2025年1月24日号1面 地域金融機関、難度増す国債運用、利回り、上方シフト加速
- 経営
日本銀行が段階的利上げスタンスを継続するなか、債券運用の難易度が一段と増している。国内収益の割合が大手行に比べて高い地域金融機関では、投資妙味の増す国債運用への回帰が鮮明化。ただ、債券価格が幅広い年限で下がる利上げ局面では、含み損拡大によって財務に打撃を与えるリスクもはらむ。金利見通しの正確性や運用の機動力・柔軟性が求められる。
国債イールドカーブ(利回り曲線)は上方シフトが加速。…
日本銀行が段階的利上げスタンスを継続するなか、債券運用の難易度が一段と増している。国内収益の割合が大手行に比べて高い地域金融機関では、投資妙味の増す国債運用への回帰が鮮明化。ただ、債券価格が幅広い年限で下がる利上げ局面では、含み損拡大によって財務に打撃を与えるリスクもはらむ。金利見通しの正確性や運用の機動力・柔軟性が求められる。
国債イールドカーブ(利回り曲線)は上方シフトが加速。…
信用金庫の原点である「相互扶助」。各信金では、2030年のSDGs(持続可能な開発目標)の最終目標に向け、活動を強化。“誰一人取り残さない”持続可能な社会の実現に向け、その理念を経営にも浸透させる。また、SDGsを切り口に取引先企業の課題を発見し支援にもつなげている。ニッキンでは1月24日号から3号続けて全国の信金が取り組むSDGs活動を紹介する。
■北海道
釧路信金は脱炭素の国民運動「デコ活」で環境大臣賞を地元自治体と共同受賞した。
【写真】釧路信金と北海道釧路市、釧路町の3者共同での取り組みがアイデア部門で環境大臣賞を受賞(2024年7月23日、釧路信金提供)
経営者保証に依存しない融資が広がりを見せている。金融庁の調査によると、2024年4~9月期の銀行などの新規融資に占める保証なしの融資割合は52%となり、初めて50%を超えた。同庁などが22年12月に「経営者保証改革プログラム」を策定して以降、金融機関で「保証の必要性を改めて検討した結果、そこまで必要のないものに対しては保証を取らないという融資慣行が根付いてきた」(同庁関係者)ことが背景にある。
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同庁が、銀行・信用金庫・信用組合の計531機関を対象に調査…
大手信託2行は、不動産テック事業を手掛けるスタートアップへの同時出資を通じて協業体制を築き、商業用不動産市場が抱える共通課題の解決に乗り出す。分散的に存在する物件データや、形式が不ぞろいのレポーティング資料といった情報の“壁”を洗い出し、デジタル技術を活用したデータの構造化や利活用環境の向上を検討していく。
三菱UFJ信託銀行と三井住友信託銀行は1月8日、大手デベロッパー出身者らが設立した「estie(エスティ、東京都)」と資本提携した。出資額は非公表だが…
全国信用組合中央協会は3月1日、個別信組の職員が転居する場合などに転居先の地域にある信組への再就職を後押しする仕組みを始動する。名称は「しんくみ再就職支援ネットワーク」。人手不足が深刻化するなか、業界外への人材流出を防ぐのが狙いだ。利用者は自身のスキルやキャリアを継続でき、受け入れる側の信組にとっても即戦力を確保できるメリットがある。
対象者は、結婚や配偶者の転勤、介護などを理由に転居が必要な信組職員。すでに退職している元職員も…
ITリソースを攻めに
「中小企業を支える信用金庫だからこそ、きめ細かいサービス展開と生産性向上を確保したい」――。大手信金を中心に、基幹系やサブシステムの稼働環境を“クラウドファースト”にする動きが活発化している。水面下で議論を深める信金もあり、デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる。背景にあるのは、地域と共存共栄を深める変革への布石だ。
■創造的業務に注力へ
信金は、業界のシステム関連会社で扱うシステムを利用することが多く、フルクラウド化を個別信金単体で進めにくい特性がある。そんななか…
地域に溶け込み存在感
【広島】鳥取・島根県の県境の沖合約60キロに浮かぶ隠岐諸島。「島後(どうご)」と呼ばれる隠岐の島(隠岐の島町)と、島前(どうぜん)の西ノ島(西ノ島町)、中ノ島(海士町)、知夫里島(知夫村)の計四つの有人島を中心に独自の文化を築いてきた。山陰合同銀行は地域金融機関として唯一、3町に出店。隠岐の島町に店舗を構える島根銀行とともに地域になくてはならない存在だ。本土に比べて「ない」ものが多い離島だが、そのハンディキャップが行員のキャリアアップやデジタル化、地域の文化に飛び込む姿勢など新しいことに挑戦する礎になっている。
■古典相撲参戦で一体感
人口約1万3千人、隠岐諸島最大の隠岐の島。島根銀行西郷支店の森脇章次支店長(52)は2024年7月に着任。行員7人が本土から赴任する。島出身者が少ないこともあってか…
【写真】古典相撲の土俵入りに登場した島根銀行の行員。(左端から時計回り)森脇章次支店長、古屋和洋課長、森脇哲郎氏(2024年9月14日、島根銀行提供)
【高松】伊予銀行は、「汎用(はんよう)型能力インターンシップ」で採用を強化する。地域創生やグローバルビジネスなど、通常型インターンシップとは一線を画した幅広いテーマで実施。大学生の就職活動事情の変化で、約85%が参加を考えるなどインターンシップの重要性は増しているため、内容の多様化で人財獲得の間口を広げる。
インターンシップは、半日程度で銀行業務を学べる通常型に加え、…
【写真】デジタルインターンシップで練ったアイデアの発表会に向け練習する学生ら(24年12月27日、本店)
【広島】ひろぎんホールディングス(HD)は、障がいがある人に対する顧客対応力を高める。適切な配慮の提供やグループ全体のサービス向上などを目的として、グループ全社員を対象にeラーニングでの講習を実施。1月からは傘下の広島銀行の営業店に勤務する行員向けに、障がい対応の知識を学べて身体的な体験ができる「合理的配慮研修」を開く。
2024年4月に障害者差別解消法が改正され、障がい者に対して業務上必要な範囲で対応する「合理的配慮」を求めることが民間事業者にも義務化されたことで…
【写真】アイマスクをつけて階段を下りるなどの体験をする参加者(1月14日、ひろぎんキャリア共創センター)
【鹿児島】宮崎銀行谷頭支店(大平展生支店長=行員6人うち渉外3人)は、日本政策金融公庫宮崎支店との協調融資や本部の支援機能活用など、多方面から取引先運送業者の事業拡大を後押しする。「2024年問題」に揺れる運送業界だが、規模の大きい倉庫を新たに設けることで輸送効率と競争力を高め、さらに地域の物流効率化も狙うプロジェクトを伴走支援している。
桐原商事(宮崎県三股町)は「依頼があれば何でも運ぶ」を方針に掲げる、地元では準大手規模の運送業者。積極的に担当者と同行訪問する大平展生支店長が…
【写真】取引先で談笑する(左から)大平展生支店長、法人営業担当者、桐原剛社長(2024年12月10日、桐原商事)
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リスク相殺しリターン極大化へ |
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投信窓販優績者に聞く | 豊田信用金庫・細井 美緒さん 提案力の源は実体験 |
投信レビュー | 2024年12月 公募投信246兆円、2023年から2割超増加 「ニッキンONLINE」に掲載 |
インタビュー (4面) 「ニッキンONLINE」に掲載 |
小森 博史・静岡中央銀行社長 持続可能な取引拡大 |
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インサイト キーパーソンに聞く <147> (12面) |
八田 恭忠・ミロク情報サービス 執行役員DX事業戦略部副統括部門長 APIで金融サービス支援 |
ザ・フロント・バンカーズ(50)(18面) | 著:江波戸 哲夫氏 |
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