2022年9月2日号2面 実像 インボイス対応支援(上)制度運用開始まで1年
中小のDX契機に寄り添う
2023年10月から日本でインボイス制度(適格請求書等保存方式)がスタートする。商品・サービスの売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額を伝え、複数税率に対応した的確な課税と益税の阻止につなげるのが目的だ。すぐに課税事業者の事前登録が始まるが、実務対応に向けた中小企業の動きはまだ鈍い。地域金融機関では、制度周知のセミナーをはじめ、IT事業者と連携したバックオフィス業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化をサポートしている。
■取引先に制度を周知
筑邦銀行は21年9月、インボイス制度に対応した請求書発行が可能となるクラウドサービス「INVOY」の案内を開始した。協業相手であるOLTA社の…
【写真】リコージャパン社員(左、左から2人目)や島田掛川信金大東支店の上野剛奨・営業担当(右)に自社のDXの課題を相談する城東工業の野中友貴さん(8月25日、掛川市)
2022年9月2日号3面 金融庁、NISA拡充へ高い壁、「成長枠」に財務省が難色
金融庁が求めるNISAの抜本拡充に向けた政府・与党の議論は難航しそうだ。財務省は、つみたてNISA内に「成長投資枠」を設ける案に難色を示しているもよう。金融所得課税の引き上げに関する議論が再燃する展開も考えられ、12月末に向け予断を許さない状況が続く。
同庁が8月末までに公表した案は、投資期間と非課税期間を無期限にして投資枠を広げ、つみたてNISAと一般NISAの一本化を図るもの。非課税限度額は…
2022年9月2日号5面 三菱UFJ銀行、DX人材を育成、中堅・若手1500人体制
三菱UFJ銀行は、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するデジタル人材の育成を進める。2023年度までに中核人材500人、中核候補人材1千人体制を構築する。これは現在の2倍に相当する規模で、主要部署すべてにDX人材を配置する方針。
求めるのは金融業務の知見・実務経験を備え、人工知能(AI)やデータ分析などの技術と、UI(顧客接点)・UX(顧客体験)を創出するデザインの専門性を備える人材だ。
人材育成の基盤を強化するため、…
2022年9月2日号6面 鹿児島銀行、SDGs医療債が好調、引き受け60億円超
【鹿児島】鹿児島銀行は「SDGs(持続可能な開発目標)推進医療機関債」の引受額が上期中に60億円を超える見通しだ。期日一括返済の資金を調達でき、同行負担の寄付によって社会貢献も後押しできる特徴がある。
8月22日までに34件、59億円を引き受けた。最終段階の案件も2件あり、9月末までに約3億円増えると見込む。取り扱いは2019年7月に開始。新型コロナの影響で、設備投資を先送りする医療機関もあるなか、…
【写真】宮崎県の医療法人「慶明会」は国富町社会福祉協議会に寄付した(国富町役場)
2022年9月2日号9面 大垣西濃信金、“スモールDX”支援展開、少額・簡易な仕組み構築
【名古屋】大垣西濃信用金庫(岐阜県、栗田順公理事長)は、デジタル化が遅れている中小企業向けの“スモールDX”支援を展開。モバイルショップ運営会社やデジタル化を手掛ける企業と組み、コスト削減とあわせたDX(デジタルトランスフォーメーション)による生産性向上の仕組みを構築した。少額で簡易的に実践できるスモールDXの提案を進めている。
モバイルショップ運営のスマートツール(岐阜市)が携帯電話料金の見直しなどを通じたコスト削減を提案。その資金をDX分野に投じ、タブレット端末の導入と合わせて、…
【写真】ラピルスDXは読み込んだ書類をデジタルに置き換え、入力フォームやチェックボックスを埋め込むことができる(8月23日)
2022年9月2日号11面 特集 【時の話題】信金中金×信金、広がるSDGs、脱炭素支援が本格化
地域経済エコシステムを構築
信金中央金庫が全国の信用金庫と連携したSDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた取り組みが広がっている。2020年2月にスタートしたSDGs私募債は、累計で200件(7月末)に到達。2022年度も前年度を上回るペースで推移している。全国で脱炭素の取り組みを推進するため、環境省や自治体、専門機関と協力した支援体制を構築。業界の先進事例や体制整備のノウハウ共有が進んでいる。
■私募債・48信金200件
SDGsに取り組む企業の資金調達を支援する「しんきんSDGs私募債」は、全国の信用金庫が保証人・総額引受人として発行し…
【写真】先進事例を共有する「SDGs情報交換会」で講演した浜松いわた信用金庫SDGs推進部の副部長(左)と信金中央金庫SDGs推進部の部長(2021年12月15日、信金中央金庫)
2022年9月2日号16面 特集 事件特集(上)、内部事件2022年(1~6月)
行職員の着服・横領27件
信用金庫・信用組合や農業協同組合による着服・横領の発生が目立っている。2022年上半期(1~6月)に判明した金融機関の内部事件は27件(本紙調べ)。2021年上半期からは10件減少したものの、業態別でみると、信金が最多の12件に上り、信組(4件)と農協(5件)を合わせると、協同組織金融機関で全体の7割を超えた。地域銀行は1件にとどまった。ただ、複数の証券取引所で着服・不正流用が発覚するなど業態・業種の“幅”は広がっている。
年齢別では…
2022年9月2日号19面 金融庁、女性起業家に投資を、格差解消へ旗振る
スタートアップ企業に対する投資家の視線は、経営者が女性であれば厳しくなりやすいようだ。金融庁の有志チームが、実態を可視化して社会の問題意識を高めようと旗を振っている。
同庁は職員に対し、自主的な政策立案活動への取り組みを認める「政策オープンラボ」という仕組みを設けている。そこで…
【写真】ラボメンバーと話し合うサステナブルファイナンス推進室長補佐(中央、8月23日、金融庁)
2022年9月2日号20面 愛知銀行豊橋支店、課題解決型営業、相続に賃貸物件の購入支援
専門人材と効果的連携
【名古屋】愛知銀行豊橋支店(山口朝昭支店長=行員22人うち渉外7人。パート3人)は、営業店と本部が一体となった取引先の本業支援を強化している。行内の専門人材と効果的に連携し、高度なソリューションを提供することで競争が激しい地域で他機関との差別化を目指す。5月には、取引先の事業承継に伴う相続税対策の一環として不動産の購入費用を融資し、業者とのマッチングにもつなげた。
同店は、愛知県豊橋市を中心に豊川市、田原市の3市をカバー。60万人の人口と2万社超の事業所を抱え…
【写真】中日精工の山本哲司社長(右)からトラクター用ギアの製造法を聞く山口朝昭支店長(8月23日、中日精工)