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社説 次期政権は期待つなぐ政策を

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 株式市場で9月29日の自民党総裁選後に誕生する次期政権への関心が高まっている。14日には平均株価が3万0670円と約31年ぶりの高値を付けた。菅義偉首相の退陣表明を受けた経済対策などへの期待を背景に資金を呼び込んだ。その流れを持続させるために、新政権は経済を立て直す道筋を示し実行する必要がある。同時にコロナ感染状況を見極めつつ財政再建の道も探ってほしい。日本経済の足腰を強める政権運営を望む。
 菅首相は就任時に「コロナ対策と経済回復の両立」を掲げた。だが、感染の波が来る度に緊急事態宣言を繰り返し、中途半端な対応に終始したとの見方が強い。ワクチン接種率の向上は成果をあげたが、徐々に内閣支持率を下げて求心力を失った。
 それだけに市場は次期政権に対し、強力なリーダーシップによる政策運営に期待している。病床の確保などコロナ対策と合わせて、経済活動再開や各種行動規制を緩和する判断基準を国民に分かりやすく説明してほしい。またデジタル化による社会全体の生産性向上や脱炭素化など、現政権の重要政策のさらなる遂行も問われる。
 景気対策では総裁選に出馬する候補4氏とも2021年度補正予算を支持する考え。ただ、20年度に計上したコロナ関連予算のうち30兆円超が執行できずに繰り越されている状況にあり「財政環境を一段と悪化させる」(エコノミスト)ことが危惧される。金融市場からは未達が続く2%物価安定目標を見直すべきとの声も上がる。持続可能な財政確立への課題は多い。
 首相交代が注目された今回の株高は、短期筋の外国人投資家を中心に割安の日本株に資金が向かったことがその要因。個人投資家の中長期資金を引きつけるためにも、政策の実行力を示して成長期待を広げることが重要だ。2021.9.24


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