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社説 決済業務を見直す機会に

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 銀行間の決済インフラである全国銀行データ通信システム(全銀システム)の利用手数料が10月から改定されるのに伴い、各金融機関は顧客からの振込手数料引き下げの検討を急いでいる。6月30日にふくおかフィナンシャルグループの3行、7月2日に三菱UFJ銀行が地方銀行・都市銀行の先陣をきって引き下げ幅を示した。
 他行へ振り込む件数と他行から振り込まれる件数の多寡に応じて収益が増減するが、料金改定はおおむね地銀にとってマイナスに働く。ただ、数十年ぶりの値下げを享受する利用者にとっては間違いなく朗報だ。各行は顧客との距離を縮める好機ととらえ、為替業務の将来戦略を見つめ直す機会にしてはどうか。
 今回の発端は、公正取引委員会による2019年10月からの実態調査。スマートフォン画面のQRコードやバーコードを読み取るだけで支払いが完了する「コード決済」の急速な普及を受け、その主な担い手である資金移動業者が不利益な扱いを受けていないかが調査の主眼に置かれた。結果を踏まえ、公取委が銀行界に改善を求めた一つが全銀システムの料金見直しだった。
 コード決済は約半数の銀行も提供しているが、「PayPay」など非金融系が圧倒的なシェアを握る。こうした新規参入組からすれば、割高な振込手数料を強いられてきた利用者は潜在的な顧客と映るだろう。他方、政府は「給与のデジタル払い」解禁を検討しており、実現すれば、企業は自社の口座から、従業員が持つ資金移動業者のアカウントに直接送金できる。それは、金融機関が独占してきた給与振込口座に紐(ひも)づけられる取引にも大きく影響しよう。
 今回の値下げ要請を単なる官製「外圧」と捉えるのではなく、ユーザーの視点に立って今後の決済業務のあり方を検証する契機にしてほしい。2021.7.9


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