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社説 手形廃止はスピード感持って

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 国内決済インフラの大改革が動きだした。全国銀行協会が事務局を務める検討会は手形と小切手について、2026年度末までに紙の利用を廃止し、電子化に全面移行する自主行動計画を公表した。長年の商慣行見直しには企業の理解・協力が不可欠で、時間を要するケースもあろう。各金融機関は電子決済サービスの手数料改定や利便向上などを急ぎ、スピード感を持って臨んでほしい。
 中小企業庁によると、約束手形は支払い期日までの期間が現金振り込みより2~3倍長い。受注企業に資金繰り負担があるほか、コロナ禍で書面取引を見直す社会的要請も受け、政府が手形廃止を提言した。国策と位置づけられ、金融界は産業界と一体で計画遂行が求められる。
 行動計画には企業に電子決済への切り替えを進めるための施策も盛り込まれた。柱の一つが手数料体系の見直し。紙での支払いよりも割高な電子決済の利用料が移行の障壁とされており、適正な料金設定を促した。「でんさい」やインターネットバンキングの利用料引き下げは優先すべき課題だろう。
 このほか、操作性向上や初期設定の簡素化など機能改善、支払いサイトを短縮する事業者へのきめ細かな資金繰り支援など幅広い観点から必要事項を指摘している。金融機関は移行のネックとなっている課題を整理し、地域や顧客特性も踏まえたうえで取引先にメリットがある施策を前向きに検討してもらいたい。
 今回、紙の手形・小切手を5年間でゼロにするという期限が設けられ、毎年取り組みをフォローアップする仕組みが導入された。ただ、コロナ禍で取引先のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援は急務。できるだけ前倒しで進めてほしい。生産性向上、ひいては社会全体のコスト削減につながるからだ。2021.8.13


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