2025年10月3日号2面 中企庁、補助金で企業成長後押し、1次公募207件採択
中小企業庁は、金融機関による事業者の成長支援を後押ししている。金融機関が認めた投資計画に補助金を出す「中小企業成長加速化補助金」の1次公募で207件を採択した。そのうち、地域銀行が支援した案件が全体の半数以上を占めた。同庁担当者は「直近の財務状況は悪いものの、事業者をよく知る地域金融機関だからこそ作ることができる投資計画が多かった」とし、採択後も各企業の成長に向けた支援の継続を求める。
6月に締め切った1次公募では、178金融機関が、延べ1082件の投資計画を認定。採択した207件のうち、地域銀行による案件は…
2025年10月3日号3面 三井住友信託銀行、自律的なキャリア形成、管理職を「選択制」に
三井住友信託銀行は、10月から始まった新人事制度において、管理職を選択制にした。キャリアの決定権を社員自身に渡すことで、部下を育てる意識などを醸成する狙い。勤務エリアや転勤の有無、希望する業務も選べる制度にして、社員一人一人が自律的なキャリアを組み立てられるようにする。(▼1面参照)
従来のキャリア形成は、社員の希望を踏まえたうえで、最終的には会社が決めていた。新人事制度では、…
2025年10月3日号4面 肥後銀行、ブルーカーボン波及へ、クレジット購入推進
肥後銀行は、ブルーカーボンから生み出される「Jブルークレジット」の購入を取引先に後押しする。同行は金融機関で初めて、主体的にブルークレジットの取得を実現。このクレジットを自然資本・生物多様性保全に関心の高い熊本県内企業に購入してもらい、さらなる意識醸成を狙う。足元では、クレジットの所有権を持つ芦北町漁業協同組合と約10社による売買契約につなげており、2026年中をめどに計20社程度との契約締結を見込む。
同行は熊本県立芦北高校、芦北町漁協、芦北町役場など6者で連携し、アマモ場の再生などを通じた…
2025年10月3日号5面 TSUBASA10年の軌跡(下)環境変化 真価試す連携
■活発な人材交流
「他行の文化や風土を肌で感じて」――。TSUBASAアライアンスは2022年8月、女性幹部候補層の育成を目的にクロスメンター制度を創設した。全10行から選んだメンター(役員)とメンティ(女性管理職)が、それぞれ他行同士で面談を通じて対話。自行の枠を超えて多様な視点や気づきを得られ、「良い刺激になった」との声が多い。
人材交流が活発なのは同アライアンスの大きな特色だ。経営人材を育てるための部長クラス向け…
【写真】クロスメンター研修に参加した10行のメンター(役員)とメンティ(8月1日、千葉銀提供)
2025年10月3日号6面 岐阜信金、信金初の「森林Jクレ」、3者連携し11月販売
【名古屋】岐阜信用金庫(岐阜市、好岡政宏理事長)は、11月にも森林を通じた脱炭素ビジネスを始める。南ひだ森林組合(岐阜県下呂市)、バイウィル(東京都)との3者連携で進めてきたJ‐クレジットの発行にめどがついた。全国の信金で初めての事業に挑む。
■初年度は4000トン発行
J‐クレジットは、国が認証した温室効果ガス(GHG)の削減・吸収量(クレジット)を売買…
2025年10月3日号8面 特集 新興未開地に種芽吹く、北陸・大学発の新産業を
【金沢】国内経済の成長エンジンとして期待がかかるスタートアップ。なかでも大学の研究成果を活用する「ディープテック」は参入障壁が高い分、成功すれば独自性と成長性を備える。しかし、ベンチャーキャピタル界隈(かいわい)から「未開の地」とささやかれてきた北陸では、長らく起業環境が整っていなかった。だが近年、大学や行政、金融機関、地域ベンチャーキャピタルの連携により、変化の兆しが生まれている。
■自動運転で世界挑戦
27年間にわたり自動運転技術を研究してきた金沢大学の菅沼直樹氏(工学博士)は、2024年にスタートアップ「ムービーズ」を設立。社員6人でロボタクシー(無人タクシー)の社会実装に挑む。同社の強みは…
2025年10月3日号15面 特集 広島銀行・玉島信金、「ノルマ廃止」定着へ、真の顧客本位めざす
【広島】「ノルマ廃止」――。中国地方では、広島銀行と玉島信用金庫(岡山県)が従来の営業方針を転換し数年がたった。真の「顧客本位の徹底」を掲げ、各営業店の自主性を重視。定量的な目標をなくし、定性面を評価する制度を導入した。営業店連携の活発化など成果をあげる一方、変化に伴う課題も見えてきた。内外での定着を目指し試行錯誤する姿を追った。
■目標設定は自主性重視
広島銀行は、本部から振り分けていた営業店別の数値目標を2023年度に廃止。各営業店が主体的に計画を立てるボトムアップ方式に転換した。玉島信金は協同組織の原点に立ち返り…
【写真】広島銀行では、個人顧客の資産運用担当者が地区を越えて集まり成功事例などを共有した(9月2日、広島銀行広島東支店)
2025年10月3日号18面 清水銀行東静岡支店、ソリューション営業で成果、訪問頻度を底上げ
【静岡】清水銀行東静岡支店(畔柳(くろやなぎ)直之支店長=行員11人うちマネーアドバイザー含む渉外担当者4人。パート4人)は、行員スケジュールの支店内共有を基本に行員の行動管理を徹底。業務効率化で訪問頻度を底上げし、デジタル化の促進や補助金申請支援、ソリューション営業などで成果を上げる。
畔柳直之支店長は、静岡市葵区、駿河区、清水区など約10キロメートル四方が営業エリアの同店に2023年5月、着任。清水銀行のパーパス(存在意義)「地域を愛し、お客さまの未来をともに考え、共創します」の具現化に向け…
【写真】進ちょく状況を共有する畔柳直之支店長(中央、8月27日、清水銀行東静岡支店会議室)