2025年5月16日号2面 自民、郵政民営化法改正案、上乗せ規制 文言修正
自民党は、今国会に議員立法として提出する見込みの郵政民営化法と関連法の改正案をめぐり、日本郵政グループの金融2社(ゆうちょ銀行・かんぽ生命保険)に課されている「上乗せ規制」のあり方の検討に関する文言を修正した。5月9日の党合同部会で了承された改正案には、郵政民営化委員会による「3年ごとの検証の際」に政府で検討する旨の付則が盛り込まれた。3月に示した改正案の概要では、「速やか」に政府で検討するよう付則に記していた。「速やか」の文言を外すよう訴えていた、地域金融に詳しい議員らの要望が反映された格好だ。
上乗せ規制は、政府の間接的な関与が残る金融2社と民間金融機関との間で、…
【写真】郵政事業に関する特命委員会や金融調査会などの合同部会で、あいさつする森山裕特命委員長(5月9日、自民党内)
2025年5月16日号3面 地銀、外貨保険の業績評価変更、手数料重視から脱却
地方銀行は、2025年度に入ってから外貨建て保険販売の業績評価を相次ぎ変更している。金融庁が問題視する「プロダクトアウト型」営業から脱するため、銀行が保険会社から受け取る販売手数料をベースにした業績評価を変更したり、販売の数値目標自体を撤廃したりする事例もある。特定の商品に偏らないように、預かり資産関連の商品全般を一律の評価基準にするほか、評価の重点を販売額から預かり資産残高に移す銀行も出ている。
生命保険会社が外貨保険の手数料体系や目標値設定機能を見直したのが…
2025年5月16日号4面 肥後銀行、CO2算定ツールを他行へ、サステナ開示需要 見込む
【福岡】肥後銀行は、独自開発した二酸化炭素(CO2)排出量算定システムの他行提案を強めている。これまで主に取引先企業への導入を推進してきたが、金融機関に求められるサステナビリティ情報の開示に活用できる算定機能を4月に追加。サステナ情報開示では、3月に民間組織が開示基準を公表するなど金融界でも取り組みの加速が予想され、CO2排出量算定の需要を取り込む。
独自開発の「Zero‐Carbon―System(炭削くん)」は、企業が電気やエネルギーの使用量を…
2025年5月16日号6面 信金、カードローンが復調、業務軽量化の動きも
信用金庫のカードローン推進に復調の兆しが見えている。信金ギャランティの3月末のカードローン保証残高は1403億円。2期連続の増加で、増加幅も拡大した。増える預金調達コストへの対応などを背景に、銀行カードローン問題や新型コロナウイルス感染症拡大の影響で続いた低迷期から脱しようとしている。
信金ギャランティのカードローン保証残高は、2023年3月末に…
2025年5月16日号10面 改革の旗手チーム編 山梨中央銀行地方創生推進部
公金業務有料化を実現、妙案編み出し難交渉乗り切る
指定金融機関を務める地域銀行の多くで難航した税・公金収納業務と公金手数料の有料化。山梨中央銀行は、いち早く2023年4月に山梨県との間で納付書取扱手数料の徴求を開始し、2024年4月に県内全市町村に拡大した。公金振込手数料も2025年4月に全自治体での有料化を完了。交渉の先頭に立ったのが、2022年6月に設置された地方創生推進部の渡邊正雄部長と、銀行側の窓口となった同部公務推進室を率いる長田武生室長、古屋利行室長代理の3人だ。厳しい交渉を乗り越えるため、後に多くの金融機関が実施することになった収納事務処理の現場視察などの手法を編み出しただけでなく、自治体との新たな関係を築きあげた。
【写真】地方自治体との調整を担った(左から)地方創生推進部の渡邊正雄部長、公務推進室の長田武生室長、古屋利行室長代理(2025年3月31日、甲府市)
2025年5月16日号11面 損保ジャパン、企業風土改革1年、現場の声3000件、当事者意識根付く
「上意下達で現場の声をあげられない」「本社と現場で認識のズレが激しい」「言ってもムダ」――。中古車販売大手旧ビッグモーターでの保険金不正請求問題を誘発した企業文化・風土の悪弊を是正するため、損害保険ジャパンは、2024年度から自社のカルチャー変革に着手した。この1年の経過を振り返る。
変革への取り組みは、(1)対話(2)承認(3)学び(4)DEI(多様性・公平性・包摂性)の4本柱。その第一歩は…
【写真】石川耕治社長(右)を交えたタウンホールミーティング(2月13日、本社、損保ジャパン提供)
2025年5月16日号15面 金融庁、企業価値担保権で基本方針、債務者区分判定に影響も
金融庁は、「企業価値担保権」を設定した事業者の将来・定性情報を債務者区分の判定時に反映できるとの考え方を示した。同担保権付き融資では、1行取引を念頭に置いた緊密な関係をベースに、綿密なモニタリングや迅速な経営改善支援が可能になる。将来経営困難に至るリスクの低下により、貸倒引当金の算定に使う「予想損失率」が低くなれば、従来の債務者区分の判定にも影響を与える可能性がある。
■情報の反映手法が焦点
2026年春ごろに始まる企業価値担保権を活用した融資では…
2025年5月16日号18面 千葉信金千葉駅北口支店、訪問重ね高ロット案件、10億円の融資実行も
千葉信用金庫千葉駅北口支店(本間隆行支店長=職員14人うち渉外6人)は、小まめな事業者訪問で資金ニーズを把握し、不動産業者や自動車ディーラーから高ロットの融資案件を獲得。10億円の融資実行もあり、2024年度末の貸出金残高は前年度比16億円増加。貸出金利息や役務収益などの支店実収益は、2億9300万円で2024年度計画比4300万円上回った。
JR千葉駅前のオフィス街に立地。融資先は不動産業者を中心に小売業者や飲食店など約250社にのぼる。
本間隆行支店長は2023年4月の着任時…
【写真】建設中の収益物件を調査する営業チーフ(左)と本間隆行支店長(5月1日、千葉市)