2022年9月23日号2面 実像 BaaSで拓く金融(下)収益化する新たな価値創造
「パートナーAPI」重要に
EC(電子商取引)サイトを始めとした事業者とつながることで、イノベーションが期待されるBaaS(サービスとしての金融)。インターネット専業銀行などで活用が進みつつあるが、国内では活用事例の乏しさから金融界で浸透が遅れ、手探り状態が続いていた。だが、ここにきて地域金融機関やパートナーを担うITベンダー、プラットフォーマーの間で構想が具現化し始めている。
■地域振興券でデジタル化
NTTデータとインフキュリオンは8月、岐阜県恵那市のプレミアム付き地域振興券で、キャッシュレスを通じた地域全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を開始した。市民は…
【写真】恵那市では、金融機能を活用したDX化を進めている(6月21日、同市役所)
2022年9月23日号4面 3メガバンク、為替リスクヘッジ取引増、輸入業中心・円安急進で
多様な手法提案
3メガバンクは、大企業向けを中心に為替リスクヘッジ取引を拡大している。急激な円安進展によって、特に輸入企業は調達コストの上昇が深刻で、さらなる円安に備えた為替予約などのニーズが強い。円安で業績が向上している輸出企業の間でも事業・収益の安定化のために活用する動きが拡大。各行は、多様なリスクヘッジ手法を提案しており、契約や提案の件数は前年比10~50%増加している。
みずほ銀行は、5月の為替予約件数が前年同月比30%伸び…
2022年9月23日号5面 りそなG、5年でDX支援1500社へ、安定的なサブスク収益獲得
りそなグループは、中堅・中小企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するため、銀行と子会社が一体となって提案活動に注力する。取引先のニーズを把握し、子会社がITソリューションの導入・アフターケアまでワンストップで提供。5年間で、1500社へのソリューション導入を目指す。
7月から営業を本格化し、既に20社以上で導入が進んだ。銀行と連携して企業にDXで効率経営の導入を働きかけるのは、りそなデジタルハブ(DH)だ…
2022年9月23日号6面 鹿児島銀行、地域の消費喚起へ支援、決済アプリで柔軟設計
自治体コストを抑制
【鹿児島】鹿児島銀行は、2022年度中に地方自治体や商店街が行う消費喚起策の支援が20事業を超える見通しだ。独自開発のキャッシュレス決済アプリ「Payどん(ペイどん)」を活用しており、単独受託も相次ぐ。
10月にポイント還元事業を行う鹿児島県内の4市町が新たに活用する。4月以降の受託数は計10事業に達し、20~21年度の11事業に、ほぼ並ぶ水準となる。22年度上期は…
【写真】自治体のポイント還元事業を後押しし、決済アプリの稼働率や利用者数を伸ばしている
2022年9月23日号7面 地銀界、船舶ファイナンス強化
山陰合同銀行・中国銀行・福岡銀行など、ファンド会社に派遣
地方銀行は、船舶投資ファンドを運営するアンカー・シップ・パートナーズ(ASP、東京都)へのトレーニー派遣を通じて、シップファイナンスの強化を図っている。現在、山陰合同銀行、中国銀行、福岡銀行が行員を各1人派遣しており、同社の社員とともに業務に当たっている。期間は銀行によって異なるが、概ね1~2年半という。3行以外にも、これまでに広島銀行や大分銀行が行員を派遣している。
ASPは、日本興業銀行(現みずほ銀行)でシップファイナンスに携わっていた元行員らが2007年に立ち上げた。地方銀行などからの「専門性の高い人材を育成したい」という要請を受けて、…
【写真】アンカー・シップ・パートナーズの職場で働く中国銀行の柴田さん(9月8日)
2022年9月23日号8面 信金界、地域活性へビジコン活用、学生・起業家との接点に
信用金庫界では、新たな地域産業の創出に向けたビジネスコンテストの開催が活発だ。地域におけるハブ機能を発揮し、大学や自治体、信金中央金庫などと連携している。学生や起業家との接点をつくり、地場産業とIT技術を融合した実証実験などに発展させて、新事業を具体化する取り組みを促進していく。
大阪信用金庫(大阪市)は11月17日に第1回学生ビジネスプランコンテスト「O‐BUCs」を開催する。最終選考進出者に同信金が運営する「だいしんシェアオフィス」の1年間無料利用券を贈呈。事業化に向け大阪産業局との継続的なコンサルティングを行い、…
【写真】新湊信金が初開催した「ビジネスプランコンテスト2022 射水市を元気に!!」(クロスベイ新湊)
2022年9月23日号10面 主要ロボアド5社、残高1兆円規模に、ウェルスナビが7500億円突破
ロボアドバイザーを提供する主要5社(ウェルスナビ、お金のデザイン、楽天証券、マネックス・アセットマネジメント、FOLIO)の残高合計が1兆円規模に成長している。業界最大手のウェルスナビは9月に7500億円を突破。地域銀行や証券会社などから顧客紹介がサービスの普及に寄与している。
ロボアドは30、40代の利用者が多く、少額から自動で分散投資ができる点が特長だ。手数料は年1%程度。日本投資顧問業協会によると、6月末時点で5社の残高合計は…
2022年9月23日号17面 【地域にスポット】西九州新幹線が開業 武雄温泉駅―長崎駅間
地元経済活性化の起爆剤に
【福岡】九州旅客鉄道(JR九州)の西九州新幹線が9月23日、武雄温泉駅―長崎駅間(66キロ)で開業した。整備新幹線計画の決定から50年近くの歳月を費やした。それだけに、今回の開業がもたらす地域経済の活性化や観光客増加への期待は高まっている。ただ、九州新幹線と結ぶ武雄温泉駅以東のルートは未定。開業による経済波及効果が、今後のルート整備にも影響を及ぼしそうだ。
西九州新幹線「かもめ」の一日の運転本数は、武雄温泉駅―長崎駅間が44本、新大村駅―長崎駅間が3本の合計47本。博多駅―武雄温泉駅間は在来線特急が運行され…
【写真】疾走する新幹線かもめ(JR九州提供)
2022年9月23日号20面 南都銀行京田辺支店兼三山木出張所、個人総合取引
渉外連携で相続ニーズ深掘り、プラスαへグループ提案
【大阪】南都銀行京田辺支店兼三山木出張所(島田隆支店長=行員25人うち渉外9人。パート4人)は、京都中エリア(城陽、玉水、松井山手各支店)と一緒に個人・法人渉外担当の相互連携を強化し、相続対策ニーズの深掘りに取り組んでいる。個人取引にも法人対応と同様に「案件ミーティング」を取り入れ、顧客への問題解決提案を経て融資プラスアルファの総合取引を目指す。
島田隆支店長は2020年4月に着任。京都中エリアの統括長も務める。同店にはアパートなど収益物件を経営する約30先があるが…
【写真】顧客のこだわり、ベストな提案をみんなで協議する案件ミーティング(9月2日、南都銀行京田辺支店)