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社説 ITガバナンスを立て直せ

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 みずほ銀行で2月28日に大規模システム障害が発生し、全国で最大4318台のATMが一時停止した。過去二度の障害を受けて基幹システムを全面刷新したにもかかわらず、またしても信頼を損ねる事態を招いた。利用者への対応も後手に回り、危機管理に問題があったと批判されても仕方なかろう。早期に原因の徹底究明と、改めて再発防止に向けたITガバナンスの立て直しが急がれる。
 障害は1年以上記帳がない口座をデジタル口座に移行する作業を急いだことで毎月末に集中するデータ処理と重複し、システムに負荷がかかったためという。作業量の見積もりが甘くなった根本原因を検証しなければならない。
 異常が起きた際、勘定系システム全体に影響を及ぼさないようにATM取引を絞り込む自衛機能が、結果としてマイナスに働いたことも混乱を広げた。障害が多発したのにATM稼働を続けたことも問題と指摘する声もある。
 障害発生後の顧客対応も遅れた。ATMに吸い込まれ戻らなくなったキャッシュカードや通帳は5千件を超え、長時間にわたって店頭で待たされた客も多い。休日でコールセンターの要員が不足していたこともあろうが、迅速な周知も含め組織として初動を誤ったと言わざるを得ない。
 2002年と11年のシステム障害を教訓にリスク管理や緊急時の体制整備は万全を期したはず。第三者を入れ、再度システム運用の問題点を総点検することが必要だ。取引先や預金者の信頼を早く取り戻してもらいたい。
 デジタル化の進展に伴い、それを支えるシステムへの負荷は増大し、リスクも複雑化する。一定の割合でシステム不具合は起こるという前提に立ち、どう安全性を担保するかの視点が重要だ。今回の障害を金融界全体で他山の石としてほしい。2021.3.12


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