2022年10月21日号11面 特集 【防災特集】関東地区金融機関、情報開示と対策に注力
新技術で自治体支援も
「天災は忘れたころにやってくる」――。物理学者・寺田寅彦の名言は“今は昔”。頻発する地震、線状降水帯がもたらす大雨、次々と上陸する台風被害など、“天災”がニュースにならない日は少ない。プライム市場への上場企業には、気候関連開示情報の質・量の充実が求められているが、社会インフラを担う協同組織を含む金融機関にとっても、防災に向けたその気候変動対策に注目が集まっている。
【写真】山梨中央銀行のBCP訓練では、震度6強の地震発生を想定して関光良頭取(最前列手前から3人目)を本部長に対策本部が設置された(9月1日、山梨中央銀行本店)
2022年10月21日号2面 地域商社がつくる商機(上)生産者と消費者つなぐ
先行する地域銀行に続いて、信用金庫でも地域商社の立ち上げや設立に関与するケースが増えてきている。取引先企業の販路拡大支援とともに、地域活性化が目的だ。各地域商社は、強みである地元のネットワークを生かして事業を軌道に乗せたい考え。だが、同業他社との差別化や限られた経営資源の制約など課題は少なくない。試行錯誤しながら、新たな取り組みに挑戦する姿を追った。
■最初はすべて手探り
岡山県津山市。県北部に位置し、人口は約10万人。市内に本店を置く津山信用金庫は2020年10月、同市との共同出資で地域商社「曲辰(かねたつ)」を設立した。地元農業者の所得向上を目指して、農産物や加工品の販売を担う。
「何を売るのか、販売するためにどこへ持っていけばいいのか。すべてが手探りだった」。津山信金の元常務で、曲辰専務の森廣秀章氏は…
【写真】ビジネス交流会の会場で、開発したビールなどを紹介する曲辰の森廣専務(左、岡山市内、9月14日)
2022年10月21日号5面 りそなHD、輸出保証を地域銀行へ展開、円安進行でニーズ拡大
取り次ぎ紹介料還元
りそなホールディングス(HD)は、国際取引する企業の売掛債権を保証するサービスを地域銀行の取引先にも展開する。輸出先1社から保証設定・解除を可能にし、利便性を高めて中小企業が利用しやすいように設計した。外国為替相場の円安進行もありニーズは高いと判断。取り次ぐ地域銀には紹介料を還元する仕組みで、数行が関心を示している。
提供するのは、りそな決済サービスの「りそなあんしん輸出保証」。売掛債権は1社当たり…
2022年10月21日号6面 阿波銀行、販路拡大支援に反響、EC出店が100社超
【高松】阿波銀行は、子会社「阿波銀コネクト」による販路拡大支援を軌道に乗せている。2021年4月に始動したEC(電子商取引)モール「Lacycle(ラシクル)モール」の出店者数は100社超へと拡大。出店準備から商品PRまで手厚いサポートが魅力で、取引先から大きな反響を呼んでいる。
同モールは、取引先の売り上げアップを支援しようと立ち上げた。運営を担う阿波銀コネクトを…
【写真】出店者の商品である伝統工芸品の「遊山箱(ゆさんばこ)」をチェックする阿波銀コネクトの社員4人(徳島市内)
2022年10月21日号7面 西日本シティ銀行、法人ポータル1万2000社、有料サービスとの連携奏功
【福岡】西日本シティ銀行は、事業者向けに法人版プラットフォーム「NCBビジネスステーション」をハブとした取り組みを展開する。インターネットバンキング(IB)やビジネスマッチング(BM)などの有料サービスと連携し、会員契約数は約1万2千社に拡大している。
同ポータルは、2020年12月から導入。利用料金は無料で、預金残高や取引先明細を照会できる…
2022年10月21日号8面 苫小牧信金、生協の移動店舗車にATM、「買い物・金融」を共同提供
【札幌】苫小牧信用金庫(北海道、小林一夫理事長)は、北海道内で100カ店超のスーパーマーケット店舗や宅配事業を展開する生活協同組合「コープさっぽろ」(大見英明理事長)と連携。コープさっぽろが運営している移動販売車に苫小牧信金のATMを搭載し、少子高齢化・過疎地区や山間部を定期巡回する。運行エリアは、近くにスーパーなどがなく、交通手段も不便といった「買い物困難地区」。共同運行で、日常の「買い物・金融」サービスを同時に提供する。
物販とATMが一体、かつ、異業態連携での共同運行は珍しく、…
【写真】苫小牧信金とコープさっぽろの共同運行車両。人物は左から小林理事長、大見理事長(10月14日、コープさっぽろ発寒本部)
2022年10月21日号9面 瀬戸信金、「瀬戸焼」に活気を、“ツクリテ”自走支援で奔走
【名古屋】「瀬戸焼」で有名な瀬戸市の窯業に活気を取り戻すべく陶芸作家を支援――。瀬戸信用金庫(愛知県、成田順一理事長)は、地場産業の窯業に携わる“ツクリテ”の減少に歯止めをかけるため、瀬戸市などと連携で陶芸作家の支援に注力。担い手人口の増加だけでなく、自立に向けた自走支援にも奔走している。
古くから地元作家の作品を買い上げてアートギャラリーを開催するなど、…
【写真】5月に開催したSNS講座では、スマートフォンカメラの撮影の仕方やインスタグラム投稿のポイントなどを指南した(瀬戸市文化センター)
2022年10月21日号18面 名古屋銀行、人事給与・考課制度を改定、「キャリア自律」支える環境に
【名古屋】名古屋銀行は、人事制度を改定して10月から運用を順次開始した。「地域と銀行の持続的な成長」の実現に向け、人的資本経営の考え方を基に、給与・考課制度、ダイバーシティを支える働き方を改革。最短31歳で支店長職になり得る資格を取得できるなど、行員のキャリア自律を支える環境を整備した。
人事給与制度は営業職の待遇に厚みを持たせ賃金水準を引き上げたほか、…
2022年10月21日号20面 三十三銀行蟹江支店、コンサル営業、円安に為替デリバ提案
月15万ドル・3年契約獲得
【名古屋】三十三銀行蟹江支店(竹尾裕次支店長=行員16人うち渉外5人。パート・嘱託3人)は、コンサルティング営業を軸に真っ先に相談される支店を目指す。「真にお客さまと仲良くなることが営業の神髄」をモットーに課題解決に注力する。輸入製品の販売が中心の取引先に対しては、為替相場のドル高・円安が急速に進行する局面で為替デリバティブを提案し、同店初の契約を締結した。
営業エリアは店舗を置く愛知県蟹江町を中心に、周辺の市町村まで広域に担当する。住宅ローン比率は40%を超えるが…
【写真】朝会で渉外担当が推進項目の進捗(しんちょく)状況を発表(9月29日、三十三銀行蟹江支店)