2022年8月12日号2面 実像 外せるか経営者保証(中)問われる信頼関係
創業や事業承継を阻む壁となり、政府が過度な依存からの脱却を訴える経営者保証。一部には原則として徴求しない方針に転じた地域金融機関も見られるが、本腰を入れる動きはまだ限定的。財務状態の悪さや信用力の低さが見られる事業者もあり、特に中小金融機関では経営者保証の必要性を感じているところが多い。融資の獲得を競う場面で競合金融機関に対抗するため解除するケースなど、主体性を欠く動きも目立つ。問われているのは、金融機関が一人ひとりの経営者と構築しているはずの信頼関係だ。
■赤字でも伴走へ非徴求
全国の金融機関は半年ごとに、新規融資で経営者保証を求めなかった比率を明らかにしている。8月末までに金融庁が大手銀行と地域銀行の2021年度下期実績を取りまとめて公表する予定だが…
【写真】経営者保証は原則不要の方針を打ち出した広島銀行。行員が今後の戦略などを議論(7月、本店)
2022年8月12日号3面 多すぎ?借金の相談員、財務省が態勢見直し
多額の借金を抱える人から相談を受け付ける担当者が多すぎるのでは――。国の予算編成を統括する財務省が、こうした問題意識を強めている。2023年度以降、全国の財務局で配置態勢を見直すことになりそうだ。
問題視されているのは、全国10の財務局・財務支局に配置する多重債務者相談員の人数。相談件数がピーク時の約1万件から半減している一方…
2022年8月12日号4面 地域銀行、法人コンサルで役務増強 事業モデル転換が前進
地域銀行の収益構造に変化の兆しが出ている。日本銀行の調査によると近年、法人コンサルに関する手数料収入の伸びが目立ち、「非資金利益」の押し上げに寄与。同利益の柱である為替業務は先細り感が強まり、融資業務も利ざや縮小が続くなか、旧来型ビジネスモデルからの転換が進みつつある。
日銀によると、地域銀の非資金利益は2021年度に6300億円を超え、その9割を占める「役務取引等利益」は、この10年で1千億円以上増えた。けん引役になりつつあるのが…
2022年8月12日号5面 MUFG、データ科学人材を発掘へ、銀行界初の学生コンペ開催
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の三菱UFJ銀行と三菱UFJ信託銀行は、データサイエンス(データ科学)人材の育成と獲得で協働する。8月末から10月にかけて金融機関初となる学生向けのデータサイエンスコンペティションを主催し、有望な人材の採用につなげる方針だ。
データ科学人材は、「従来の金融の枠にはまらない新しいデータビジネスの推進」で期待されている。すでにMUFGでは、蓄積された膨大な金融データの広告ビジネスへの活用やパーソナルデータを情報銀行ビジネスで手掛けており、…
2022年8月12日号6面 阿波銀行、ビジネスマッチング好調、進捗状況を見える化
【高松】阿波銀行は、ビジネスマッチング(BM)の取り組みが好調に推移している。2021年度のBM手数料は前年度比34%増の約4億円へと拡大。システム化による意識の浸透や案件の小口分散化が進み、22年度も増加傾向を維持している。
原動力となったのは、20年度に導入したリンカーズのシステムだ。本部だけでなく、現場行員からもリアルタイムで案件情報や進捗(しんちょく)状況の見える化を実現。効率的で素早いマッチング提案やアフターフォローが可能となり、…
2022年8月12日号7面 豊和銀行、取引先の売り上げ向上へ、債務者区分・10先改善
【福岡】豊和銀行は、取引先と業務委託契約を結び、同行のネットワークを活用し、売り上げアップを支援するVサポート業務で成果をあげている。契約先は債務者区分の要注意先以下が中心で、2016年11月の開始以降、10先がランクアップした。コロナ禍の影響を受けた20年4月~22年6月末でも累計で16億200万円の売り上げ増加を実現した。
同業務は、事前に契約先と基準売上額を設定し、達成後に成果報酬手数料を受け取る仕組み。契約先の売り上げが増え、経営が改善すれば、同行の信用コスト削減につながるため、…
【写真】商談に同席する別府支店の佐藤豊和上級執行役員支店長(左)とお客さま支援部の渡辺部長(左から4人目)、三浦充雄副部長(同5人目、7月13日)
2022年8月12日号8面 全信協、生保システム本格稼働、ペーパーレスや時短に
西尾信金・長野信金が導入へ
全国信用金庫協会は2022年度下期以降、業界スキームによる「生命保険申込システム」を本格稼働させる。同システムは、NTTデータが提供。約50種類の業界制度商品(終身・医療・がん保険など)を対象とし、全国の信用金庫における保険販売のペーパーレス化や事務省力化、書類不備率の低下などにつなげる。
同システムは、各信金の店頭や渉外用のタブレット端末から、NTTデータが提供するフロントゲートを通じ、…
2022年8月12日号19面 千葉銀行、気候リスクの管理強化、ウェザーニューズと連携
千葉銀行は、脱炭素社会の実現に向けて気候変動に関わる情報開示を強化している。7月に発行した2022年度の統合報告書では、計6ページにわたり取り組みを紹介。「気候変動リスクの管理は企業の責務」(千葉銀行)と捉え、質・量の両面で積極的に発信していく。
情報開示を強化するため、今回の統合報告書から「シナリオ分析」として地域における事業停滞などの…
2022年8月12日号20面 佐賀銀行小城支店、コンサル営業、新人事制度の導入サポート
事業再構築補助金4件採択
【福岡】佐賀銀行小城支店(井上範和支店長=行員14人うち渉外5人。嘱託2人、パート7人)は、取引先のために全力を尽くす「顧客第一主義」を徹底することで成果を発揮している。経営支援や融資推進、資産運用などコンサルティング営業に注力し、2021年度上期はグループ別で努力賞(3位)、同年度下期は優秀賞(1位)に輝いた。2022年度上期は優秀賞を目指している。
井上範和支店長は、「取引先から“まず佐賀銀行に相談しよう”と言われる関係構築」を基本方針に掲げる。最前線に立つ渉外のうち…
【写真】中島工務店の前山邦敏会長(中央)と中島信哉社長(右)から経営状況について話を聞く井上範和支店長(7月20日)