2022年9月9日号2面 実像 インボイス対応支援(下)金融界、請求業務サポート相次ぐ
法人の囲い込み競争が加熱
2023年10月からのインボイス制度(適格請求書等保存方式)開始に備え、中小企業に対する業務支援サービスが相次いで登場している。フィンテック企業に加え、地方銀行や信用金庫でもデジタル対応をサポートするポータルサービスなどをスタート。請求業務などの支援を通じた法人先の囲い込み競争が過熱しそうだ。
■法人ポータルで支援
地域銀や信金は、フィンテック企業と連携して法人向けのサービスを展開する。会員制ポータルサイトを構築するなど…
【写真】信金界では、中小企業のインボイス関連事務に対応した法人ポータルサービス「ケイエール」を10月から開始。サービス発表会に臨む(左から)信金中金の柴田弘之理事長、NTT東日本の澁谷直樹社長、信金中金の須藤副理事長(8月30日)
2022年9月9日号4面 金融界 破産情報、収集困難恐れ 官報開示の廃止案で
民事執行等に関する手続きの見直しが、金融界の個人破産情報の把握に影響を及ぼす恐れが出てきた。現在は個人破産者が官報公告で開示されるが、個人のプライバシー保護の観点から「官報掲載を廃止すべき」「裁判所のみで閲覧可能とすべき」などの考え方も出てきたためだ。仮に廃止されれば、各金融機関は個人破産情報の収集・活用が難しくなる可能性があり今後の推移が注目される。
法務省が作成した「民事執行・民事保全・倒産及び家事事件等に関する手続(IT化関係)の見直しに関する中間試案」で明らかになった。官報公告(紙・デジタル)に加えて…
2022年9月9日号5面 りそなグループ、女性管理職比率32%、公的資金ショックから20年
りそなグループが推進する女性活躍施策が20年を経過し、2022年3月末の女性ライン管理職比率は32%に上昇している。3メガバンクグループの17~19%と比較し約1.5倍の水準だ。同グループでは、30年度までにこの比率を40%へ引き上げる目標を掲げる。
■役員をメンターに
女性登用が進んだのは、03年に公的資金注入を受けた「りそなショック」が背景にある。「給料が3割削減され、家庭を支えられず退職した男性の穴を補うため、女性の活躍が必要となった」(島田律子・同HDダイバーシティ推進室長)という。その時から…
【写真】「休業中は研修を受けられるため休み明けでも不安はなかった」と話す植野さん(8月3日、りそな銀行池袋支店)
2022年9月9日号6面 中国銀行、コンサル子会社設立、DX・SX中心に提供
【広島】中国銀行は9月1日、DX(デジタルトランスフォーメーション)とSX(サステナビリティトランスフォーメーション)を中心としたコンサルティングを提供する子会社「Cキューブ・コンサルティング」を設立した。
外部の専門人材を積極的に採用し、社長にPwCコンサルティング出身の西原立氏(49)を起用。事業計画では5年後に売上高30億円、社員数100人規模を目指す。
脱炭素に向けた対応など、事業者は複雑化する経営課題に直面する。こうした課題の解決に向けて、…
【写真】Cキューブ・コンサルティングのオフィスの前で拳を合わせる加藤頭取(左)と西原社長(9月1日、岡山市)
2022年9月9日号7面 佐賀共栄銀行、納税事務の効率化推進、地公体に改善要請
【福岡】佐賀共栄銀行は、営業店窓口に持ち込まれる納税事務処理の効率化を推進している。地方公共団体に対し、手数料に見合ったサービスの見直しを要請するとともに、納税者に対しても税金の口座振替を推進している。
佐賀県と県内の市町は、2022年4月から、これまで無料だった金融機関の窓口で支払った税金に対し、1件当たり10円の手数料を支払うことを決めた。
同行の試算では、1件当たり72円かかっているものの、地公体に対し、手数料増額を要請するのは現実的ではないとして、…
2022年9月9日号8面 信金中金、中小のDXで新サービス、NTT東・西日本と推進
5年後、25万社導入めざす
信金中央金庫はNTT東日本・西日本と中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進で3社連携し、10月から新たな中小企業向けウェブポータルサービスを開始する。ICT(情報通信技術)を活用した新サービスで、取引先の資金繰り管理やバックオフィス業務のDXを進め、経営課題の解決につなげる。
連携の中核となる法人向け新サービス「ケイエール」は、信金中金とNTT東日本、エメラダが共同開発。資金繰りの管理や電子請求書への対応のほか、…
【写真】業務連携した信金中金の柴田理事長(左)とNTT東日本の澁谷社長(8月30日、大手町ファーストスクエア)
写真を読む ミレーに来館10万人
【金沢】“農民画家”ジャン=フランソワ・ミレーの「羊の毛を刈る女」をはじめ、北陸銀行が所有するバルビゾン派などの絵画53点を収蔵する美術館「ギャルリ・ミレー」が9月1日に開館10周年を迎え、来館者も10万人を超えた。記念式典の後、中澤宏頭取(左)は来館者と一緒に絵画を鑑賞した。
2022年9月9日号16面 特集 事件特集(下)、強盗・情報流出・その他事件(2022年1~6月)
強盗10件・前年通期超す
2022年1~6月に金融機関で発生した店舗強盗事件は10件(日本防災通信協会調べ、犯行現場が特定・公表されている事件のみ)と、2021年通期(9件)の件数を半期で上回った。「110番通報ボタン」の活用や「合言葉」による行員間での連携で全員が逮捕されたものの、営業時間終了後に通用口で職員を脅して侵入し、けがを負わせる凶悪な事件もあった。
顧客情報の漏えい・紛失・誤廃棄などは…
2022年9月9日号19面 地域銀行、CMで地元の魅力発信、7行が船舶ファンドと連携
地域銀行が、地元の産業や名所などを紹介するテレビCMを制作し、全国へ発信する。船舶投資ファンドを手掛ける「アンカー・シップ・パートナーズ(ASP)」(東京都)と連携し、同社が持つBS朝日のCM放送枠を無償で提供してもらう。初回は中国銀行が担当し、備前焼をテーマにした映像を9月10日に放送する。同行を含め7行が企画に参加する方針を示している。
BS朝日で毎週土曜日9時30分から放送中の番組「世界の船旅」のなかで、地域銀が制作に協力した90秒のCMを流す。視聴者は…
【写真】中国銀行が制作に協力した「備前焼 人間国宝伊勢崎淳先生」編のワンシーン
2022年9月9日号20面 秋田銀行牛島支店、コンサル営業、何でも相談される“ハブ”へ
「エコ鉄おもり」増産支援
【仙台】秋田銀行牛島支店(滝沢哲朗支店長=行員10人うち渉外2人。パート3人)は、実権者との面談回数を意識した営業活動を展開。つかんだニーズや課題には、ビジネスマッチングや補助金申請など、顧客目線の提案を心掛ける。2022年度は8月15日までに、22件のコンサルティング支援に取り組み4件成約。課題収集と解決の循環を作り、何でも相談される地域の“ハブ”を目指す。
滝沢哲朗支店長は2020年7月に着任。経営者の懐に飛び込み、資金ニーズや経営課題を聞き出す営業スタイルを得意とする。コロナ禍で会合や懇親会など親交を深める場が制限され…
【写真】富士工務店の伊藤徹代表取締役(左)から、エコ鉄の自動生産設備について説明を受ける滝沢哲朗支店長(右、8月18日)