2022年6月10日号2面 実像 岐路の債券運用~金利が上がる時代~(下)
調達コスト上昇、抜本転換迫る
米国の金利上昇を受け、2022年3月期に有価証券運用で多額の「損」を抱えた邦銀。大幅利上げは当面、続く見通しで23年3月期は傷が深まる可能性が高い。とりわけ、外債運用の元手となる「外貨」を市場調達に頼らざるを得ない地域金融機関は調達コストが急激に膨らみ、逆ざやになりかねない。運用戦略の抜本的な転換が迫られている。
■「損切り」か「逆ざや」
金利上昇局面に入ると、全年限の債券価格が一斉に下がる――。多くの金融機関は今春、債券運用の難しさに直面した。債券は…
2022年6月10日号3面 中企庁、地域金融と伴走支援、各地に専門家100人派遣
中小企業庁は地域金融機関や税理士などと連携し、中小企業に対する「伴走支援」を本格化させる。新たに立ち上げた協議会で、支援機関の評価指標や、支援を受ける事業者に対する優遇措置のあり方を検討する。8月ごろからは全国の経済産業局などに約100人の専門家を派遣し、支援のモデルケース作りを始める。
5月31日、官民の団体で構成する「経営力再構築伴走支援推進協議会」を立ち上げた。支援機関が連携して…
【写真】角野然生・中企庁長官は、官民機関の連携強化に取り組む考えを示した(5月31日)
2022年6月10日号4面 地銀 貸出金利、都銀水準に低下 「越境」活発化など背景
地方銀行の貸出金利の水準が都市銀行に近づいている。日本銀行の統計によると、マイナス金利政策を導入した2016年以降、両業態の金利格差は縮小。低水準で推移してきた都銀がここにきて上昇傾向となる一方、地銀は低下に歯止めが掛からず、信用力などで顧客層の違う両業態が並ぶ異例の金利環境となっている。
日銀が毎月公表する「貸出約定平均金利」によると、地銀の同金利(新規・総合)はリーマン・ショック後の09年頃から低下。ただ…
2022年6月10日号5面 埼玉りそな銀行、資本出資で企業支援強化、外部ファンドに参加へ
経営改善や事業転換後押し
埼玉りそな銀行は、企業の経営改善や事業転換への支援を強化する。2022年度に立ち上げた投資ファンドを使って第2創業などをサポートするほか、新たに企業へ資本性資金を投入する外部ファンドにも参加し、支援メニューを充実させる。
福岡聡社長が6月8日までにインタビューで、「外の力を使って、貸出だけでなくエクイティの供給にも対応し支援する」と語った。新たなファンドへの出資は6月中にも…
【写真】企業支援策を語る福岡社長(6月2日、本店)
2022年6月10日号6面 西日本シティ銀行、広告ビジネスを本格展開、ツイッターなどで提供
【福岡】西日本シティ銀行は、SNSや公式アプリなどを活用したデジタル広告ビジネスを本格展開していく。特にSNSでの発信は全国の若年層に訴求でき、取引先の販路拡大の切り札になる可能性を秘める。他の地域銀行に先駆けた動きは、新規事業の行方を占う試金石になりそうだ。
同行が提供するメニューは、ツイッターと同行のスマートフォンアプリ(純広告)、オウンドメディア(記事広告)の3種類。デジタル広告はテレビCMに比べ費用が安く、…
【写真】デジタル広告ビジネスを本格展開していく
2022年6月10日号8面 全信協・信金中金、中小の脱炭素化を促進、環境省と連携協定
全国信用金庫協会と信金中央金庫は、環境省と持続可能な地域経済社会の実現に向けた連携事業を進める。6月1日に3者による協定を締結。全国の中小企業による脱炭素の取り組みへの支援や、「地域脱炭素化推進グリーンファンド(仮称)」の活用を通じて、再生可能エネルギーによる発電事業を促進していく。
協定締結の目的は、全信協、信金中金、環境省の緊密な相互連携のもと、「2050年脱炭素社会の実現」に向けた課題解決や地域経済社会の発展。全信協では、…
【写真】連携協定を締結した(左から)柴田・信金中金理事長、大岡環境副大臣、御室・全信協会長(6月1日、環境省)
2022年6月10日号9面 長野信金の創業支援事業、5年目迎え継続率9割、アテンダントが伴走サポート
長野信用金庫(長野県、市川公一理事長)の創業支援事業「『しんみせ』応援プロジェクト」が今年で5年目を迎えた。事業者の悩みや迷いに寄り添う「まちづくりアテンダント」によるきめ細かいサポート体制が活力となり、地域活性化の一翼を担っている。
“しんみせ”は、約半年にわたる書類・プレゼンテーション選考やスクール形式の講義、フィールドワークなどを通じて、創業予定者や創業後間もない事業者の…
【写真】Mallika Brewingの伊東大記代表(左)とアテンダントの森山美玖さん(5月25日)
2022年6月10日号17面 金融界2022年株主総会、株主提案が活発に、取締役スキル開示浸透
金融界(銀行、証券、保険)の2022年3月期の定時株主総会が6月14日からスタートする。東京証券取引所の新市場移行後初めて。大和総研によると、上場企業全体では株主提案数が過去最高となる見通しで、一部の銀行でもアクティビスト(物言う株主)などから株主提案を受ける。
東証によると、2022年3月期決算の東証上場企業全体の株主総会の集中日は6月29日に対し、金融界は24日。本紙が集計した100機関(表)のうち…
2022年6月10日号20面 伊予銀行宇和島グループ、平準払い保険、専担配置しグループ内連携強化
2021年度下期171件獲得
【高松】伊予銀行宇和島グループ(紀井尚之グループ長兼宇和島支店長、行員60人うち渉外25人。嘱託・スタッフ28人)は、グループ内の円滑な連携体制を構築して平準払い保険商品の成約件数を積み重ねている。2021年度下期は自主目標の140件を上回る171件を獲得し、行内の好事例に選出。高いスキルを持った専担者を配置して提案機会を創出し、推進の質向上にもつなげている。
宇和島、追手(宇和島支店内)、城南、和霊町、岩松の計5カ店から成る同グループには、総勢90人近くが在籍。組織の一体感を高めるために目を向けたのが…
【写真】自らも保険コンサル担当者として提案活動に取り組んでいる担当者(5月20日、伊予銀行宇和島支店)