2025年6月13日号1面 金融界、「隠れリース」特定に本腰、2027年の新基準適用迫り

2025年6月13日号1面 金融界、「隠れリース」特定に本腰、2027年の新基準適用迫り

 金融界は、2027年4月から強制適用される新リース会計基準の対応を急ぐ。金融機関にとって財務面の影響は大きくないが、オンバランス処理が必要なリース取引の拡大により、事務作業の増加が想定される。先行する銀行は6~7月に、これまではリースに該当していなかった「隠れリース」の識別作業を本格化する。あずさ監査法人の担当者は「スケジュールがタイトになれば検討漏れのリスクも大きくなる。そろそろ動き出すべき時期」と強調する。
 新基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が24年9月に公表。新基準では、リース期間中の契約解除が…

2025年6月13日号2面 省エネ支援 取り組み拡大、専担者や社内表彰反映、参画先“温度差”課題

2025年6月13日号2面 省エネ支援 取り組み拡大、専担者や社内表彰反映、参画先“温度差”課題

 経済産業省の「省エネ・地域パートナーシップ」に参画する金融機関は、省エネ支援の取り組みを拡大している。省エネ診断や補助金の活用を促進する200の参画金融機関で、省エネ診断実施件数を社内表彰制度に反映や、本部・営業店に専担者を配置するなど新たな動きが出てきた。ただ、各金融機関の取り組みには「相当程度の温度差がある」(経産省)のが実情。対応が後手に回れば、中小企業の脱炭素支援で先行する金融機関との間に明確な差が生じる可能性もある。
 省エネ・地域パートナーシップは2024年7月に創設。地域一体での省エネ支援体制を…

2025年6月13日号3面 地域銀行・信金、NISA口座数伸び悩む、3カ月の増加率1%

2025年6月13日号3面 地域銀行・信金、NISA口座数伸び悩む、3カ月の増加率1%

 地域銀行や信用金庫は、少額投資非課税制度(NISA)の口座数が伸び悩んでいる。ニッキンの調査によると、2024年12月末~25年3月末の3カ月間で地域銀・信金を合算した増加率は1.0%にとどまった。日本証券業協会が集計した証券会社の増加率は同期間に4.1%となっており、伸び率に開きが出ている。地域銀においても個別にみると、口座数が8%以上増えた銀行があった一方、約2割の銀行は口座数が減少しており、明暗が分かれた。
 ニッキンは、投資信託の窓口販売を行う金融機関を対象に、四半期ごとに継続調査を…

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

 【広島】広島銀行は6月下旬から、取引先の請求書業務を効率化するサービスを始める。アライアンス企業と共同開発したシステムを活用する。経理担当者がワンストップで請求書の受領から振り込み指示ができる仕組みで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しする。企業間取引がデジタル化するなか、法人決済口座の確保も目指す。
 システムは、営業企画部チャネル・ネットワーク企画室の行員がTIS(東京都)と構築…

人事施策

2025年5月23日号16面 千葉信金、高卒と大卒 同額給与、採用強化へ改定

2025年5月23日号16面 千葉信金、高卒と大卒 同額給与、採用強化へ改定

 千葉信用金庫(千葉市、宮澤英男理事長)は2025年度採用の高卒と短大・専門学校卒の給与を入庫2年目から、同期入庫した大卒と同額にする。総合職や一般職の採用コースにかかわらず全ての職員が対象。この取り組みを千葉県内の商業高校を中心に周知し、高卒採用者を増やし人材を確保する。
 大卒と高卒で給与を変える企業が一般的だが、同信金人事部は…

 【写真】預金係の先輩(右)から事務作業を学ぶ女性職員(5月9日、千葉信金誉田支店) 

2025年4月18日号5面 群馬銀行、育休代行部隊を新設、営業店へ最長1カ月派遣

2025年4月18日号5面 群馬銀行、育休代行部隊を新設、営業店へ最長1カ月派遣

 群馬銀行は、育児や介護を理由に休業する営業店行員の代務を担う「営業店サポート部隊」を新設。4月から試行で派遣を開始した。育児・介護のための休業制度を使いやすくするのが狙い。同行が力を入れる夫婦での「共育て」実現に向けた両立支援を強化する。
 営業店サポート部隊の支援申請者は、行内専用フォームから2週間前までに…

2025年4月18日号10面 特集 【本紙調査】主要金融機関の2025年度採用実績

2025年4月18日号10面 特集 【本紙調査】主要金融機関の2025年度採用実績

 3年連続増・1万3910人
 銀行・グループ(G)と大手信用金庫の2025年度新卒採用者数が3年連続で増加した。主要機関の新入行職員は計1万3910人となり、2024年度の1万2541人から10.9%増加した。6割に当たる97機関が2024年度より新卒採用者を増やし、コロナ禍前の2019年度実績と同水準の1万3千人台に回復した。業態を越えて採用競争が激化するなか、「金利ある世界」に向けて営業力を強化する狙い。本紙が大手行・G、地域銀行・G、預金量上位50信金(2025年1月末)の計152機関を調査した。
 全業態で新卒採用人数が増え、大手行・Gが2024年度比8.8%増の3297人、地域銀・Gが9.8%増の7785人…

 【写真】りそなグループ入社式であいさつする南昌宏社長(4月1日、明治記念館)

2025年4月18日号17面 筑邦銀行の林執行役員、働きながら博士号、事業承継テーマに論文

2025年4月18日号17面 筑邦銀行の林執行役員、働きながら博士号、事業承継テーマに論文

 【福岡】筑邦銀行でコンサルティング本部長を務める林昭信執行役員(51)は3月、関西大学大学院で事業承継とリスクマネジメントに関する論文をまとめ、博士号を取得した。働きながらの論文執筆や学会発表、学費の負担など楽な道のりではなかったが、銀行の後押しもあり無事に修了。論文執筆の出発点となったのは、中小企業のM&A(合併・買収)に対して抱いていた「承継後の企業を存続させたい」との思いだ。
 福岡支店(現福岡営業部)勤務の2016年、MBA取得のため九州大学大学院に入学。学費や交通費を銀行が負担する支援制度を使い…

 【写真】学位記を持つ林昭信執行役員(4月2日、筑邦銀行本店)

2025年4月11日号16面 全労金、2025年春闘、「5%」賃上げ獲得、男女格差是正に注力

2025年4月11日号16面 全労金、2025年春闘、「5%」賃上げ獲得、男女格差是正に注力

 全国労働金庫労働組合連合会(全労金、14単組、組合員9千人、深見正弘委員長=東海労金労組)は2025年春闘で、24年実績を超える賃上げを獲得した。正職員は、春闘方針で決めた賃金改善目安「5%」近い水準となり、「要求通り」の回答を得たのは前年より2先増の5単組に上った。男女間賃金格差の縮小・解消にも注力した。
 正職員の引き上げ幅は、定期昇給を含めた加重平均で1人1万4450円(4.9%)で、24年比300円増えた。全単組が基本給を底上げするベースアップで有額回答を引きし…

2025年4月11日号17面 金融機関、全国で入社式、新人企画やビジカジも

2025年4月11日号17面 金融機関、全国で入社式、新人企画やビジカジも

 4月1日、全国の金融機関で一斉に入社式が開かれた。新入行員がビジネスカジュアル姿での参加や、入行式の企画・運営を務めたりする新たな試みも見られた。トップらは「金利ある世界」を踏まえ、挑戦する気持ちや変革志向の大切さを呼びかけた。
 入行する70人が明るいグレーやベージュの服に身を包み、華やかな雰囲気のなかで開いたのは阿波銀行。同日から対象を全行員に拡大したビジカジを入行式に初めて取り入れた。多様性の尊重や自主性の醸成を通じて…

 【写真】役員や新入行員がビジカジで参加した阿波銀行の入行式(4月1日、阿波銀行本店)

2025年4月4日号16面 新連載 先輩の学び術ルーティンを盗め (1)清水銀行・松岡夏子さん

2025年4月4日号16面 新連載 先輩の学び術ルーティンを盗め (1)清水銀行・松岡夏子さん

 弱点に照準・徹底復習
 【静岡】資格取得の勉強で得た知識を生かすため「お客さまとの接点を作る声かけを意識している」と話す清水銀行梅田町ブロックの松岡夏子さん(2020年入行、27歳)。ブロック内の梅田町・緑が丘・矢部支店で窓口テラー業務と預かり資産販売を担当。提案活動する日々だ。
 預かり資産担当になった3年目からFP2級の取得を志す。知識習得には…

 【写真】来店客への声かけを大事にし、提案につなげていく松岡夏子さん(3月13日、清水銀行梅田町支店)

2025年3月28日号8面 特集 地銀人材バンク10年、就業継続・人手確保に

2025年3月28日号8面 特集 地銀人材バンク10年、就業継続・人手確保に

 全国62行の地方銀行が連携し、配偶者の転勤などで離職せざるを得なくなった行員を転居先の銀行に紹介する「地銀人材バンク」。4月に発足から10周年を迎える。行員のキャリア継続を支援するとともに、人手不足が深刻化するなかで貴重な人材確保に資すると考えられ、多くの地銀が活用する。事務局の千葉銀行と実際に利用した3人にメリットや課題などを聞いた。

 ■シニアにも対象拡大
 「地銀人材バンク」は2015年4月1日に地銀64行(当時)で組織する「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」の活動の一つとして運用を開始。当初は…

法令制度政策

2025年5月23日号2面 金融庁、公的資金制度を延長、期間5年以上 検討

2025年5月23日号2面 金融庁、公的資金制度を延長、期間5年以上 検討

 金融庁は、地域金融機関へ公的資金を注入する制度の申請期限を延長する方向で検討している。2004年に成立した金融機能強化法に基づく同制度は、申請期限を迎えるたびに4、5年の単位で延長を繰り返してきた。今回の法改正では「5年以上」の延長を検討しており、恒久化を含めた大幅な延長も視野に入れる。同庁は、公的資金注入制度と資金交付制度を含めた同法改正案を次の通常国会に提出し、早期成立を目指す。
 政府は5月14日に「新しい資本主義実現本部」を開催。その会合の場で、加藤勝信金融相は…

2025年5月16日号2面 自民、郵政民営化法改正案、上乗せ規制 文言修正

2025年5月16日号2面 自民、郵政民営化法改正案、上乗せ規制 文言修正

 自民党は、今国会に議員立法として提出する見込みの郵政民営化法と関連法の改正案をめぐり、日本郵政グループの金融2社(ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)に課されている「上乗せ規制」のあり方の検討に関する文言を修正した。5月9日の党合同部会で了承された改正案には、郵政民営化委員会による「3年ごとの検証の際」に政府で検討する旨の付則が盛り込まれた。3月に示した改正案の概要では、「速やか」に政府で検討するよう付則に記していた。「速やか」の文言を外すよう訴えていた、地域金融に詳しい議員らの要望が反映された格好だ。
 上乗せ規制は、政府の間接的な関与が残る金融2社と民間金融機関との間で、…

【写真】郵政事業に関する特命委員会や金融調査会などの合同部会で、あいさつする森山裕特命委員長(5月9日、自民党内)

2025年5月16日号15面 金融庁、企業価値担保権で基本方針、債務者区分判定に影響も

2025年5月16日号15面 金融庁、企業価値担保権で基本方針、債務者区分判定に影響も

 金融庁は、「企業価値担保権」を設定した事業者の将来・定性情報を債務者区分の判定時に反映できるとの考え方を示した。同担保権付き融資では、1行取引を念頭に置いた緊密な関係をベースに、綿密なモニタリングや迅速な経営改善支援が可能になる。将来経営困難に至るリスクの低下により、貸倒引当金の算定に使う「予想損失率」が低くなれば、従来の債務者区分の判定にも影響を与える可能性がある。

 ■情報の反映手法が焦点
 2026年春ごろに始まる企業価値担保権を活用した融資では…

2025年5月2日号2面 政府、架空口座を捜査活用、詐欺防止へ総合対策改定

2025年5月2日号2面 政府、架空口座を捜査活用、詐欺防止へ総合対策改定

 政府は4月22日、犯罪対策閣僚会議を開催し、「国民を詐欺から守るための総合対策2.0」を取りまとめた。新たに架空名義口座捜査の検討やインターネットバンキングの初期限度額の適正化などを盛り込んだ。金融に加え、通信の領域においても対策を一層強化し、官民一体となって急増する詐欺被害を食い止める。
 犯罪グループの首領や幹部の検挙につなげるために、警察が管理する架空名義の口座を…

2025年4月25日号1面 金融庁、地域銀行に早期着手要請、量子計算機時代の暗号対応

2025年4月25日号1面 金融庁、地域銀行に早期着手要請、量子計算機時代の暗号対応

 金融庁は、耐量子計算機暗号(PQC)への移行対応について、地域銀行に早急に着手するよう求める。金融機関の重要システムやサービスは将来的にPQCを実装したものへと移行する必要があるものの、実装には5~10年周期の大規模なシステム更改に合わせて行うことが現実的で、時間的猶予は想定以上に少ないため。同庁は、対応を急ぐよう求めるとともに、検査やモニタリングで対応状況をフォローする方針だ。
 2030年代半ばに実用化が見込まれる量子コンピューターが悪用されれば、…

2025年4月18日号8面 東証、子会社化規則を厳格化、MBO時の少数株主保護

2025年4月18日号8面 東証、子会社化規則を厳格化、MBO時の少数株主保護

 東京証券取引所は、7月をめどにMBO(経営陣が参加する買収)やグループ会社による完全子会社化についての規則を厳格化する。「少数株主にとって不利益でない」という意見を、独立社外取締役など利害関係がない者から入手して適時開示することを義務付ける。少数株主を保護することが目的だ。
 現在は支配株主による完全子会社化においてだけ、少数株主にとって不利益でないことに…

2025年4月11日号2面 金融庁、「資金交付制度」延長へ、条件面拡充も検討

2025年4月11日号2面 金融庁、「資金交付制度」延長へ、条件面拡充も検討

 金融庁は、地域金融機関の合併・経営統合に関する費用を補助する「資金交付制度」の期限延長を検討する。独占禁止法の特例法の廃止期限である2030年11月を念頭に、5年程度延長する方向だ。対象経費の拡充も視野に入れる。同制度の延長を盛り込んだ金融機能強化法改正案が、26年の通常国会に提出される見通し。地域銀行などでは、制度延長を機に再編機運が高まる可能性もある。
 同制度は、21年5月成立の改正金融機能強化法に…

2025年4月4日号3面 金融庁、貸金庫不正防止へ指針改正、マネロン対策で現金除外

2025年4月4日号3面 金融庁、貸金庫不正防止へ指針改正、マネロン対策で現金除外

 金融庁は、大手行などで発生した貸金庫の窃盗事案を受け、監督指針を改正する。3月27日に公表した改正案では、マネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)の観点から、貸金庫規定の格納物の範囲に、現金を含む「リスクが高いと考えられる物品等」の除外などを監督上の着眼点に盛り込んだ。今回の改正により、金融機関には貸金庫規定の見直しや利用顧客への周知徹底が求められることになる。
 監督指針に貸金庫業務が明記されるのは初めて。顧客が貸金庫を契約・利用する際、…

経営

2025年6月13日号1面 金融界、「隠れリース」特定に本腰、2027年の新基準適用迫り

2025年6月13日号1面 金融界、「隠れリース」特定に本腰、2027年の新基準適用迫り

 金融界は、2027年4月から強制適用される新リース会計基準の対応を急ぐ。金融機関にとって財務面の影響は大きくないが、オンバランス処理が必要なリース取引の拡大により、事務作業の増加が想定される。先行する銀行は6~7月に、これまではリースに該当していなかった「隠れリース」の識別作業を本格化する。あずさ監査法人の担当者は「スケジュールがタイトになれば検討漏れのリスクも大きくなる。そろそろ動き出すべき時期」と強調する。
 新基準は、企業会計基準委員会(ASBJ)が24年9月に公表。新基準では、リース期間中の契約解除が…

2025年6月13日号6面 信金、店舗減少 小幅にとどまる、職員数推移との格差鮮明

2025年6月13日号6面 信金、店舗減少 小幅にとどまる、職員数推移との格差鮮明

 信用金庫の店舗数と役職員数はいずれも減少傾向にあるが、そのペースに差が広がってきた。信金中央金庫地域・中小企業研究所の調査によれば、2000年度末を100とした場合、24年度末の店舗数は83.2、常勤役職員数は69.7で、店舗の減少ペースの方が小幅にとどまる。同研究所の大野英明所長は「減少幅に1割ほどの格差が生じており、1店舗当たりの人員が少なくなっている」と分析する。
 店舗数は、24年度末で前年度比0.2%減の7059店舗(速報値)となり、26年連続で…

2025年6月13日号9面 改革の旗手 太田福裕・あぶくま信金理事長、守り抜いた地域と職員

2025年6月13日号9面 改革の旗手 太田福裕・あぶくま信金理事長、守り抜いた地域と職員

 【仙台】唐突に日常が消え去った2011年3月11日の東日本大震災。当時は常務理事、その後、専務を経て15年から理事長として、顧客と職員を守る一心で歩んできた。早期のシステム導入や迅速な意思決定で、多くの苦難を乗り越え、地域と揺るぎない絆を築いた。

 ■泣く泣く離職した職員
 営業エリアは宮城県南部と、「浜通り」と呼ばれる福島県の沿岸地域。東日本大震災では揺れや津波に加え…

 【写真】太田福裕・あぶくま信金理事長

2025年6月6日号3面 NTTドコモ、銀行業参入、住信SBIネット銀行を買収

2025年6月6日号3面 NTTドコモ、銀行業参入、住信SBIネット銀行を買収

 NTTドコモは5月29日、住信SBIネット銀行を子会社化し、銀行業に参入すると発表した。1株4900円(5月29日終値は3985円)で5月30日~7月10日に株式公開買い付け(TOB)を実施。その後、SBIホールディングス(HD)が保有する全株式を買い取り、合わせて約65.8%を取得する。買収総額は4200億円を見込む。同日付で日本電信電話(NTT)とSBIHDは資本業務提携も締結した。
 ドコモはこれまでもインターネット証券や貸金業をグループに…

【写真】会見後、手を合わせる(左から)NTTドコモの前田義晃社長、日本電信電話の島田明社長、SBIホールディングスの北尾吉孝会長兼社長、住信SBIネット銀行の円山法昭社長(5月29日、ホテルニューオータニ東京)

2025年6月6日号10面 やさしいニュース解説 有報の総会前開示、金融庁“本気度”高く

2025年6月6日号10面 やさしいニュース解説 有報の総会前開示、金融庁“本気度”高く

 上場会社で株主総会よりも前に有価証券報告書を開示する機運が急速に高まっています。転機となったのは、加藤勝信・金融担当相が3月に全上場会社に対して有報の総会前開示を求める要請文でした。なぜ、いま総会前開示が求められているのかをひも解きます。

 ■(1)総会前開示なぜ必要?
 有報は、金融商品取引法において事業年度終了後3カ月以内に提出が求められている書類です。決算短信や統合報告書と比べて…

 【写真】有報の総会前開示の機運が急激に高まった背景には、加藤金融相が3月に全上場企業の代表者に発出した要請文がある

2025年6月6日号15面 金融界の2025年株主総会、提案増え緊張高まる、還元充実がテーマに

2025年6月6日号15面 金融界の2025年株主総会、提案増え緊張高まる、還元充実がテーマに

 金融界(銀行、証券、保険)の2025年3月期定時株主総会が6月13日から始まる。アクティビスト投資家や個人株主からの株主提案が増え、株主との対話は緊張感が高まる。資本効率の向上に資する株主還元策の充実や、コーポレートガバナンスの強化も大きなテーマになりそうだ。
 足元で政策保有株などによる安定株主が減る半面、株主全体に占める機関投資家比率が上昇している。大和総研は…

2025年5月30日号6面 信金中金が新中計、信金の経営基盤強化、業務120万時間削減

2025年5月30日号6面 信金中金が新中計、信金の経営基盤強化、業務120万時間削減

 信金中央金庫は、3カ年(2025~27年度)の新中期経営計画「SCBストラテジー2025」を公表した。「信用金庫の経営基盤の強化」「地域の持続可能性の向上」「信金中金の成長」の3戦略を掲げた。財務目標として27年度に当期純利益450億円程度を目指す。
 信金の経営基盤強化に向けては、業界全体で業務時間の120万時間削減を…

【写真】新中期経営計画を説明する柴田弘之理事長(5月20日、東京都中央区)

2025年5月23日号1面 MUFG、200社メガオーナー照準、法人の強み 富裕層取引へ

2025年5月23日号1面 MUFG、200社メガオーナー照準、法人の強み 富裕層取引へ

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、ウェルスマネジメント(WM)のターゲット顧客として国内200社の“メガオーナー”ファミリーを選定し、アプローチ体制を整備していく。今後2年間で、三菱UFJ銀行のファミリーオフィス室に配置する専任行員を20人規模に倍増し、法人起点から事業と個人資産の承継ニーズに応える。
 MUFGは把握資産20億円以上のハイエンド層2万人を傘下の…

手数料

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

2024年11月15日号11面 生保、外貨保険手数料見直し、1年目の料率は約半分

 生命保険会社は2025年4月から、外貨建て一時払い保険などの販売手数料を見直す。販売1年目の手数料率は約半分に引き下げ、次年度以降の料率を引き上げる。現在の手数料体系は1年目の手数料を高めに設定する「L字型」が主流だが、来春以降はよりフラットに近いL字型になる。銀行などの販売会社に対し、保険契約者へのアフターフォローを促す動機づけとなる。
 生保各社は、具体的な手数料率の公表を控えている。…

2024年11月8日号1面 地銀など指定金、手数料徴収は道半ば、「ゼロ円」地公体 約4割

2024年11月8日号1面 地銀など指定金、手数料徴収は道半ば、「ゼロ円」地公体 約4割

 地方銀行など指定金融機関が税・公金収納業務の手数料徴収をめぐり、地方公共団体と交渉していた最新結果が明らかになった。窓口収納にかかるコストに対し、徴収している金額はいまだかい離があった。約4割の地公体で「ゼロ円」となっており、交渉の難しさが浮き彫りになった。
 全国銀行協会が、8月に実施した会員行への調査結果を…

2024年8月30日号1面 金融庁、外貨保険手数料にメス、生保の見直し状況検証

2024年8月30日号1面 金融庁、外貨保険手数料にメス、生保の見直し状況検証

 金融庁は、生命保険会社が金融機関代理店などに支払う外貨建て保険販売手数料体系の見直し状況を検証する。生命保険協会が4月に改正した同保険に関連するガイドライン(指針)への対応の進捗(しんちょく)度について、フォローアップを近く開始する。銀行窓販チャネルを主力とする生保8社が対象。指針改正を受け、各社は2025年4月をめどに手数料体系を見直す方向で最終調整しており、同庁もその動向を注視する。(関連記事3面)
 同庁は4月、…

2024年7月19日号1面 地銀など指定金、「振込手数料」交渉を継続、事務コスト負担で隔たり

2024年7月19日号1面 地銀など指定金、「振込手数料」交渉を継続、事務コスト負担で隔たり

 指定金融機関を務める地方銀行などは、地方公共団体と公金業務に関する手数料交渉を継続している。10月から公金振り込みに適用される内国為替制度運営費については、総務省が地公体の費用負担分(1件当たり62円)に対し、地方交付税の措置を講じることを決めており、指定金の事務コストの上乗せ額が争点だ。いったん合意したという地銀の関係者は「当初の提示金額と隔たりがあり、交渉を続ける」として長期戦も覚悟する。
 内為運営費は、振り込みを受け付けた仕向け銀行(指定金)から…

2024年3月29日号4面 百五銀行、公金手数料交渉が進展、三重県全自治体で有料化

2024年3月29日号4面 百五銀行、公金手数料交渉が進展、三重県全自治体で有料化

 【名古屋】百五銀行は、三重県内の地方自治体全30先で「公金手数料」の有料化が実現するめどが立った。公金の窓口収納や振込に関して自治体からの手数料を有料化する方向で地域銀行が交渉しているが、県内の全自治体が同じ手数料で一挙にまとまる好事例と言えそうだ。
 提案先は三重県と29市町。このうち指定金融機関は18先。振込1件当たりの手数料は、…

2024年2月16日号3面 総務省、内為運営費に交付税、地公体負担を軽減

2024年2月16日号3面 総務省、内為運営費に交付税、地公体負担を軽減

 総務省は、公金振り込みへの内国為替制度運営費の適用によって増える地方公共団体の負担を、地方交付税で軽減する。2024年度から、負担増加分に相当する金額を上乗せして交付する方針を固めた。地公体は指定金融機関に支払う手数料の財源を確保しやすくなり、負担を求める金融機関にとっても追い風になりそうだ。
 1月末までに、自治財政局財政課が負担分を地方交付税に上乗せする方針を各地公体に通知した。交付税は自治行政に求められる経費と不足分を…

2023年12月1日号1面 地域銀、公金手数料で合意相次ぐ、200団体が引き上げ承諾

2023年12月1日号1面 地域銀、公金手数料で合意相次ぐ、200団体が引き上げ承諾

 指定金融機関を務める地域銀行が、手数料引き上げ交渉で地方公共団体と相次ぎ合意している。関係者によると、十数行の地方銀行が公金振り込みに関する経費負担の見直しで、200近くの地公体から承諾を得たという。全国の地公体数は1700超。2024年10月から公金振り込みに適用される内国為替制度運営費(内為運営費)をめぐり、全国的に交渉が大詰めを迎えている。
 内為運営費は、仕向け銀行から被仕向け銀行に対して支払われる費用で、1件当たり62円。民間取引には21年10月から適用済みだが…

2023年11月24日号1面 地銀、税・公金収納で交渉増、コンビニから値上げ要請

2023年11月24日号1面 地銀、税・公金収納で交渉増、コンビニから値上げ要請

 地方銀行が、大手コンビニエンスストアから税・公金に関する収納手数料の引き上げ要請を受けていることがわかった。複数の関係者によると、各地銀を通じて地方公共団体向けにコンビニ収納サービスを提供する地銀ネットワークサービス(CNS)に対して、コンビニ側から手数料引き上げの意向が示されたという。CNSスキームではコンビニへの手数料は、回収業務を委託した地公体が最終的に負担する。料金を改定する場合、指定金融機関の各地銀が窓口となって、地公体の承諾を得る必要がある。
 CNSのコンビニ収納は、利用者がバーコードの印字された住民税や固定資産税などの払込取扱票をレジに持ち込み、納税する仕組み。受け付けは…

ネット・システム

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

 【広島】広島銀行は6月下旬から、取引先の請求書業務を効率化するサービスを始める。アライアンス企業と共同開発したシステムを活用する。経理担当者がワンストップで請求書の受領から振り込み指示ができる仕組みで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しする。企業間取引がデジタル化するなか、法人決済口座の確保も目指す。
 システムは、営業企画部チャネル・ネットワーク企画室の行員がTIS(東京都)と構築…

2025年6月6日号1面 民間金融機関、口座確認の対象拡大、デジ庁要請で補助金も

2025年6月6日号1面 民間金融機関、口座確認の対象拡大、デジ庁要請で補助金も

 銀行や信用金庫など民間金融機関は、デジタル庁との口座確認業務の提携分野を広げる。9月から、同庁が運営する補助金の電子申請システムで、法人などが登録した補助金の受取口座を確認業務の対象に加える。今後の提携分野の拡大を見据え、同庁と金融機関の間で必要な契約手続きを簡素化する仕組みも新設する。
 国民の利便性向上のほか、国による正確・迅速な情報把握に…

2025年5月30日号10面 Techで変える (2)

2025年5月30日号10面 Techで変える (2)

 ■ふくおかフィナンシャルグループ
 相談相手は「AIユーモ」、新技術への抵抗なくす

 【福岡】ふくおかフィナンシャルグループは2023年12月から、傘下の福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行などで生成AI(人工知能)チャット「AIユーモ」を展開する。文書作成やアイデア出しの“相談相手”として活用し業務効率化を目指しつつも、行員の「AIに触れる一歩目になること」が一番の狙いだ。親近感を出すため同FGのブランドキャラクター「ユーモ」を冠したほか、内製開発で使いやすさを追求する。

 【写真】社用パソコンで手軽に利用できるAIユーモ(4月16日、ふくおかフィナンシャルグループ本社)

2025年5月30日号15面 地銀、法人ポータル役割再定義、経営者向け機能実装

2025年5月30日号15面 地銀、法人ポータル役割再定義、経営者向け機能実装

 地方銀行は、法人ポータルサイトの再定義に関心を強めている。主に取引企業の経理担当者が利用する傾向にある現状を打開し、取引先経営者にもアプローチしやすい機能やサービスを実装したい考え。法人取引先の経営課題抽出や融資機能などを同一プラットフォームで展開する準備を進める動きがある。2026年秋に中国銀行が提供を開始する予定で、事業者の業務効率化や利便性向上を目指す。
 法人ポータルは、2022年ごろから地域銀行で導入が相次いだ。資金管理やインターネットバンキングとの連携などを実装しており…

2025年5月16日号8面 特集 今さら聞けないAPI、連携の常識、次段階へ

2025年5月16日号8面 特集 今さら聞けないAPI、連携の常識、次段階へ

 システムやオンラインサービス関連の記事で「API(データ連携の接続仕様)」という用語を目にすることが、もはや当たり前になっています。金融界では、2018年に銀行APIが努力義務化されて以降、フィンテック企業など外部サービスとの連携で活用が盛んになっていますが、可能となる接続効果が限定的で十分に浸透していないとの声もあります。そもそもAPIはどういったものかをおさらいしたうえで、国内外の最新の動向を紹介します。

 ■デジタル化に必須
 APIは、「アプリケーション・プログラミング・インターフェース」の略です。アプリをはじめソフトウエアをつなぐ橋渡し役的な存在で…

2025年5月16日号4面 肥後銀行、CO2算定ツールを他行へ、サステナ開示需要 見込む

2025年5月16日号4面 肥後銀行、CO2算定ツールを他行へ、サステナ開示需要 見込む

 【福岡】肥後銀行は、独自開発した二酸化炭素(CO2)排出量算定システムの他行提案を強めている。これまで主に取引先企業への導入を推進してきたが、金融機関に求められるサステナビリティ情報の開示に活用できる算定機能を4月に追加。サステナ情報開示では、3月に民間組織が開示基準を公表するなど金融界でも取り組みの加速が予想され、CO2排出量算定の需要を取り込む。
 独自開発の「Zero‐Carbon―System(炭削くん)」は、企業が電気やエネルギーの使用量を…

2025年5月2日号6面 信金、保証システム刷新へ、審査申し込みに紙不要

2025年5月2日号6面 信金、保証システム刷新へ、審査申し込みに紙不要

 信用金庫業界で、しんきん保証システム(SHS)の全面刷新に向けた動きが本格化する。2027年5月の稼働を予定しており、オンラインでの保証手続きが可能になるなど、業務効率化が見込まれる。各信金も25年度から、接続方法の選択など準備を進める。
 SHSの全面的な刷新は、稼働後初めて。27年5月から、住宅ローンの保証審査申し込みや事故報告、代位弁済請求に関して…

2025年4月25日号5面 三井住友FG、法人版オリーブ始動、3年で預金3兆円

2025年4月25日号5面 三井住友FG、法人版オリーブ始動、3年で預金3兆円

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、5月に法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を開始する。同社の個人向けサービス「Olive(オリーブ)」の仕組みを活用し、小規模・零細を含めた多様な企業に口座や決済に関連する機能を一気通貫で提供する。人手を介さないデジタルサービスで、メガバンクのメインターゲットではなかった中堅未満の企業との接点を生み出す。リリースから3年で法人口座30万口座、約3兆円の預金獲得を目指す。
 Trunkは銀行口座に加え、経理業務やビジネスカード、ファイナンスを一つのサービスで…

【写真】会見で新サービスの狙いを語る三井住友FGの中島社長(4月15日、東京都内)

預金

2025年6月6日号8面 特集 公金預金入札揺れる3地域

2025年6月6日号8面 特集 公金預金入札揺れる3地域

 東海 1%超で突出、関東・近畿 じわり上昇
 自治体などが預入先の金融機関を入札で募集する公金預金が、存在感を増している。関東・東海・近畿の3地域で金融機関や自治体に入札動向を取材した。

 ■新規参入、落札が増加
 関東地区のA自治体では、2025年に入り、公金預金で入札のなかった地域銀行が参加するようになった。ネット銀行からも参加の可否を聞かれることがあるが…

2025年5月23日号4面 地銀、法人向け寄付型定期 拡大、山口FG、2カ月で30件

2025年5月23日号4面 地銀、法人向け寄付型定期 拡大、山口FG、2カ月で30件

 地方銀行で、法人向け「寄付型定期預金」の取り扱いが広がりそうだ。定期預金総額の一定割合相当額を銀行側が地方公共団体や学校などへ寄付する商品。社会貢献活動を進めるとともに、金利以外の付加価値をつけて、粘着性のある預金の獲得につなげる。足元で西日本シティ銀行や筑邦銀行、山口フィナンシャルグループ(FG)傘下の3行などが商品を取り扱っている。山口FGは開始から約2カ月で5千万円以上を30件獲得。「認知度の高まりに伴い、今後さらに増える」(同社)見通しだ。
 西日本シティ銀は2024年11月に取り扱いを…

【写真】下関商高の校長から感謝状を受け取る前田機工の山本社長(左、5月8日)

2025年5月16日号1面 公金預金競争が過熱、一部でネット銀参入、地域金融機関に危機感

2025年5月16日号1面 公金預金競争が過熱、一部でネット銀参入、地域金融機関に危機感

 地域金融機関が過熱する公金預金の獲得競争に危機感を強めている。「金利ある世界」が戻り預金確保の重要性が増すなか、地域金融機関同士の入札競争が激化していたが、足元ではインターネット専業銀行なども地方の自治体の入札に参加。地域金融機関のビジネスモデルでは到底提示できない水準のレートで落札されるケースもあり、自治体との向き合い方を含め戦略の練り直しを迫られている。
 公金預金の獲得競争は、日本銀行によるマイナス金利解除が意識されて以降、各地で熱を…

2025年4月25日号5面 三井住友FG、法人版オリーブ始動、3年で預金3兆円

2025年4月25日号5面 三井住友FG、法人版オリーブ始動、3年で預金3兆円

 三井住友フィナンシャルグループ(FG)は、5月に法人向け総合金融サービス「Trunk(トランク)」を開始する。同社の個人向けサービス「Olive(オリーブ)」の仕組みを活用し、小規模・零細を含めた多様な企業に口座や決済に関連する機能を一気通貫で提供する。人手を介さないデジタルサービスで、メガバンクのメインターゲットではなかった中堅未満の企業との接点を生み出す。リリースから3年で法人口座30万口座、約3兆円の預金獲得を目指す。
 Trunkは銀行口座に加え、経理業務やビジネスカード、ファイナンスを一つのサービスで…

【写真】会見で新サービスの狙いを語る三井住友FGの中島社長(4月15日、東京都内)

2025年3月21日号1面 地銀、東京支店で預金増強、狙いは大企業、5割増も

2025年3月21日号1面 地銀、東京支店で預金増強、狙いは大企業、5割増も

 地方銀行が東京で預金量を増強している。主に大企業の大口定期預金を高めの金利で獲得しているとみられる。地銀の東京支店のなかには、2024年4月以降の半年間で、預金量を50%以上伸ばした先もある。地銀各行の地元では人口減少や遺産相続に伴う都市部への預金流出、インターネット専業銀行の利用者増加などを背景に、預金量の伸びが鈍化し始めている。大企業が集中する東京で大口預金を獲得し、こうした状況をカバーしたい思惑がある。
 「金利ある世界」に入り、大企業から預金入札の案内が増えているという。大企業の余裕資金を…

2025年2月14日号1面 都銀、個人預金の伸びに差、三井住友「オリーブ」寄与

2025年2月14日号1面 都銀、個人預金の伸びに差、三井住友「オリーブ」寄与

 都市銀行(みずほ、三菱UFJ、三井住友、りそな)の個人預金残高の伸びに差が出ている。都銀4行の2024年12月末の個人預金残高合計は23年3月末比5.25%増の218兆円。各行とも拡大基調にあるが、三井住友銀行は同期間に6.91%増やし、伸びが目立つ。23年3月から提供する個人向け総合金融サービス「Olive(オリーブ)」が浸透してきたことが寄与している。
 三井住友銀の24年12月末個人預金残高は61兆円。22年3月~23年2月と…

2025年1月17日号1面 預金獲得新時代(下)限られたパイ 争奪戦に

2025年1月17日号1面 預金獲得新時代(下)限られたパイ 争奪戦に

 競合金融機関が多い大都市圏では、地域金融機関を中心とした預金の争奪戦が激化している。人口減少や資金運用手段の多様化などを背景に預金の伸びは鈍化し、限られたパイを奪い合う時代が到来しつつある。(「預金獲得 新時代」取材班)

■相対で金利上乗せ提案
 地域金融機関に加え、三菱UFJ銀行も広く店舗を構える東海地区。…

【写真】キーエンス社のデータ分析ソフト「KI」で顧客データを分析する城南信金企画部の川口裕徳課長(左)と長岡恵二さん(24年12月12日、本部)

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

 金融界で、預金の一部が個人向け国債にシフトする可能性が浮上している。1月募集(2月発行)分の個人向け国債は、市場金利の上昇を受けて「固定3年債」が年0.62%、「固定5年債」が年0.77%となり、定期預金の金利を大幅に上回る水準になった。固定金利型の同債を追加購入したり、利率の低い既存債を中途解約して買い直したりする動きも出ている。
 1月募集の固定5年債は、「変動10年債」の年0.75%を上回り、…

融資

2025年6月13日号5面 群馬銀行、仕組み金融3年5.7倍、RORA向上に寄与

2025年6月13日号5面 群馬銀行、仕組み金融3年5.7倍、RORA向上に寄与

 群馬銀行は、ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)をリスクアセット利益率(RORA)向上の重点領域に据えて強化している。2022年4月の専担部設置から人材育成やノウハウ蓄積を進め、25年3月末残高は再生可能エネルギーなどを中心に1722億円と3年で5.7倍伸長。今後は船舶やデータセンター向けなどの推進も強化し、3年後に3200億円に乗せる計画。
 専担部の「スペシャライズドファイナンス部」は段階的に増員し、現在24人…

2025年6月6日号2面 金融庁、リスク管理態勢を懸念、3メガ、米ファンド融資増

2025年6月6日号2面 金融庁、リスク管理態勢を懸念、3メガ、米ファンド融資増

 金融庁は、大手行による米国ファンド向け融資のリスク管理態勢を懸念している。米トランプ政権による相互関税の影響で世界経済に不透明感が漂うなか、ファンド市場全体に悪影響が生じるリスクを注視する。各行はファンドの運用実態の把握とリスク分析の高度化が急務となっている。
 日本銀行によると、3メガの米国ファンド向け融資額は2024年9月末時点で…

2025年5月30日号1面 都銀、住宅ローン 再注力、三菱UFJ銀行、3年ぶり増、長期取引を意識

2025年5月30日号1面 都銀、住宅ローン 再注力、三菱UFJ銀行、3年ぶり増、長期取引を意識

 都市銀行で、住宅ローン推進に再注力する動きが目立ち始めた。三菱UFJ銀行は、2025年3月末の残高が3年ぶりに前年同月比で増加に転じた。りそな銀行も残高の伸び率が4年ぶりに1%台に回復。住宅ローンを起点に口座のメイン化を図り、粘着性の高い預金の確保や他の金融商品との複合取引につなげたい考え。インターネット専業銀行の低利攻勢に一服感が出たことも追い風となる。
 「お客さまのライフタイムバリュー(顧客生涯価値)を高めることが、これからのリテール金融にとって重要」――。りそなホールディングスの南昌宏社長は、…

2025年5月30日号2面 地域銀行、「金融・保険業」融資増加、背景に仕組み貸出か

2025年5月30日号2面 地域銀行、「金融・保険業」融資増加、背景に仕組み貸出か

 地域銀行で、「金融・保険業」の融資量が伸び続けている。ニッキンが2025年3月期の決算資料(97行)を集計したところ、同業の貸出金残高は前年同期比11%(約2兆円)増えていたことが分かった。増加に寄与したと推測されるのが、「仕組み貸出」だ。地元の貸出が伸び悩む一部の銀行が、収益多角化や貸出金残高の底上げを目的に増やしたもよう。他方、金融庁はこうした実態に警鐘を鳴らしており、今後は仕組み貸出の残高が減るとの見方が根強い。
 地域銀の25年3月期の貸出金残高は全体で約323兆円。このうち、「金融・保険業」は…

2025年5月30日号3面 三井住友信託銀行など、PIF浸透へ共通KPI、実践ガイダンス初公表

2025年5月30日号3面 三井住友信託銀行など、PIF浸透へ共通KPI、実践ガイダンス初公表

 三井住友信託銀行や静岡銀行などの有志団体「インパクト志向金融宣言」は5月30日、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)の共通成果指標(KPI)を盛り込んだ実践ガイダンスを公表した。地域金融機関のすそ野拡大が狙い。先行金融機関や有識者が知見を持ち寄り、卸売業・小売業や製造業、食品加工製造業、建設業など8業種のインパクトを特定し、具体的な目標設定事例を提示した。
 PIFは企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し融資する…

2025年5月16日号6面 信金、カードローンが復調、業務軽量化の動きも

2025年5月16日号6面 信金、カードローンが復調、業務軽量化の動きも

 信用金庫のカードローン推進に復調の兆しが見えている。信金ギャランティの3月末のカードローン保証残高は1403億円。2期連続の増加で、増加幅も拡大した。増える預金調達コストへの対応などを背景に、銀行カードローン問題や新型コロナウイルス感染症拡大の影響で続いた低迷期から脱しようとしている。
 信金ギャランティのカードローン保証残高は、2023年3月末に…

2025年4月18日号3面 地域金融機関、事業者支援先を選別、金利上昇局面で岐路に

2025年4月18日号3面 地域金融機関、事業者支援先を選別、金利上昇局面で岐路に

 地域金融機関で、経営改善支援先を選別する動きがじわり出てきている。見直しを図っているのは、返済猶予を延長するリスケジュールが常態化する実質無利子・無担保(ゼロゼロ)融資先。関東地区信用金庫の融資担当者は「再生の見込めない先にもう一度融資して(問題を)引き延ばすわけにはいかない」と吐露する。これまで継続的な訪問により与信管理や経営改善を行ってきたが、金利上昇局面に入り支援対象の選択と集中が一段と進む可能性がある。
 金利ある世界に突入し、返済負担が増す中小企業や個人事業主を中心に倒産リスクは…

2025年3月28日号6面 信金、住宅ローン推進 再強化、決済口座の獲得へ

2025年3月28日号6面 信金、住宅ローン推進 再強化、決済口座の獲得へ

 信用金庫で、金利の上昇を受けて住宅ローン推進を再強化する動きが活発化している。粘着性の高い預金を確保する重要性が増すなか、個人の決済口座を獲得してメイン化を図る狙い。信金業界では近年、住宅着工件数の減少や金利競争の激化による利回りの低下などを背景に自然体での推進体制とする動きがあったが、一部信金は収益を最優先としない戦略に舵(かじ)を切り始めた。
 具体的には、採算を度外視し、若年層や法人取引先の従業員向けに通常より低金利の住宅ローン商品を…

投信保険

2025年6月13日号3面 地域銀行・信金、NISA口座数伸び悩む、3カ月の増加率1%

2025年6月13日号3面 地域銀行・信金、NISA口座数伸び悩む、3カ月の増加率1%

 地域銀行や信用金庫は、少額投資非課税制度(NISA)の口座数が伸び悩んでいる。ニッキンの調査によると、2024年12月末~25年3月末の3カ月間で地域銀・信金を合算した増加率は1.0%にとどまった。日本証券業協会が集計した証券会社の増加率は同期間に4.1%となっており、伸び率に開きが出ている。地域銀においても個別にみると、口座数が8%以上増えた銀行があった一方、約2割の銀行は口座数が減少しており、明暗が分かれた。
 ニッキンは、投資信託の窓口販売を行う金融機関を対象に、四半期ごとに継続調査を…

2025年5月16日号3面 地銀、外貨保険の業績評価変更、手数料重視から脱却

2025年5月16日号3面 地銀、外貨保険の業績評価変更、手数料重視から脱却

 地方銀行は、2025年度に入ってから外貨建て保険販売の業績評価を相次ぎ変更している。金融庁が問題視する「プロダクトアウト型」営業から脱するため、銀行が保険会社から受け取る販売手数料をベースにした業績評価を変更したり、販売の数値目標自体を撤廃したりする事例もある。特定の商品に偏らないように、預かり資産関連の商品全般を一律の評価基準にするほか、評価の重点を販売額から預かり資産残高に移す銀行も出ている。
 生命保険会社が外貨保険の手数料体系や目標値設定機能を見直したのが…

2025年4月11日号1面 生保、一部で出向者引き揚げ、地銀は代替人材確保急ぐ

2025年4月11日号1面 生保、一部で出向者引き揚げ、地銀は代替人材確保急ぐ

 国内大手や外資系の生命保険会社が、地方銀行への出向者を引き揚げ始めたことが分かった。2024年度は損害保険会社による出向者引き揚げの動きが広がったが、「生保(の出向者引き揚げ)は損保以上に影響が大きい」(大手地銀)という。生命保険協会が25年度中にも、営業目的などでの代理店出向を一定程度制限するか、出向条件を厳しくしたガイドラインを出す可能性があり、地域金融機関は動向を注視している。
 生保が出向者を引き揚げ始めたのは、損保業界の一連の不祥事が飛び火したという…

2025年4月4日号10面 やさしいニュース解説 円建て保険 いま売れてるの?

2025年4月4日号10面 やさしいニュース解説 円建て保険 いま売れてるの?

 銀行窓販・円建て保険復権
 地域銀行の保険窓販の主力商品である「一時払い終身保険」で、円建て保険が存在感を増している。ニッキンの直近の調査では、2024年度上期は販売件数に占める割合が31%となり、2023年度下期に比べ11ポイント上昇した。日本銀行の利上げに伴い、生命保険各社が2024年に入ってから予定利率を相次ぎ引き上げて商品の魅力が増したことが大きい。以前は米ドル建ての利回りが高く、銀行窓販では外貨建て保険の人気がダントツだった。外貨建てに比べて極端に利回りが低かった円建て保険は影が薄くなり、2022年度下期は地方銀行で販売件数の1割まで落ち込んでいた。「金利ある世界」の復活は、保険販売にも地殻変動をもたらしている。

 ■金融政策が追い風に
 保障期間が長期にわたる商品を多く抱える生命保険会社は…

 【写真】円建て保険は為替リスクがなく販売しやすい

2025年3月21日号7面 おかやま信金、営業店の投信好調、販売額は2022年度比倍増

2025年3月21日号7面 おかやま信金、営業店の投信好調、販売額は2022年度比倍増

 【広島】おかやま信用金庫(岡山市、桑田真治理事長)の投資信託の販売が好調だ。預かり資産の専担者や営業店職員の推進活動により、2024年度の営業店における販売額が22年度と比べ倍増した。キャンペーンの展開や独自パンフレットの作成などを通して、顧客のライフプランに合わせた提案を強化している。
 24年度の営業店での投信販売件数は25年1月末で1782件。金額は28億700万円に上り、…

【写真】LA候補生となった価値創造部の職員(2月17日、本店営業部)

2025年2月28日号8面 投信市場、インデックス型3割超す、運用会社、アクティブ型周知

2025年2月28日号8面 投信市場、インデックス型3割超す、運用会社、アクティブ型周知

 投資信託市場で、信託報酬の低いインデックス型ファンドへの資金流入が加速している。公募株式投信の純資産総額に占めるインデックス型の割合は足元で3割と、この10年で3倍以上増加した。資産運用業界では収益低下が危惧され、一部運用会社ではアクティブ型の周知強化に動き出している。
 投資信託協会によると、インデックス型の純資産総額は1月末で51兆5千億円と…

2025年1月31日号6面 信金界、フルハップ連携が117信金、企業共済の販売拡大

2025年1月31日号6面 信金界、フルハップ連携が117信金、企業共済の販売拡大

 全国の信用金庫で、公益財団法人日本中小企業福祉事業財団(日本フルハップ、大阪市)の企業共済の取り扱いが拡大している。2024年4月から販売が始まり、25年3月末までに代理店契約を結ぶ先は117信金となる予定。直近では1月24日に多摩信用金庫(東京都)が販売を開始。4月以降も複数の信金が取り扱いを始める予定で、今後さらに広がる見込み。
 23年6月の中小労災共済法の施行により、信金や信用組合などでの中小企業向け共済販売が解禁。24年4月から全国信用金庫協会と日本フルハップが体制を構築し…

2025年1月31日号8面 投信、外株型へ流入加速、1月も前年超えペース続く

2025年1月31日号8面 投信、外株型へ流入加速、1月も前年超えペース続く

 投資信託市場で外国株式型への資金流入が続いている。2024年は上場投信(ETF)を除く公募株式投信全体の年間純資金流入額は23年比倍増の15兆3千億円と過去最高となったが、約6割が外株型で占めた。25年に入っても前年を上回るペースで流入しており、資金集中リスクを指摘する声もある。
 日本証券業協会の調査によると、証券会社10社(大手5社・ネット5社)の…

資産管理

2025年5月30日号11面 野村証券、地銀連携 残高3兆円、アライアンス先6行に

2025年5月30日号11面 野村証券、地銀連携 残高3兆円、アライアンス先6行に

 野村証券は、地方銀行との間で進めているアライアンスの預かり資産残高が、提携当初から1.5倍超に成長した。2019~2023年に提携を始めた山陰合同銀行、阿波銀行、大分銀行、福井銀行の4行分で、最終合意時点のアライアンス残高を合算すると2兆円弱だったのが、2024年12月末時点で3兆円を突破。2025年に入り東邦銀行と提携開始し、百十四銀行とも2025年度中に最終合意する予定。今後も成長が加速しそうだ。
 アライアンス残高は、提携地銀の残高と、同証券が提携地銀の主要営業地域で廃店した支店の残高の合計金額。野村証券は提携時に…

2025年5月2日号8面 特集 個人向け国債販売、金利上昇受け好調

2025年5月2日号8面 特集 個人向け国債販売、金利上昇受け好調

 金利上昇を受けて地域金融機関の個人向け国債の販売が好調だ。地方銀行、第二地方銀行、大手信用金庫(預金量5千億円以上)、大手信用組合(同3千億円以上)の180機関を対象にニッキンが独自調査。2024年度下期(2024年11月~2025年4月発行)の固定3年・5年、変動10年の合計販売実績は前年度比で70.9%増加。2024年度上期に続いて2期連続で2桁増加となった。

 ■利率、変動10年0.92%
 販売増加を後押しするのが金利上昇。2024年3月の日本銀行の政策決定会合によるマイナス金利解除を受け…

  【写真】財務省は2024年度に「KOKUSAIには愛があるプロジェクト2024」として、愛知県と岡山県でプロモーション活動を展開。両県で使われたオリジナルパンフレット

2025年4月25日号3面 日証協方針、「多要素認証」を義務化、サイトで社名公表へ

2025年4月25日号3面 日証協方針、「多要素認証」を義務化、サイトで社名公表へ

 日本証券業協会は、フィッシング詐欺などによる証券口座の不正取引被害拡大を受け、顧客に対して「多要素認証」の義務化を証券会社に要請した。ログイン時の多要素認証を必須とする証券会社をウェブサイトで公表する予定。同意を得た証券会社の社名を掲載する見通しで、被害防止に向けた緊急対応を求める。
 初回公表後も、同意した証券会社名は順次追加する。対応時期は明確化しない…

【写真】不正取引対策の方針を説明する森田会長(4月16日、日証協)

2025年3月21日号10面 特集 首都圏信金の相続対策、顧客密着でニーズに対応

2025年3月21日号10面 特集 首都圏信金の相続対策、顧客密着でニーズに対応

 最適解導く案内役に
 首都圏の信用金庫では、高齢化による相続ニーズが急速に高まっている。遺産分割トラブル、認知症による資産凍結、預金流出リスクなどさまざまな課題があるなかで、細やかな顧客ニーズに対応できる信用金庫ならではの役割発揮に努める。

 ■6割が預金流出増加
 内閣府の「令和6年高齢社会白書」によると、首都圏(東京都と埼玉・千葉・神奈川県)の高齢者人口(65歳以上)は…

 【写真】埼玉県信金では専担者のFP相談員が定期的に集まり、案件の共有化を図っている(2024年9月20日、埼玉県信金上尾支店会議室)

2025年2月21日号11面 ネット証券、NISA口座 216万件増、増加率は対面大手の10倍

2025年2月21日号11面 ネット証券、NISA口座 216万件増、増加率は対面大手の10倍

 ネット証券が少額投資非課税制度(NISA)の口座数を大きく伸ばしている。新NISA制度スタート1年目の2024年は手数料無料化などを背景に、ネット証券5社で合計216万件増えた。一方、対面主軸の大手証券は5社計で9万件の微増にとどまり、二極化傾向が鮮明だ。
 24年1~12月のNISA口座開設数はSBI、楽天、松井、マネックスグループ、三菱UFJeスマート(旧auカブコム)のネット証券5社合計で…

2025年1月24日号4面 大手信託2行、不動産テックに出資、業界課題・協業で解決

2025年1月24日号4面 大手信託2行、不動産テックに出資、業界課題・協業で解決

 大手信託2行は、不動産テック事業を手掛けるスタートアップへの同時出資を通じて協業体制を築き、商業用不動産市場が抱える共通課題の解決に乗り出す。分散的に存在する物件データや、形式が不ぞろいのレポーティング資料といった情報の“壁”を洗い出し、デジタル技術を活用したデータの構造化や利活用環境の向上を検討していく。
 三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行は1月8日、大手デベロッパー出身者らが設立した「estie(エスティ、東京都)」と資本提携した。出資額は非公表だが…

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

2025年1月17日号3面 金融界、預金、個人国債にシフトか、固定金利型の利率上昇で、追加購入・買い直しも

 金融界で、預金の一部が個人向け国債にシフトする可能性が浮上している。1月募集(2月発行)分の個人向け国債は、市場金利の上昇を受けて「固定3年債」が年0.62%、「固定5年債」が年0.77%となり、定期預金の金利を大幅に上回る水準になった。固定金利型の同債を追加購入したり、利率の低い既存債を中途解約して買い直したりする動きも出ている。
 1月募集の固定5年債は、「変動10年債」の年0.75%を上回り、…

2025年1月17日号7面 信組、「相続信託」で預金流出防ぐ、防止実績・26億円超に

2025年1月17日号7面 信組、「相続信託」で預金流出防ぐ、防止実績・26億円超に

 信用組合業界で、遺言代用信託を活用して相続による預金流出を防いだ実績が積み上がってきた。全国信用協同組合連合会とオリックス銀行が2017年に共同開発した「しんくみ相続信託」の累計契約のうち、24年11月末までに相続による解約が33億7千万円(1334件)発生。その資金の約8割を占める26億5千万円(1034件)が、各信組の預金口座で受け取られていることがわかった。
 全信組連の担当者は「他金融機関への資金流出の防止に加え、次世代との取引のきっかけにもなっている」と強調する。現在の契約件数は…

取引先支援

2025年6月13日号2面 省エネ支援 取り組み拡大、専担者や社内表彰反映、参画先“温度差”課題

2025年6月13日号2面 省エネ支援 取り組み拡大、専担者や社内表彰反映、参画先“温度差”課題

 経済産業省の「省エネ・地域パートナーシップ」に参画する金融機関は、省エネ支援の取り組みを拡大している。省エネ診断や補助金の活用を促進する200の参画金融機関で、省エネ診断実施件数を社内表彰制度に反映や、本部・営業店に専担者を配置するなど新たな動きが出てきた。ただ、各金融機関の取り組みには「相当程度の温度差がある」(経産省)のが実情。対応が後手に回れば、中小企業の脱炭素支援で先行する金融機関との間に明確な差が生じる可能性もある。
 省エネ・地域パートナーシップは2024年7月に創設。地域一体での省エネ支援体制を…

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

2025年6月13日号4面 広島銀行、請求書業務 DX後押し、新システムで口座確保

 【広島】広島銀行は6月下旬から、取引先の請求書業務を効率化するサービスを始める。アライアンス企業と共同開発したシステムを活用する。経理担当者がワンストップで請求書の受領から振り込み指示ができる仕組みで、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を後押しする。企業間取引がデジタル化するなか、法人決済口座の確保も目指す。
 システムは、営業企画部チャネル・ネットワーク企画室の行員がTIS(東京都)と構築…

2025年5月30日号4面 三菱UFJ信託銀行、共創型投資 収益源に、GX企業など40件

2025年5月30日号4面 三菱UFJ信託銀行、共創型投資 収益源に、GX企業など40件

 三菱UFJ信託銀行は、グリーントランスフォーメーション(GX)や社会課題の解決に資する共創型オープンイノベーションの取り組みを本格化している。2025年3月末時点の投資実績は約40件、累計では150億円超となり、投資枠をさらに数百億円まで広げた。資産金融や不動産、証券代行といった従来業務が成熟化するなか、法人マーケット部門の新たな収益源として期待する。
 事業シナジー、新規の事業共創を目的とした成長企業投資枠を22年4月に創設。主にスタートアップに出資し、…

2025年5月23日号6面 信金、シンガポールに商機、京都信金は物産展

2025年5月23日号6面 信金、シンガポールに商機、京都信金は物産展

 信用金庫業界で、シンガポールでの取引先の販路開拓に関心が広がっている。信金中央金庫のグループ会社である信金シンガポールには、2024年に全国の信金から販路拡大について153件の相談が寄せられた。京都信用金庫は5月、現地の日系百貨店で京都フェアを開催。取引先7社が催事場で自社商品を売り込んだ。参入障壁の低さや安定した政治などを背景に、信金の主要顧客である中小企業でも同国市場に商機を見いだす機運が高まっている。
 京都信金は5月9~22日、シンガポールの伊勢丹で、食品関連7社の商品を集めて…

【写真】京都フェアを訪れた伊勢丹の利用者(5月9日、シンガポール、信金中金提供)

2025年5月2日号3面 地域銀行・信金、取引先の経費削減支援、コンサル会社と連携拡大

2025年5月2日号3面 地域銀行・信金、取引先の経費削減支援、コンサル会社と連携拡大

 地域銀行や信用金庫が、取引先中小企業の経営改善を見据えたコスト削減支援に本腰を入れ始めている。光熱費や通信費をはじめとした経費を分析して削減策を提案するコンサルティング会社と連携。大きなロットで契約できないことから、高くなりがちな中小企業の経費を最小化し、収益改善につなげていく。
 中小企業向けコスト分析サービス「コストドック」を提供するゼネラル・パーチェス(東京都)によると…

2025年4月25日号17面 中国銀行、美術館の資金調達支援、ミュージアム債引き受け

2025年4月25日号17面 中国銀行、美術館の資金調達支援、ミュージアム債引き受け

 【広島】中国銀行は、大原美術館(岡山県倉敷市)などを運営する公益財団法人大原芸術財団の資金調達を支援している。文化・芸術機関の持続可能な運営体制構築を目指す同財団の要望を受け、疑似私募債による資金調達方法をアレンジ。4月3日に「ミュージアム債」と名付けた疑似私募債を引き受けた。同行が公益財団法人および美術館の疑似私募債を引き受けるのは初めて。全国的に珍しいという。
 疑似私募債は社債募集の形式をとりながら疑似的に私募債発行を模して資金調達する手法。調達したミュージアム債は…

 【写真】ミュージアム債寄付金の贈呈式に参加した大原あかね代表理事(左)と宮崎俊司執行役員(左から2人目)ら(4月16日、児島虎次郎記念館前)

2025年4月11日号6面 信金中金、脱炭素ファンドを組成、劣後ローン積極活用

2025年4月11日号6面 信金中金、脱炭素ファンドを組成、劣後ローン積極活用

 信金中央金庫は4月10日、信金キャピタル、脱炭素化支援機構(JICN)と連携して、「しんきん脱炭素応援ファンド」を組成した。信用金庫が出資や融資で関与する案件に対し、資金を供給する。劣後ローンを活用することで、事業者の自己資本拡充につなげ、融資を受けやすくする。JICNと連携した金融機関グループ主導のファンド組成は国内初。
 出資総額は20億円で、存続期間は2045年4月までの20年間。投資形態は、劣後ローンのほか、…

2025年3月28日号4面 肥後銀行、地下水保全で企業連携、ウォータークレジット創出へ

2025年3月28日号4面 肥後銀行、地下水保全で企業連携、ウォータークレジット創出へ

 肥後銀行は、熊本県内の地下水保全活動の一環で「ウォータークレジット」の創出を目指す。MS&ADインシュアランスグループホールディングスや日本政策投資銀行のほか、サントリーホールディングスなどと連携し、2025年度中に「熊本ウォーターポジティブデザインセンター」を立ち上げる。各社の知見を生かし、「革新的な金融手法の研究開発を進める」(事務局)方針だ。
 ウォータークレジットは、カーボンクレジットと同様の概念だ。水資源に負荷を与える企業などが…

地域貢献

2025年6月13日号17面 徳島大正銀行、慶応EMBAに協力、課題解決へ学生奔走

2025年6月13日号17面 徳島大正銀行、慶応EMBAに協力、課題解決へ学生奔走

 【高松】徳島大正銀行は、慶応義塾大学大学院経営管理研究科の経営学修士(MBA)プログラム「エグゼクティブMBA(EMBA)」を支援する。4~7月の日程で地域課題の解決策や振興案を提言する実習が徳島県内で行われており、地元金融機関として全面協力の構えだ。
 社会人経験15年以上を入学要件とする同EMBAは、経営の中核を担う能力や感覚を養うビジネススクールの一つ。2年次の必修科目に国内地域で…

 【写真】学生と面談する板東頭取(左、5月30日、徳島大正銀行本店)

2025年6月6日号5面 地域銀行、脱炭素連合で事業創出、鹿児島銀行など先陣

2025年6月6日号5面 地域銀行、脱炭素連合で事業創出、鹿児島銀行など先陣

 地域銀行が中心となる「地域脱炭素推進コンソーシアム」から、2025年度内にも具体的な取り組みが出てくる見通しだ。鹿児島銀行や大垣共立銀行、佐賀銀行が先陣を切って活動を進めており、鹿児島銀は基幹産業である畜産業発展を目指す事業においてカーボンクレジットを活用する。
 脱炭素コンサルティング会社のバイウィル(東京都)が主催する…

【写真】地域の脱炭素化に向けた取り組みについて話す鹿児島銀担当者(右、5月16日、赤坂インターシティ)

2025年6月6日号8面 特集 静岡銀行地方創生部が創設10年、社会価値創造の司令塔に

2025年6月6日号8面 特集 静岡銀行地方創生部が創設10年、社会価値創造の司令塔に

 【静岡】地域の活性化・人口減少への対応などをテーマに長期的な展望で戦略的に取り組む静岡銀行の地方創生部が6月19日、創部10周年を迎える。地方公共団体などと強固な連携体制を整備。現在は静岡県内を中心とした営業エリア内に社会的インパクトを生み出すことを使命とし、しずおかフィナンシャルグループ(FG)における社会価値創造の「司令塔」として成長した。

 ■地域課題に挑む
 地方創生部は2015年、法人部の公務渉外担当セクションに、すでに地公体、産業支援機関などへ…

 【写真】キッズアカデミーで黒はんぺん作りを体験(2024年9月14日、焼津水産高校)

2025年5月23日号17面 地銀系クラファン、ふる納活用中小支援、国内初のスキーム構築

2025年5月23日号17面 地銀系クラファン、ふる納活用中小支援、国内初のスキーム構築

 地方銀行系のクラウドファンディング運営会社であるミュージックセキュリティーズ(東京都)は、企業版ふるさと納税を活用した国内初となる中小企業の支援スキームを構築した。自治体が企業版ふるさと納税で集めた資金を、同社が仲介して地域企業に投資するもので、2025年度下期にも活用が本格化する見通し。中小企業がより大きな金額の資金を調達できることに加え、自治体や寄付企業は供給した資金の活用状況を把握できるなどのメリットがある。
 肥後銀行からの出向者が経営に携わるミュージックセキュリティーズは…

2025年4月25日号4面 地域銀行、枠組み作りJクレ創出へ、環境価値を経済価値に

2025年4月25日号4面 地域銀行、枠組み作りJクレ創出へ、環境価値を経済価値に

 地域銀行が、地元のJ‐クレジットの創出に向けたプロジェクトの構築に乗り出している。住民や取引企業が生み出した環境価値を経済価値に変換する動きを後押しすることで、地域で進む脱炭素関連の取り組みを持続的にする狙いがある。中国銀行と山陰合同銀行は、脱炭素コンサルティング事業を手がけるバイウィル(東京都)と連携した枠組みを始動させた。
 中国銀は「ちゅうぎんカーボンクレジットクラブ」、山陰合同銀は「ごうぎんJ‐クレジットクラブ~『みんなでJ‐クレジットつくっちゃおう!』プロジェクト」を…

2025年4月11日号8面 特集 大阪・関西万博が開幕、中小・新興が「世界驚かす」

2025年4月11日号8面 特集 大阪・関西万博が開幕、中小・新興が「世界驚かす」

 大阪拠点機関が出展支援
 【大阪】2025年日本国際博覧会(以下略称、大阪・関西万博)が4月13日開幕する。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」で、コンセプトを「未来社会の実験場」とした。大阪市の臨海部・夢洲(ゆめしま)に、160を超える国・地域・国際機関が参加。10月13日までの想定来場者は約2820万人。大阪に拠点を置く金融機関は、大阪ヘルスケアパビリオン内に設置される「リボーンチャレンジ」で、大阪の中小企業やスタートアップの新技術・サービスを展示する。「リボーン」には、大阪経済の再生・復興の狙いが込められており、優れた技術で「世界を驚かせたい」と意気込む。

 ■大阪の技術や魅力発信
 大阪ヘルスケアパビリオン内の展示・出展ゾーン「リボーンチャレンジ」では、ヘルスケア関連やSDGs(持続可能な開発目標)などの…

 【写真】「最大の木造建築物」とギネスに認定された外径675メートルの「大屋根リング」(公益社団法人2025年日本国際博覧会協会、大林組提供)

2025年4月4日号4面 地銀 地域課題解決へ協業、県境またぎシナジー発揮

2025年4月4日号4面 地銀 地域課題解決へ協業、県境またぎシナジー発揮

 地域の課題解決に向け、地方銀行が県境をまたいで協業する動きが相次いでいる。静岡銀行、山梨中央銀行、八十二銀行は3月27日、包括業務提携を結び、「富士山・アルプスアライアンス」を発足した。ちゅうぎんフィナンシャルグループ(FG)とひろぎんホールディングス(HD)は同28日、「山陽地域のサステナビリティ推進に向けたパートナーシップ協定」を締結。異なる知見・人材を生かしてシナジーを発揮し、共通の目標である地元の持続的成長を目指す。
 同アライアンスは静岡・山梨・長野各県の人口の社会増が目標で、3行合算の収益効果は…

【写真】アライアンス締結の会見で握手する(左から)松下正樹・八十二銀頭取、八木・静岡銀頭取、古屋賀章・山梨中央銀頭取(3月27日、東京都)

2025年4月4日号5面 愛媛銀行、スマホ支店で地方創生、4者連携しプロジェクト

2025年4月4日号5面 愛媛銀行、スマホ支店で地方創生、4者連携しプロジェクト

 【高松】愛媛銀行は、スマートフォン専用の「HandyBank支店」を通じた愛媛県の創生プロジェクトに乗り出した。セブン銀行や日本電気(NEC)、SBIネオファイナンシャルサービシーズとの協働で、4者が独自の強みを生かしながら愛媛をもり立てる仕組みを構築する。
 新たに開設したHandyBank支店は、「いつでも、だれでも、どこでも『スマホ×ATM』でアクセス」がコンセプト。3月24日から全国の…

【写真】手を携える西川頭取(左から2人目)とセブン銀の松橋正明社長(左から3人目)ら(3月24日、愛媛銀研修所)

国際

2025年6月6日号2面 金融庁、リスク管理態勢を懸念、3メガ、米ファンド融資増

2025年6月6日号2面 金融庁、リスク管理態勢を懸念、3メガ、米ファンド融資増

 金融庁は、大手行による米国ファンド向け融資のリスク管理態勢を懸念している。米トランプ政権による相互関税の影響で世界経済に不透明感が漂うなか、ファンド市場全体に悪影響が生じるリスクを注視する。各行はファンドの運用実態の把握とリスク分析の高度化が急務となっている。
 日本銀行によると、3メガの米国ファンド向け融資額は2024年9月末時点で…

2025年5月23日号6面 信金、シンガポールに商機、京都信金は物産展

2025年5月23日号6面 信金、シンガポールに商機、京都信金は物産展

 信用金庫業界で、シンガポールでの取引先の販路開拓に関心が広がっている。信金中央金庫のグループ会社である信金シンガポールには、2024年に全国の信金から販路拡大について153件の相談が寄せられた。京都信用金庫は5月、現地の日系百貨店で京都フェアを開催。取引先7社が催事場で自社商品を売り込んだ。参入障壁の低さや安定した政治などを背景に、信金の主要顧客である中小企業でも同国市場に商機を見いだす機運が高まっている。
 京都信金は5月9~22日、シンガポールの伊勢丹で、食品関連7社の商品を集めて…

【写真】京都フェアを訪れた伊勢丹の利用者(5月9日、シンガポール、信金中金提供)

2025年4月18日号2面 金融界、刻々と変わる米関税措置、取引先の実態把握急ぐ

2025年4月18日号2面 金融界、刻々と変わる米関税措置、取引先の実態把握急ぐ

 時々刻々と変化する米国トランプ政権の関税政策――。トランプ大統領は4月9日(現地時間)に「相互関税」を発動したが、1日も経たずに、中国を除く90日間の一時停止を発表。国内金融界は「一時的に過度な不安は後退したものの、不確実性は残っている」(四国地区地域銀行)との認識で、予断を許さない状況だ。官民で国内経済や取引企業への影響について実態把握を急ぐ。
 全国の財務局は地域金融機関を対象に、関税措置の影響について調査を開始…

【写真】米国関税措置に関する総合対策本部会合で、経団連からヒアリングした自民党(4月10日、本部)

2025年3月7日号10面 特集 ソウル現地取材、日韓経済交流に広がり、両国の新興支援も商機

2025年3月7日号10面 特集 ソウル現地取材、日韓経済交流に広がり、両国の新興支援も商機

 2025年は日本と韓国の国交正常化60周年にあたる。両国の往来者は過去最多の1200万人を超えるなど交流は活発化。人の交流に加え、政治的な歩み寄りを背景に経済・産業面においても結びつきは強まっている。韓国の首都・ソウルにみずほ銀行、三井住友銀行、三菱UFJ銀行はソウル支店を構え、両国間のビジネスを支える。それぞれ200人前後の行員が在籍し、取引先は日系・非日系あわせて700~1000社を抱える。日系企業進出はすでに一巡して韓国は成熟した市場とも映るなか、金融機関の支援のあり方に新たな取り組みが見えてきた。

 「人口が多く、商慣習が似ている日本は参入しやすい環境が整っている」とリートンテクノロジーズジャパンの増田良平ゼネラルマネージャーは話す。
 同社は…

 【写真】ソウル中心部にある南山(ナムサン)の頂上から見た市内(2月21日)

2024年11月15日号3面 トランプ再選、大手行、外債運用で警戒、「利下げ享受」に暗雲

2024年11月15日号3面 トランプ再選、大手行、外債運用で警戒、「利下げ享受」に暗雲

 財政拡張路線や大幅減税を選挙公約に訴えてきたドナルド・トランプ前米大統領の再選で、大手行では金融市場に対する警戒感が高まっている。景気刺激策によるインフレ再燃や財政悪化懸念が高まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ停止観測も浮上。米金利は選挙情勢の報道が増した10月以降、上昇基調に転じ、キャピタルゲイン(売買差益)を狙って外債残高を積み上げてきたメガバンクなどでは、政情を見極めた運用が迫られそうだ。
 海外金利のボラティリティーが高まっている。…

2024年11月1日号1面 メガバンク、印のノンバンク規制注視、現地戦略へ影響も

2024年11月1日号1面 メガバンク、印のノンバンク規制注視、現地戦略へ影響も

 メガバンクは、インドの中央銀行にあたるインド準備銀行(RBI)によるノンバンク融資規制の動向を注視している。急成長するノンバンク市場への警戒を強めるRBIによる業務停止命令などが相次いでいるため。10月17日には三菱UFJ銀行出資先を含むノンバンク4社に対して新規融資の停止処分が下った。さらなる規制強化に発展すると、現地でリテール事業を強化する戦略に影響を与える可能性がある。
 10月17日に処分を受けたのは三菱UFJ銀が出資する…

2024年9月6日号4面 三菱UFJ銀行、デジタル金融トップへ、ASEANが成長の柱

2024年9月6日号4面 三菱UFJ銀行、デジタル金融トップへ、ASEANが成長の柱

  三菱UFJ銀行は、東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国(タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピン)で戦略出資を加速している。アユタヤ銀行(タイ)などパートナー4行との連携に加え、口座を持たない消費者などにも積極的に貸し付けるデジタルレンディングに本格参入する。出資総額はこの10年で1兆6千億円に。今後10年のうちにASEANトップのデジタル金融グループの地位を固めたい考えだ。
 2024年6月にタイ最大手のアセンドマネーに306億円、8月にはフィリピンのユニコーン企業、ミントに633億円を出資。いずれもモバイル決済などで…

【写真】ASEANの出資先をつなぐイベント「MUFGフィンテックフェスティバル」(23年11月、シンガポール)

2024年7月12日号5面 百五銀行、三重を「ハラル先進県」に、認証取得サポート

2024年7月12日号5面 百五銀行、三重を「ハラル先進県」に、認証取得サポート

 【名古屋】百五銀行は、三重県内企業のイスラム市場開拓を支援する。海外進出にあたり、食事などでイスラム教の戒律に沿った「ハラル認証」の取得をサポート。政府関係機関とのネットワークも築き、全国の地域銀行でも珍しい巨大市場に三重から攻める。

【写真】ラウンドテーブルの第2部では、津市のつじ農園の米を始め、イスラム教徒も食べられるメニューを食堂で提供した(7月5日、同行丸之内本部)

営業店

2025年6月13日号18面 伊予銀行郡中支店、米歯ブラシ開発で伴走、原材料確保に休耕地活用

2025年6月13日号18面 伊予銀行郡中支店、米歯ブラシ開発で伴走、原材料確保に休耕地活用

 【高松】伊予銀行郡中支店(森本吉徳支店長=行員34人うち営業担当9人)は、地元企業への伴走支援の取り組みで存在感を発揮している。山陽物産(愛媛県伊予市)の事例では戦略策定から携わり、米を使用したエコ素材歯ブラシの開発を支えた。原材料の確保では地元農業法人の紹介を通じて休耕地の活用を見いだすなど、持続可能な地域づくりへの貢献でも注目されている。
 ホテルアメニティーの製造を手掛ける同社は、ホテル業界で二十数%のシェアを持つ。旧来からハンドル部分に廃棄米などを35%配合した歯ブラシを販売し…

 【写真】(上)山陽物産の武内英治社長(右)と打ち合わせをする森本吉徳支店長(中央)と日野和行課長(5月29日、山陽物産)。(下)休耕地で資源米収穫を手伝った森本吉徳支店長(中段左から3人目)と日野和行課長(同2人目、2024年10月、伊予銀行提供)

2025年6月6日号1面 三井住友銀行オリーブラウンジ渋谷店、開業1年 見えた「距離感」

2025年6月6日号1面 三井住友銀行オリーブラウンジ渋谷店、開業1年 見えた「距離感」

 銀行、オフィス、カフェの融合――。三井住友銀行の「オリーブラウンジ渋谷店」が5月27日に1周年を迎えた。銀行を「行く場所」から生活空間に「ある場所」に変え、ATM利用を除く1日平均来店者数は約1500人と旧店の30倍に拡大。銀行利用はその1割だが、それでも以前の3倍に増えた。現場が試行錯誤を続けるなか、この1年で見えてきたのは顧客との“距離感”だ。
 オリーブラウンジは、個人向け総合金融サービス「オリーブ」の世界観をリアルで…

【写真】オープンから1周年のオリーブラウンジ渋谷店(5月26日)

2025年6月6日号18面 三菱UFJ銀行岐阜支店、一歩踏み込み企業に提案、承継・再生支援で成果

2025年6月6日号18面 三菱UFJ銀行岐阜支店、一歩踏み込み企業に提案、承継・再生支援で成果

 【名古屋】三菱UFJ銀行岐阜支店(明東徹支店長=社員計59人うち女性38人。法人担当13人)は、企業の事業承継や再生支援で成果を上げる。企業が抱える問題を先延ばしせず、グループ会社と連携しながら、一歩踏み込んで提案する姿勢を貫く。役席が成功・失敗事例を日頃から共有し、若手行員に助言することで気付きを得て、次のステップへと進み続ける。
 明東徹支店長は2023年10月に着任。「企業や個人のお客さまの将来に必要とされることが大切」との方針を店内に周知。特に法人分野では…

 【写真】担当者らと情報交換する明東徹支店長(左から3人目、5月22日、三菱UFJ銀行岐阜支店)

2025年5月30日号18面 中国銀行大元支店、「交渉記録」共有し提案、顧客接点増やし成約へ

2025年5月30日号18面 中国銀行大元支店、「交渉記録」共有し提案、顧客接点増やし成約へ

 【広島】中国銀行大元支店(井上善裕支店長=行員11人うち営業担当者7人。パート5人、嘱託6人、派遣2人)は、個人客との接点を広げ、面談時のやりとりを「交渉記録」を通じて全員で共有。記録が起点となってニーズを掘り起こし、提案、成約へと結びつけている。相続関連の遺言信託・遺産整理業務では2023、2024年度と2年度連続で全店1位となった。
 個人特化型としては同行で最大の店舗。井上善裕支店長は2022年10月に着任すると…

 【写真】ウェルスコンシェルジュらと勉強会を開く井上善裕支店長(右、5月1日、中国銀行大元支店)

2025年5月23日号18面 秋田銀行横手支店、「お客さま起点」の営業、ナレッジ共有を促進

2025年5月23日号18面 秋田銀行横手支店、「お客さま起点」の営業、ナレッジ共有を促進

 【仙台】秋田銀行横手支店(佐々木義幸支店長=行員20人うち法人営業10人、個人営業9人。パート6人)は、「お客さま起点」の全員営業実現へ、渉外・融資・窓口の担当を再編し、法人営業課と個人営業課の2本柱体制に移行。顧客支援のノウハウを行員が共有し、提案力を高度化している。コンサルティング力が強化され、2024年度の役務収益は、前年度対比10.9%増加した。
 新体制は、個々の活動目的の明確化と顧客課題の深掘り強化が狙い。佐々木義幸支店長の着任直後の2023年7月…

 【写真】フリーアドレスの業務室でミーティングをする佐々木義幸支店長(左から3人目、5月2日、秋田銀行横手支店)

2025年5月16日号18面 千葉信金千葉駅北口支店、訪問重ね高ロット案件、10億円の融資実行も

2025年5月16日号18面 千葉信金千葉駅北口支店、訪問重ね高ロット案件、10億円の融資実行も

 千葉信用金庫千葉駅北口支店(本間隆行支店長=職員14人うち渉外6人)は、小まめな事業者訪問で資金ニーズを把握し、不動産業者や自動車ディーラーから高ロットの融資案件を獲得。10億円の融資実行もあり、2024年度末の貸出金残高は前年度比16億円増加。貸出金利息や役務収益などの支店実収益は、2億9300万円で2024年度計画比4300万円上回った。
 JR千葉駅前のオフィス街に立地。融資先は不動産業者を中心に小売業者や飲食店など約250社にのぼる。
本間隆行支店長は2023年4月の着任時…

 【写真】建設中の収益物件を調査する営業チーフ(左)と本間隆行支店長(5月1日、千葉市)

2025年5月2日号18面 鹿児島銀行都城支店、事業承継・M&A支援、情報の連携管理を徹底

2025年5月2日号18面 鹿児島銀行都城支店、事業承継・M&A支援、情報の連携管理を徹底

 【鹿児島】鹿児島銀行都城支店(冨田健一支店長=行員29人うち営業19人)は、2024年5月の新築移転時に、冨田支店長のリクエストで支店長席横に「相談カウンター」を設置。若手と同じ目線で報告・相談を受けられるようにし、心理的安全性を確保するのが狙いだ。こうした情報連携は、取引先の事業承継・M&A(合併・買収)の支援にも役立った。
 宮崎県都城市の「ぎょうざの丸岡」は、地元のソウルフードと呼ばれるほどの人気商品を製造販売する。同社から事業承継の相談が寄せられたのは…

 【写真】商品について話し合う遠武憲明社長(左)と冨田健一支店長(4月7日、お菓子の昭栄堂)

2025年4月25日号18面 静岡銀行下田支店、市・経営者と地域共創、ジェット船の呼び込みも

2025年4月25日号18面 静岡銀行下田支店、市・経営者と地域共創、ジェット船の呼び込みも

 【静岡】静岡銀行下田支店(大箸武史支店長=行員21人うち渉外・預り資産担当者13人。パート8人)は、地域の経済・社会的な課題の解決を図るため、地方公共団体や地元商工会議所、観光協会と連携した中長期の取り組みを推進。しずおかフィナンシャルグループ(SFG)が進める「地域共創戦略」具現化を目指している。
 大箸武史支店長は2024年4月に着任。人口減少の現状を踏まえ、下田ブロック内の稲取・松崎2カ店を含めた営業エリア「賀茂地区1市5町」の課題を…

 【写真】事業承継セミナーであいさつする大箸武史支店長(左奥、4月16日、道の駅開国下田みなと会議室)

インタビュー

2025年4月18日号7面 農林中金、2026年3月期黒字化を堅持、再投資先は慎重に選別

2025年4月18日号7面 農林中金、2026年3月期黒字化を堅持、再投資先は慎重に選別

 4月1日に農林中央金庫のトップに就任した北林太郎理事長は、同10日に本紙のインタビューに応じ、米国トランプ政権による関税引き上げの影響で世界的に金融不安への警戒感が高まるなかでも2026年3月期の黒字化目標を堅持すると明かした。
 25年3月期連結決算の純損益は約1兆9千億円の赤字を見込むが、24年度中に…

【写真】インタビューに応じる北林理事長(4月10日)

2025年4月4日号2面 インタビュー 半沢・全銀協新会長、成長支え未来への礎 築く

2025年4月4日号2面 インタビュー 半沢・全銀協新会長、成長支え未来への礎 築く

 全国銀行協会の会長に4月1日、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取(60)が就任した。国内景気は拡大基調が続くが、不祥事が相次いだ金融界は信頼回復という課題も抱える。今後の協会運営方針や銀行経営を取り巻く環境などについて聞いた。

■縮小均衡脱し好循環を実現
 ――失われた30年と言われた日本経済の現状認識は。
 「縮小均衡から変わるためのいい流れができつつある。これをしっかりした動きに…

2025年1月1日号3面 特集 新春インタビュー、福留・全銀協会長、スタートアップ育て再成長実現

2025年1月1日号3面 特集 新春インタビュー、福留・全銀協会長、スタートアップ育て再成長実現

官民挙げて推進するスタートアップ育成――。
日本の再成長のカギとなり、銀行界に求められる役割は融資から出資まで幅広い。
全国銀行協会の福留朗裕会長(三井住友銀行頭取)に銀行のスタートアップ支援や日本が抱える課題について聞いた。
(聞き手=佐藤康浩)

■世界基準の生態系必要
 ――日本のスタートアップの現況をどうみていますか。
 「今の米経済を引っ張っているのは新しい産業を作り出した『マグニフィセント・セブン』のような…

2024年12月6日号9面 【ちょっと一言】 後藤真希さん(歌手・タレント)、ファンの存在が原動力

2024年12月6日号9面 【ちょっと一言】 後藤真希さん(歌手・タレント)、ファンの存在が原動力

 一店舗で他店対応を
 1999年に「モーニング娘。」でデビューし、2024年9月9日に25周年を迎えた。ミリオンヒットした「LOVEマシーン」では、加入直後にセンターへ抜てき。多くのファンの心をつかむと「恋のダンスサイト」などのヒット曲を連発させ、一時代を築いた。現在は歌手やタレントとして活躍中だ。
 自身が「転機だった」と話すのは2008年のエイベックスへの移籍。アイドル時代とは違い…

2024年10月11日号8面 特集 東北4信金、創業者に聞く・必要な支援とは

2024年10月11日号8面 特集 東北4信金、創業者に聞く・必要な支援とは

 融資で夢実現・助言を成長に
 【仙台】少子高齢化や事業所数減少の影響を大きく受けている東北地区経済。その厳しい環境のなかでも地元信用金庫の支援を得て創業や事業拡大に成功した企業がある。創業者4氏に起業の経緯や信金の支援内容、後に続く創業者に対して金融機関が担うべき役割を聞いた。

 ■NPO「水梨かふぇ」(気仙沼信金)、ビジョン描き導く存在
 障がい者などの支援施設、多機能型事業所「いっぽ」を運営する水梨かふぇ。看護師だった秋山順子理事長が…

 【写真】水梨かふぇの秋山順子理事長(右)から話を聞く気仙沼信用金庫南支店の村上達也支店長(7月9日、多機能型事業所「いっぽ」)

2024年9月20日号10面 再考地方創生(6) 積み残された課題、重み増す次の10年

2024年9月20日号10面 再考地方創生(6) 積み残された課題、重み増す次の10年

 政府が地方創生を打ち出してから10年。金融機関も自治体と連携して全国各地で取り組みを進め一定の成果を生んだ一方で、積み残された課題は少なくない。自見英子地方創生担当大臣(48)と、福島県会津若松市でICT(情報通信技術)を活用した「スマートシティ」化を推進するアクセンチュアの海老原城一執行役員(48)に今後の展望などを聞いた。

 【写真】(左から)自見英子・地方創生担当大臣、海老原城一・アクセンチュア執行役員

2024年8月30日号6面 インタビュー 平松・全信協会長、業界一丸でデジタル化推進

2024年8月30日号6面 インタビュー 平松・全信協会長、業界一丸でデジタル化推進

6月に就任した全国信用金庫協会の平松廣司会長(74歳、かながわ信用金庫会長)。地域経済の縮小や役職員の減少、預金獲得競争の激化など課題が山積するなか、今後の戦略を聞いた。


 ――金利環境が変わり預金の重要性は増すが、獲得に向けて必要になるのは。
 「預金に対する姿勢は変化しており、獲得に向けた動きが活発になりつつある…