2025年1月10日号4・5面 特集 新春特別調査 利上げ交渉の今 短プラ連動、7割超が満足、「経験不足」影響は半数
日本銀行が2024年8月から政策金利を0.25%に引き上げたことを受け、金融機関は17年ぶりに短期プライムレートを改定し、貸出金利の引き上げ交渉が本格化している。ニッキンは金利引き上げ交渉の実情を探るため、地域銀行99行(24年11月時点)と現場の支店長を対象に特別調査を実施。短プラ連動貸出は順調に利上げが進んでいる一方、固定金利型貸出では難航する先が少なからずある実態が浮かび上がった。また、4割近い銀行が、日銀の追加利上げを見越し、市場金利連動の融資契約へシフトさせていく考えがあることも分かった。
■調査方法
調査は24年11月中旬から12月下旬に実施。…
【写真】広島銀では金利上昇などをテーマとした行員向け勉強会(フリーカレッジ)を開催。対面・オンラインで希望者308人が参加した(24年5月18日、ひろぎんキャリア共創センター)
2025年1月10日号6面 特集 iDeCo拡充、推進好機に
制度拡充によって注目が高まる個人型確定拠出年金(iDeCo)。2025年度は税制優遇を受けられる拠出額の上限が引き上がる見通しだ。投資ブームに火を付けた新しい少額投資非課税制度(NISA)に続き、資産運用の浸透を加速させられるか。制度拡充のポイントと、顧客の資産形成サポートで特色ある金融機関を追った。
「国民の安定的な資産形成に向けた重要なピース」――。全国銀行協会の福留朗裕会長は24年12月19日の定例会見で、iDeCo制度が拡充される方向になったことを歓迎した。
24年3月末加入者が300万人に上るiDeCoは…
【写真】取引先の従業員向けに開いたiDecoセミナーで説明する横浜銀の行員(横浜銀提供)
2025年1月10日号7面 特集 3メガバンク アートで価値創る
見る人の感性を刺激し、想像力をかきたてる「アート」。その価値は単純に数値化できない領域で、金融ビジネスとは対極にも思われていた。しかし、前例に捉われない自由な発想が企業に求められるなか、3メガバンク(グループ)はその可能性に目を向け始めた。社員や顧客を巻き込んだ独自のアートプロジェクト(イベント)をコーディネートする社員3人に迫った。
■ アートד壁” 多様な「思い」を一つに
みずほフィナンシャルグループ コーポレートカルチャー室インターナルコミュニケーションチーム 櫛渕莉絵さん(写真)
「企業理念の表象として社員の記憶の片隅にでも残るものを」――。2023年6月、壁画でみずほのパーパス(存在意義)を表現する「WALL ART PROJECT」の運営メンバーに着任。経営層、社内公募選抜の社員10人と…
2025年1月10日号8面 特集 今こそ注目!メタバース VRChat利用者増加
インターネット上の仮想空間、メタバース。数年前にすごく話題になったけれど、そういえばその後どうなった? 実は今、利用者が増えて大盛り上がり! ユーザー増加のきっかけは……宇宙人との出会い!? 2025年は、金融機関の新たなチャンスにもつながるかもしれないメタバースに注目してみましょう。
■ハードル高い オワコンなの?
22年にバズったメタバース。FacebookがMetaへ社名変更したことで一気に注目が集まりました。
しかしその盛り上がりは時とともにやや下火に。過熱感が平常化したともいえる一方で、メタバース利用者が一定数にとどまるという課題が浮き彫りになりました。背景にあるのは…
【写真】VRChatで交流するストリーマーのスタンミ氏(右)と一般ユーザーの所場氏(左)
2025年1月10日号9面 特集 伊予銀行・宇和島信金、変革迫られる養殖業を支援、「水産王国」愛媛守る
【高松】海面養殖業産出額で全国1位(2022年)を誇る「水産王国」の愛媛県。ただ、漁業従事者は2000年の1万2000人から、20年には5000人と半数以下に減少した。担い手の減少に加え、温暖化の影響による海水温度の上昇といった課題も深刻化している。地場産業を支え課題解決への取り組み姿勢を強める伊予銀行と宇和島信用金庫の取り組みを見た。
■強みは“宇和島モデル”
愛媛県養殖産業の特色の一つが、水産商社の存在。一般的に、養殖業者は稚魚や餌を漁業協同組合から仕入れ、2年間ほど育成した魚を漁協を通じて出荷する。愛媛県では、漁協の役割を民間の水産商社が担っている。
“宇和島モデル”ともいわれるこのスキームの強みは…
【写真】大西水産の大西社長(左)から、いけすの状況についてヒアリングする(右から)宇和島信金の田部隆一支店長代理、徳田支店長、和泉課長(24年12月2日、大西水産)
2025年1月10日号11面 特集 金融機関の自治体支援、人材・決済・新興育成で存在感
地域金融機関と自治体は一蓮托生(いちれんたくしょう)。自治体が抱える課題はひとごとではない。地域銀行では、地方創生事業を手がけるグループ会社や専担部署を設置し、課題解決提案を進めている。人材、決済、新興企業(スタートアップ)での取り組みを見た。
■埼玉りそな銀行、皆野町に社員常駐、役場と地域をDX
埼玉りそな銀行は、2024年10月から埼玉県皆野町に社員1人を常駐させ、同町のデジタルトランスフォーメーション(DX)と地域振興を支援している。企業が従業員を一定期間派遣し…
【写真】健康こども課担当者と打ち合わせする埼玉りそな銀行担当者(右、2024年12月27日、皆野町役場)
2025年1月10日号17面 西武信金、育てた米を寄付、SDGs研修で
西武信用金庫(東京都、高橋一朗理事長)は2024年12月末までに、SDGs研修の一環で米計200キロを支店取引先20先に寄付した。米は同研修で入庫2年目の職員51人が5月に田植えをし、10月の稲刈りで収穫したもの。2年目職員は収穫後、寄付先の選定までを行った。
同研修は、これから営業に出る2年目職員が対象。田植え・稲刈りを通してチームワークを大切にする気持ちや…
【写真】高橋由美子・みんなの食堂ママごはん運営代表者(左から2人目)に収穫した米を贈呈した吉田健一・福生兼牛浜支店長(右から2人目)、同支店の担当者たち(西武信用金庫提供)
2025年1月10日号18面 大手4行最前線、スタートアップ支援
わが国の経済成長、地域の活性化、さらには雇用の創出や社会課題の解決にはスタートアップの発掘、支援が欠かせない。実績がない創業期に寄り添うことは大手行にとっても“手探り状態”。本部の専門チームやグループ各社と連携を図りながら新興企業と向き合う大手銀行4行の営業最前線を見た。
■みずほ銀行浜松町法人第一部、新興取引200社超える、リスクテイクし融資増
みずほ銀行浜松町法人第一部(手嶋高史執行役員・部長=行員42人うち渉外19人)は、スタートアップ発掘に力を入れる。専担者1人と既存顧客担当を兼任する4人が新規開拓を展開。雑誌やネットニュースから興味のある先を探し…
【写真】取引先へ訪問するみずほ銀行の担当者ら(右、2024年12月4日、Another works本社)