2022年5月13日号2面 実像 正念場の資産形成支援(下)模索続ける「顧客本位」
官民ともに道半ば
金融庁から「顧客本位の業務運営」を促され、預かり資産営業の見直しを進める金融機関。投資信託のスポット販売などで手数料収入を積み上げるビジネスモデルから、生活を長期的に支える過程で顧客と利益を分かち合うスタイルへ切り替える動きが広がっている。ただ、中小企業金融が業務の柱である地域金融機関にとって、個人向け営業に充てられるコストは限られているのも事実。「資産形成支援」の確立に向けた模索が続く。
■人生計画を描き支える
2020年、「資産形成支援」を前面に出して独自の証券子会社を開業した東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)。きらぼしライフデザイン証券(LD証券)の預かり資産は、22年3月末までに約1500億円まで増えた。
その多くは…
【写真】取引先従業員向けのセミナーで講師を務める京都信金の職員(4月26日)
2022年5月13日号4面 地銀協 経営戦略立案で研修 金融庁と「地銀の未来考える」
全国地方銀行協会は7~9月の計8日間、中・長期の経営戦略立案のための「経営企画研究講座」を開催する。会員行の経営戦略の企画・立案担当者らを対象に、前半の研修で長期ビジョンを策定し、後半で中期経営計画に落とし込む手法を学ぶ。研修の一部は金融庁の職員と合同で行う。経営企画担当者と金融庁職員の合同研修は初めて。
全体講師は、A.T.カーニーの高橋昌裕アソシエイテッド・コンサルタントが務める。7月19~21日は、地銀の現状と課題を踏まえて…
2022年5月13日号5面 三菱UFJ銀行、デジタル広告事業開始へ、サイバーエージェントと提携
三菱UFJ銀行はサイバーエージェントと提携し、2022年度中にもデジタル広告事業を開始する。事前に口座所有者から同意を得たうえで、広告主が求める対象のスマートフォンやパソコンなどへ広告を表示する。口座所有者は自身のニーズに合わせた情報提供を受けられる一方、広告主はターゲットを絞ったPRが見込める。同行は預金者情報を活用して広告事業に参入し、収益力向上につなげる。
両者は4月に提携で合意。同行は、同社から広告配信システムの開発などで協力を得て…
2022年5月13日号6面 肥後銀行、SDGsコンサル100件、アイデア集約など支援
専門チームで対応
【福岡】肥後銀行は、取引先のSDGs(持続可能な開発目標)推進を有償で支援する「SDGsコンサルテイング」に注力している。2020年4月に取り組みを始め、契約件数は100件に到達した。
同行は18年に経営企画部内にサステナビリティ推進室を創設し、行内での持続可能な…
【写真】肥後銀行は、取引先のSDGs委員会の司会役として、一連の協議への方向性を示している(肥後銀行提供)
2022年5月13日号7面 西京銀行、銀証共同店舗を拡大、山口県全域に展開
【広島】西京銀行は、2022年度からアイザワ証券と連携した預かり資産推進を積極化する。銀行・証券共同型店舗を22年度以降に2カ店新設。山口県内の主要地域6カ店体制とし、県全域への展開を目指す。
同行は、15年9月にアイザワ証券と包括業務提携を結んだ。19年3月に、初の共同店舗を幡生支店に開設…
【写真】銀証共同の西京銀行周南支店
2022年5月13日号8面 のと共栄信金、創業100社機に新フェーズ、初期から総がかりで伴走
「おせっ会議」開催
【金沢】のと共栄信用金庫(石川県、鈴木正俊理事長)が、七尾市や七尾商工会議所などと取り組んできた創業支援が新フェーズに入った。支援実績が100社の大台に乗ったのを機に、全参画組織が入り口から伴走してより厚いサポートができる体制に変える。活動開始から9年目を迎え、新たなスタートをきる。
のと共栄信金、七尾市、七尾商議所、日本政策金融公庫で構成する「ななお創業応援カルテット」は2014年に活動を開始し、…
【写真】創業支援100社目となった「カジュアルバーサンライズ」を3月に開業した西田大矩氏
2022年5月13日号18面 地域銀行・信金、専門人材の新卒採用が広がる、デジタル部門などに配属
地域金融機関は、専門人材の新卒採用を積極化している。千葉銀行や横浜銀行、京都中央信用金庫など大手の地域銀行や信用金庫が4月入社の新卒人材を本部のデジタル部門などに配属。専門人材は中途採用が主流だが、獲得競争は激しさを増しており、入行後すぐに専門分野での活躍機会を設けプロフェッショナルへと育成する。
募集時に初期配属先を特定した専門のコースなどを設置する動きが増えている。地域金融機関の新卒採用者は、…
2022年5月13日号16面 特集 【読者の意見】東証の新市場区分、改革・4割が期待薄
7割超「プライム多すぎ」
東京証券取引所で4月4日に新市場区分がスタートし、およそ1カ月が過ぎた。グローバル企業向けの「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」に再編され、取引の活性化につながることが期待されている。1961年の東証二部開設以来、約60年ぶりの市場改革に対する読者の声を聞いた。
■Q1.新市場区分への期待度は
「あまり期待していない」「期待してない」の回答者の合計は約4割にのぼり…
【写真】東証は新たな3市場区分のもとで企業価値向上を促す
2022年5月13日号20面 城北信金上石神井支店、顧客本位と迅速対応、重層管理で解決策提案
相続支援から投信成約
城北信用金庫上石神井支店(田中和孝支店長=職員14人うち渉外3人。特別契約職員1人)は、顧客本位かつ迅速な対応で取引先との信頼関係を構築。重層管理の徹底で資産の有効活用や相続、事業承継など複数の解決策を提案して成果を上げている。2021年度は約53億円(295件)の融資を実行し、役務取引等収益は年間目標の130%以上を達成。店舗業績評価で上位表彰を見込む。
2020年2月に初支店長として着任した田中和孝支店長は、「相手の立場に立った行動」と「何事にも迅速に対応」をスローガンに掲げた。
取り組みでは…
【写真】上石神井商店街振興組合の理事長で「おおじ染織」代表の大路和博氏に織物について情報交換する森耐次長(右、4月20日)