2025年5月30日号2面 地域銀行、「金融・保険業」融資増加、背景に仕組み貸出か
地域銀行で、「金融・保険業」の融資量が伸び続けている。ニッキンが2025年3月期の決算資料(97行)を集計したところ、同業の貸出金残高は前年同期比11%(約2兆円)増えていたことが分かった。増加に寄与したと推測されるのが、「仕組み貸出」だ。地元の貸出が伸び悩む一部の銀行が、収益多角化や貸出金残高の底上げを目的に増やしたもよう。他方、金融庁はこうした実態に警鐘を鳴らしており、今後は仕組み貸出の残高が減るとの見方が根強い。
地域銀の25年3月期の貸出金残高は全体で約323兆円。このうち、「金融・保険業」は…
2025年5月30日号3面 三井住友信託銀行など、PIF浸透へ共通KPI、実践ガイダンス初公表
三井住友信託銀行や静岡銀行などの有志団体「インパクト志向金融宣言」は5月30日、ポジティブ・インパクト・ファイナンス(PIF)の共通成果指標(KPI)を盛り込んだ実践ガイダンスを公表した。地域金融機関のすそ野拡大が狙い。先行金融機関や有識者が知見を持ち寄り、卸売業・小売業や製造業、食品加工製造業、建設業など8業種のインパクトを特定し、具体的な目標設定事例を提示した。
PIFは企業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクトを包括的に分析・評価し融資する…
2025年5月30日号4面 三菱UFJ信託銀行、共創型投資 収益源に、GX企業など40件
三菱UFJ信託銀行は、グリーントランスフォーメーション(GX)や社会課題の解決に資する共創型オープンイノベーションの取り組みを本格化している。2025年3月末時点の投資実績は約40件、累計では150億円超となり、投資枠をさらに数百億円まで広げた。資産金融や不動産、証券代行といった従来業務が成熟化するなか、法人マーケット部門の新たな収益源として期待する。
事業シナジー、新規の事業共創を目的とした成長企業投資枠を22年4月に創設。主にスタートアップに出資し、…
2025年5月30日号6面 信金中金が新中計、信金の経営基盤強化、業務120万時間削減
信金中央金庫は、3カ年(2025~27年度)の新中期経営計画「SCBストラテジー2025」を公表した。「信用金庫の経営基盤の強化」「地域の持続可能性の向上」「信金中金の成長」の3戦略を掲げた。財務目標として27年度に当期純利益450億円程度を目指す。
信金の経営基盤強化に向けては、業界全体で業務時間の120万時間削減を…
【写真】新中期経営計画を説明する柴田弘之理事長(5月20日、東京都中央区)
2025年5月30日号10面 Techで変える (2)
■ふくおかフィナンシャルグループ
相談相手は「AIユーモ」、新技術への抵抗なくす
【福岡】ふくおかフィナンシャルグループは2023年12月から、傘下の福岡銀行、十八親和銀行、熊本銀行などで生成AI(人工知能)チャット「AIユーモ」を展開する。文書作成やアイデア出しの“相談相手”として活用し業務効率化を目指しつつも、行員の「AIに触れる一歩目になること」が一番の狙いだ。親近感を出すため同FGのブランドキャラクター「ユーモ」を冠したほか、内製開発で使いやすさを追求する。
【写真】社用パソコンで手軽に利用できるAIユーモ(4月16日、ふくおかフィナンシャルグループ本社)
2025年5月30日号11面 野村証券、地銀連携 残高3兆円、アライアンス先6行に
野村証券は、地方銀行との間で進めているアライアンスの預かり資産残高が、提携当初から1.5倍超に成長した。2019~2023年に提携を始めた山陰合同銀行、阿波銀行、大分銀行、福井銀行の4行分で、最終合意時点のアライアンス残高を合算すると2兆円弱だったのが、2024年12月末時点で3兆円を突破。2025年に入り東邦銀行と提携開始し、百十四銀行とも2025年度中に最終合意する予定。今後も成長が加速しそうだ。
アライアンス残高は、提携地銀の残高と、同証券が提携地銀の主要営業地域で廃店した支店の残高の合計金額。野村証券は提携時に…
2025年5月30日号15面 地銀、法人ポータル役割再定義、経営者向け機能実装
地方銀行は、法人ポータルサイトの再定義に関心を強めている。主に取引企業の経理担当者が利用する傾向にある現状を打開し、取引先経営者にもアプローチしやすい機能やサービスを実装したい考え。法人取引先の経営課題抽出や融資機能などを同一プラットフォームで展開する準備を進める動きがある。2026年秋に中国銀行が提供を開始する予定で、事業者の業務効率化や利便性向上を目指す。
法人ポータルは、2022年ごろから地域銀行で導入が相次いだ。資金管理やインターネットバンキングとの連携などを実装しており…
2025年5月30日号18面 中国銀行大元支店、「交渉記録」共有し提案、顧客接点増やし成約へ
【広島】中国銀行大元支店(井上善裕支店長=行員11人うち営業担当者7人。パート5人、嘱託6人、派遣2人)は、個人客との接点を広げ、面談時のやりとりを「交渉記録」を通じて全員で共有。記録が起点となってニーズを掘り起こし、提案、成約へと結びつけている。相続関連の遺言信託・遺産整理業務では2023、2024年度と2年度連続で全店1位となった。
個人特化型としては同行で最大の店舗。井上善裕支店長は2022年10月に着任すると…
【写真】ウェルスコンシェルジュらと勉強会を開く井上善裕支店長(右、5月1日、中国銀行大元支店)