2022年4月1日号2面 実像 住宅ローン変調(上)~市場動向を読む~ 実行増も価格高騰に警戒
拡大が続く住宅ローン市場に変調の兆しがある。10年固定金利が上昇に転じたほか、住宅価格の高騰が物件購入意欲を冷やしかねないとの懸念も出始めた。一方で、金融機関の競争はインターネット銀行の攻勢により激しさを増す。リテール営業の主戦場でいま、何が起きているのか。最前線に迫る。
住宅ローンの実行額は過去3年、増加基調にある。住宅金融支援機構の統計によると、2020年度は前年度比1千億円増の21兆1千億円となった。20兆円台は5年連続。21年度も…
2022年4月1日号5面 三井住友FG、MS社と戦略的提携、環境整備や人材育成
三井住友フィナンシャルグループ(FG)は3月9日、マイクロソフト(MS)とクラウド分野における複数年の戦略的提携を締結したと発表した。同社のクラウドサービス「Microsoft Azure」を軸に、IT環境の整備とデジタル人材の育成を強化する。
SMBCグループは、複数のクラウド環境を利用するマルチクラウドと、オンプレミス(情報システムを自社保有し、自社設備で運用)にクラウドを組み合わせるハイブリッドクラウドの両方に対応できるAzureを…
2022年4月1日号6面 地域銀行の2022年度の動き、大手地銀Gが新中計開始
持続的成長へ構造改革
地域銀行の2022年度は、ポストコロナをにらみつつ、持続的に成長していくための構造改革を進める1年になりそうだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)や気候変動への対応を踏まえ、大手地方銀行グループ(G)など約30行・Gが新しい中期経営計画などをスタートさせる。経営統合などの再編が進む可能性もある。
コロナ禍の長期化に加え、原材料価格の高騰やサプライチェーンの混乱が地域の中小企業経営に悪影響を与える恐れが高まっている。全国地方銀行協会の柴田久会長(静岡銀行頭取)は、…
2022年4月1日号9面 日本労信協、AIによる保証審査開始、8割の諾否判定を自動回答
“数十分”から“数秒”へ短縮
日本労働者信用基金協会(日本労信協)は、2023年1月からウェブ完結型保証審査でAI(人工知能)による自動審査を開始する。非対面チャネルのカードローンと無担保証書貸付(自動車・教育ローンなど)が対象で、約8割の審査案件の諾否判定を自動化できると見込んでいる。
1案件当たりの審査時間は、現在の数十分から数秒に短縮できる。審査結果通知のスピード化と業務効率化を同時に…
2022年4月1日号15面 新連載・人づくりのヒント 百十四銀行、スキルと信頼構築を重視
マイスター認定41人に
【高松】「銀行の財産は人である」という理念に基づき、プロ人材の育成を進める百十四銀行。業務スキル・知識の習得だけでなく、ステークホルダーから信頼され続ける存在になることを重視している。コンサルティング営業など質の高い金融商品・サービスの提供と、職場における活発なコミュニケーションがヒューマンスキル向上に不可欠な基軸と捉える。行内資格「114マイスター制度」と「1on1ミーティング」の実施について取材した。
114マイスター制度を導入したのは2017年。行員自身が自発的にどの分野で活躍したいのかを意思表示できるよう銀行業務を7分野に分類し、…
【写真】いずれも2022年3月にマイスターに認定されたソリューション推進部コンサルティンググループの黒田健司主任(写真左、3月22日)、山地裕士調査役(写真右、3月22日)
2022年4月1日号13面 銀行・生・損保、連携してDX実現、保険査定の自動化など
勉強会開催し共同開発
銀行や生命・損害保険会社などの各業態で、準大手や中堅規模の金融機関が情報交換会や勉強会を通じて、システムの共同開発を行う事例が顕在化している。業務効率化や顧客利便の向上を図るうえではDX(デジタルトランスフォーメーション)が欠かせない。ただ、1社でのシステム投資は負担が重い。共同で開発するスキームを活用することが、金融界のDXの底上げにつながっている。
生保業界では2021年11月に保険加入者から保険金請求を受け付けた際の査定など、一部の手続きを自動化する…
【写真】生保のIT担当役員らが参加する情報交換会から保険査定自動化システムの共同開発が始まった
2022年4月1日号17面 北海道内金融機関、道東部の赤潮から半年、漁業者に対策資金
【札幌】北海道東部の太平洋沿岸で赤潮が発生し、ウニやサケなどが大量死してから約半年。北海道がまとめた漁業被害額は2月末時点で計81億9千万円と、国内の赤潮被害では過去最悪だ。道内金融機関は、道の制度融資などを使い漁獲が急減した漁業者らを支援している。
北海道信用漁業協同組合連合会が扱う道の制度融資「漁業振興資金」では、利子助成を通じ実質無利子化。現在、道に十数件の利用申請があり、近日中に初案件が実行される見通し。同信漁連は…
【写真】赤潮被害を受けた北海道釧路地区の白糠(しらぬか)漁港に並ぶ漁船(3月10日、北海道白糠町)
2022年4月1日号19面 金融庁、新手のヤミ金に注意喚起、「先払い買い取り」増加
金融庁は、中古商品の買い取りを装った新手のヤミ金融「先払い買い取り現金化」による消費者被害を防ぐため、注意喚起を強化する。巧妙に練られたスキームで犯罪として立件するのが難しい例もあり、未然防止が重要と判断。4月に成人となる18、19歳への啓発にも力を入れる。
「先払い買い取り現金化」は、スマートフォンやゲーム機などを買い取る前提で現金を前払いし、事後に高額なキャンセル料を請求する仕組み。実際に商品売買は行われず…
【写真】金融庁などが作成した啓発用チラシ
2022年4月1日号20面 鹿児島銀行川内支店、課題解決へ迅速融資 芋の疫病対応に支援資金
不安解消し本業後押し
【鹿児島】鹿児島銀行川内支店(菊永栄一郎常務執行役員支店長=行員35人うち法人渉外10人。パート5人)は、不透明な経営環境に置かれる取引先事業者の経営課題解決へ伴走支援する。資金繰り不安を払拭(ふっしょく)し、本業に専念しやすい環境につなげられる同行の独自融資を活用し、取引先の本業を支えている。資金供給は「課題解決の第一歩」と位置づけており、販路拡大支援にも力を注ぐ。
芋焼酎の原料となる「甘藷(かんしょ)」の加工・冷凍保存技術を持つ「海連」社は同店の取引先で…
【写真】海連の永井幸枝代表取締役(中央)から芋の加工設備について説明を受ける菊永栄一郎常務執行役員支店長(左)と同社の担当者(3月24日、海連阿久根工場)