2022年8月19日号11面 特集 大手行の地域金融機関向けソリューション、自行サービスを横展開
大手行各行が、地域金融機関へのサービス提供を強化している。自行のサービス機能向上への努力の成果を地域の金融機関へ横展開する。特に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」関連ソリューションや「アプリ」の提供、「本人確認やセキュリティー」の支援――などで競う。
■DX:非金融の課題解決ツールに
「多様化する取引先企業の経営課題への提案に対して、従来の金融サービスにとらわれず新たな価値を付けませんか」――地域金融機関へ「法人ビジネスプラットフォーム」を推進する三菱UFJ銀行。訴求ポイントを…
【写真】法人ビジネスプラットフォームについて打ち合わせするプロジェクトチーム(8月8日、三菱UFJ銀行本館)
2022年8月19日号17面 山梨中央銀行、有価証券運用で新体制構築、売却益狙いポート区分設定
和キャピタルと連携
山梨中央銀行が投資助言業を手がける和(なごみ)キャピタル(東京)と連携し、有価証券の運用体制を抜本的に見直している。外部環境の不確実性が増すなか、従来のインカムゲイン(利息配当収入)中心の運用では収益改善に限界があると判断。和キャピタルのアドバイスのもと、機動的な運用でキャピタルゲイン(売却益)も得ながら収益を確保できる体制を目指す。
有価証券運用は“預貸差の調整弁”と認識されがちな地域金融機関のなかで、バランスシート(BS)全体での収益力強化を標榜(ひょうぼう)する同行は重要な収益源と位置づけ新体制構築に動いた。山梨中央銀は…
【写真】和キャピタルの役員(中央奥)とオンラインで月次ミーティングを行う山梨中央銀行市場国際部の担当者(7月19日、山梨中央銀行本店)
2022年8月19日号2面 実像 外せるか経営者保証(下)官民に慣行打破の機運
金融機関で着実に広がる、経営者保証に依存しない融資。保証にこだわって事業承継や経営改善が遅れれば、地域経済の地盤沈下につながりかねないため、危機感は各地で強まる。だが、踏み込むほどに営業現場の判断が難しい案件は増え、金融機関としての規律を維持しつつ経営者の人生を守るために慎重な対応が必要になる。慣行打破の先にある「新しい間接金融の確立」へ、官民の挑戦が続いている。
■守りたい伝統産業
江戸時代に創業した京都市の左官店。高齢になった社長が息子に事業を引き継ぐ際、課題となったのが借り入れのために差し出している経営者保証だった。「息子の精神的負担を減らしてやりたい」と相談を受け…
【写真】京都中央信金は安達左官店の事業承継を支援。職員(右)が新旧経営者と相談(同信金提供)
2022年8月19日号3面 経産省・金融庁・環境省、金融機関に対話の手引書、多排出産業「脱炭素」へ
経済産業省と金融庁、環境省は2022年度中に、脱炭素に関する金融機関のエンゲージメント(対話)活動の要点をまとめた手引書を策定する。金融機関に対し、二酸化炭素(CO2)を多く排出する産業の支援で活用するよう促し、国全体のカーボンニュートラル実現につなげる。今秋にも3省庁による検討会で策定作業に着手する。
鉄鋼や化学などの多排出産業は一足飛びの脱炭素が難しいものの、中長期的な視点で排出量を抑制していくことが50年のカーボンニュートラル実現には欠かせない。そのため日本は…
2022年8月19日号4面 全銀システム、資金移動業開放へ大詰め、金融庁など規定改正進める
金融庁や日本銀行、全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)は、全国銀行データ通信システム(全銀システム)を資金移動業者に開放する準備作業が大詰めを迎えている。事務ガイドラインなどの規定改定や審査方針の策定などが、今秋の解放実現に向けて進められている。
決済の安定性確保のため、全銀システムに直接参加を希望する事業者には…
2022年8月19日号5面 三井住友銀行、国際企業へ排出可視化支援、Scope3に対応
米パーセフォニと連携
三井住友銀行は、米Persefoni AI(パーセフォニ)および日本アイ・ビー・エム(IBM)と温室効果ガス(GHG)排出量可視化・分析管理支援サービスの提供で連携する。国際基準への準拠や事業者のバリューチェーン全体(Scope3)の排出量算定に対応するパーセフォニの炭素会計プラットフォーム(PF)を、取引先のグローバル企業や金融機関に提供する。
3社は8月10日にサービス共同提供に関する基本合意書を締結した。三井住友フィナンシャルグループ(FG)のシリコンバレーに拠点を置くデジタルイノベーションラボが、1月にパーセフォニと接触し、…
2022年8月19日号6面 北陸銀行と北海道銀行、サステナ支援へ一丸、独自の共通商品が好調
【金沢】ほくほくフィナンシャルグループ(FG)の北陸銀行と北海道銀行は、グループ一体でサステナビリティ推進に力を入れている。4月に取り扱いを始めた共通の独自開発商品「SDGs応援ローン(スリーターゲッツ)」は、7月末までに100件以上・約90億円を実行した。
スリーターゲッツは、サステナビリティ・リンク・ローン(SLL)を、中小企業にも使いやすいようにアレンジ。外部評価を不要にした商品で、…
2022年8月19日号8面 豊田信金、継続的顧客管理で独自展開、リスク格付けシステム開発
全50万先を4段階評価
【名古屋】豊田信用金庫(愛知県、藤嶋伸一郎理事長)は、マネーロンダリング対策の継続的顧客管理で独自展開をみせている。地元システムベンダーと共同開発した「顧客リスク格付けシステム」の運用で、全顧客約50万件を4段階でリスク評価。継続的顧客管理に向けた調査ダイレクトメール(DM)の郵便不着先をリスク評価に加えるなど対応を強化していく。
同システムは、データベースから顧客情報を自動で取得。個人顧客であれば、(1)国籍(金融活動作業部会のグレイリスト国50点、その他諸外国10点、日本0点)(2)本人確認資料(顔写真無し10点、顔写真有り0点)(3)保有口座(三つ以上10点、二つ以下0点)――など20項目の総評点で判断。ロー・ミドル・ハイ・ベリーハイの4段階で…
【写真】調査DMの回答状況や内容が自動で反映され、閲覧できるように仕組みを構築している(8月8日、本部)
2022年8月19日号20面 阿波銀行日和佐支店、過疎化地域の課題解決
分析ツールで自社株移転支援、貸出残高年間11億円増
【高松】阿波銀行日和佐支店(佐々木剛志支店長、行員6人うち渉外1人。パート7人)は、過疎化が進む店周地域の課題解決を金融面からサポートしている。窓口や渉外が集めた情報を店内で素早く共有。高齢化や人口減少といったテーマに対して事業承継支援や住宅ローン提案に力を入れた結果、2021年度下期は貸出金の期中平残増加額で目標比878%の成果に結び付けた。
佐々木剛志支店長は2021年3月に初支店長で着任。フルバンキング店のなかでも少人数体制の同店は「13人全員が主役」だ。係の垣根を越えて…
【写真】化粧筆の筆軸を製造する玉岡木工所の(左端から)藤澤正一監査役と藤澤浩宣社長からニーズを引き出す佐々木剛志支店長(右端、7月5日、美波町内)