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社説 慣例見直す果敢な挑戦を

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 無料が当たり前だった銀行の口座開設に変化が起きている。みずほ銀行は1月18日から、新規口座開設時の通帳発行を有料(1冊1100円)とした。三井住友銀行も4月から新規普通預金口座に紙の通帳を希望する場合、年550円を徴収する。長期間、未利用の口座に手数料を課す動きも広がる。収益環境を考えれば、相応のコスト負担を利用者に求める流れは強めざるを得ない。重要なのは、利用者の納得を得られるかだ。
 今回の通帳有料化は、手数料収入増強より、デジタル取引選択の動機付けの側面が強い。仮に1冊1千円で年間1万人作成しても、収入は1千万円だ。既存顧客は対象としておらず、高齢者からは徴収しないなどの配慮もある。
 期待できるのはコスト削減だ。紙の通帳をなくせば、1冊1千円程度かかる通帳作成費用だけでなく、人手を含め管理費を減らせる。多くの金融機関が、手数料優遇などで、既存顧客をデジタル通帳へ誘導しているのもその表れだ。ただ、通帳なしを当たり前にするには、幅広い世代が使いやすいデジタルサービスであることが前提になる。
 2016年のマイナス金利政策導入以降、コンビニATM手数料や両替手数料などの値上げが相次ぐ。サービス低下と受け取る向きもある。丁寧な説明が必要だ。
 送金業務では年内に100万円超の送金が資金移動業者に解禁され、価格を含めた競争がさらに激化する。利用者離れを招かないよう自らのサービスを磨くことが欠かせない。単品価格での競争が難しければ、総合的なサービスで競う方法も考えられる。
 海外ではネオバンクやチャレンジャーバンクと呼ばれる低コストで便利な金融サービスを提供する新たな業態が生まれ、既存の常識を壊している。これまでの慣例を見直し、果敢に変革に挑む時だ。2021.2.5


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