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社説 日銀オペを脱炭素の呼び水に

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 日本銀行は気候変動に対応した投融資を後押しする新たな資金供給制度を年内に導入する。中央銀行が特定分野に肩入れすることに懐疑的な意見もあるが、気候変動リスクがマクロ経済に影響を及ぼしうるとして対策に踏み出した。金融機関の判断で行う投融資をバックファイナンスする仕組みで幅広い参加が期待されている。脱炭素化を取引先に促す呼び水に日銀オペを活用してほしい。
 気候変動対応を巡っては欧州などで中銀が政策面で関与すべきとの声が高まっている。日銀の新制度公表はその機運を捉えた動きだ。骨子案では貸付金利ゼロ%や資金供給分にマイナス金利を適用しないなど優遇策が盛られた。借り換えの制限もなく長期の投融資が実質可能となる。
 対象も共通担保オペで幅広い金融機関を想定したものだ。行動計画を設けて炭素関連セクターに排出ゼロ・削減を働きかけているメガバンクグループはもちろん、地域銀行や信用金庫なども取引先に脱炭素を働きかける有用なツールとなろう。今後は大企業のサプライチェーンを担う中堅・中小企業も対応が迫られるだけに、活用に向けた検討を急いでほしい。
 今回のオペで日銀は市場中立性を重視し、投融資対象は金融機関の判断に委ねる方針。利用には「一定の開示」が必要だが、結果的に広範囲の資産が対象に含まれ、グリーンの基準が曖(あい)昧(まい)になる恐れを指摘する声もある。金融機関には融資先や発行体への十分な目利きが求められる。
 そのためにも取引先との対話を通じて課題を把握し、支援策を一緒に探ることが重要。5月に金融庁などがまとめた「トランジション・ファイナンス(移行金融)に関する基本指針」はその際の参考となろう。中長期に及ぶ企業のグリーン化への取り組みを伴走型で後押ししてもらいたい。2021.7.30


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