維持策についても触れている。その一つが、銀行代理業者に対する融資規制の緩和だ。人口減少で有人店舗の維持が困難になることが想定されるだけに、対面サービス維持手段としては検討に値する。いずれにせよ、規制緩和を地域経済活性化という果実に変えるには、金融機関の創意・工夫が欠かせない。2021.1.8


ニッキンのお申し込み

ご購読のお申し込みは、インターネット・FAXで受付けしております。

申込用紙をFAX(03-3262-2838)またはお近くのニッキン支社・局までお送りください。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事