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社説 米金利上昇リスクに備えよ

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 米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対応の金融引き締めを急ぐ姿勢を示し、市場で警戒感が強まっている。2022年中の3回の政策金利引き上げに加えて資産圧縮の加速が見込まれることで、長期金利は上昇(価格下落)圧力がかかりやすい状況だ。有価証券運用で外国債券を保有する金融機関は評価損益の悪化が危惧される。金利上昇に備えたリスク耐性強化が一段と重要な局面に入る。
 長引く超低金利下、利回りが見込める米国債など外債投資は増加が続く。日本銀行によると銀行・信用金庫の外債残高は直近で約60兆円に達する。日本国債の大量償還に加え、「コロナ給付」による預金増で預貸ギャップが約332兆円と過去最大に広がっていることの影響も大きい。
 地域金融機関は投資信託の保有も増やしているが、リスク量の大きい「海外金利系」が保有額の25%を占める。こうした外債や投信への積極投資が、米金利の上昇局面では裏目に出て含み損が膨らむ恐れがある。市場の局面変化を捉えた機動的な売買やリスク管理の高度化が怠れない。
 為替リスクにも目配りが必要だ。日米金利差の拡大観測から目下、円安・ドル高の流れが強まっている。外債運用する地域金融機関では円安の進展を見込んで為替ヘッジをしていない先もあるが、仮に相場環境が反転した場合、大きな損失を被りかねない。万一に備え、リスク抑制策を講じておくべきだ。
 運用ポートフォリオの多様化に伴い、資産運用専門会社など外部のプロとの連携や、運用・管理を託す地域銀も増えてきた。業務効率化への対応や人材不足を補うために運用業務の「脱・自前」に軸足を移すことも選択肢となろう。有価証券運用は収益源の一つとして重要性が増しているだけに、持続的な運用への体制作りが急がれる。2022.1.14


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