ニッキン・2025年4月4日号

主な記事

2025年4月4日号1面 2%への覚悟(上)債券全面安の試練に直面、切望した「金利ある世界」

  • 経営

 日本銀行が金融政策の正常化に舵(かじ)を切って1年がたった。「マイナス金利」解除とともに、短期金利の誘導を通じて物価や経済を操る「普通の金融政策」(植田和男総裁)に回帰し、1月には3年連続となる高水準の賃上げを見込んで二度目の追加利上げに踏み切った。金融界が切望してきた「金利ある世界」の色は濃くなり、先行して駆け上がる長期金利(10年国債利回り)は「2%」を視野に入れ始めた。半面、全面安に傾いた保有債券の含み損は急膨張。国内収益に頼る地域金融機関では、有価証券運用に頼らない経営モデル構築に向けた決断を迫られている。

■“備え”への甘さが露呈
 金利敏感セクターの代表格である不動産業。大手デベロッパーの首脳は、年率2%超のインフレ局面に…

2025年4月4日号2面 インタビュー 半沢・全銀協新会長、成長支え未来への礎 築く

  • インタビュー

 全国銀行協会の会長に4月1日、三菱UFJ銀行の半沢淳一頭取(60)が就任した。国内景気は拡大基調が続くが、不祥事が相次いだ金融界は信頼回復という課題も抱える。今後の協会運営方針や銀行経営を取り巻く環境などについて聞いた。

■縮小均衡脱し好循環を実現
 ――失われた30年と言われた日本経済の現状認識は。
 「縮小均衡から変わるためのいい流れができつつある。これをしっかりした動きに…

2025年4月4日号3面 金融庁、貸金庫不正防止へ指針改正、マネロン対策で現金除外

  • 法令制度政策

 金融庁は、大手行などで発生した貸金庫の窃盗事案を受け、監督指針を改正する。3月27日に公表した改正案では、マネーロンダリング・テロ資金供与対策(AML/CFT)の観点から、貸金庫規定の格納物の範囲に、現金を含む「リスクが高いと考えられる物品等」の除外などを監督上の着眼点に盛り込んだ。今回の改正により、金融機関には貸金庫規定の見直しや利用顧客への周知徹底が求められることになる。
 監督指針に貸金庫業務が明記されるのは初めて。顧客が貸金庫を契約・利用する際、…

2025年4月4日号4面 地銀 地域課題解決へ協業、県境またぎシナジー発揮

  • 地域貢献

 地域の課題解決に向け、地方銀行が県境をまたいで協業する動きが相次いでいる。静岡銀行、山梨中央銀行、八十二銀行は3月27日、包括業務提携を結び、「富士山・アルプスアライアンス」を発足した。ちゅうぎんフィナンシャルグループ(FG)とひろぎんホールディングス(HD)は同28日、「山陽地域のサステナビリティ推進に向けたパートナーシップ協定」を締結。異なる知見・人材を生かしてシナジーを発揮し、共通の目標である地元の持続的成長を目指す。
 同アライアンスは静岡・山梨・長野各県の人口の社会増が目標で、3行合算の収益効果は…

【写真】アライアンス締結の会見で握手する(左から)松下正樹・八十二銀頭取、八木・静岡銀頭取、古屋賀章・山梨中央銀頭取(3月27日、東京都)

2025年4月4日号5面 愛媛銀行、スマホ支店で地方創生、4者連携しプロジェクト

  • ネット・システム
  • 地域貢献

 【高松】愛媛銀行は、スマートフォン専用の「HandyBank支店」を通じた愛媛県の創生プロジェクトに乗り出した。セブン銀行や日本電気(NEC)、SBIネオファイナンシャルサービシーズとの協働で、4者が独自の強みを生かしながら愛媛をもり立てる仕組みを構築する。
 新たに開設したHandyBank支店は、「いつでも、だれでも、どこでも『スマホ×ATM』でアクセス」がコンセプト。3月24日から全国の…

【写真】手を携える西川頭取(左から2人目)とセブン銀の松橋正明社長(左から3人目)ら(3月24日、愛媛銀研修所)

2025年4月4日号8面 特集 地域金融の支援広がる、伝統工芸・再生へ挑む

  • 地域貢献
  • 特集

 人口流出や生活様式の変化など、地場産業を取り巻く環境は大きく変化している。一般財団法人伝統的工芸品産業振興協会によると、伝統工芸品の生産高は1983年が約5400億円だったのに対し、2024年は約1050億円と大幅減。産業存続には支援が不可欠だ。生産性向上や事業承継、販路開拓支援など、地場産業存続に取り組む地域金融機関3行庫に迫った。

 ■東濃信金、官民一丸で承継後押し
 【名古屋】後継者不足で廃業を希望する陶磁器関連会社は210社。岐阜県中小企業団体中央会が2024年11月に県内の陶磁器関連会社751社に行った調査で…

 【写真】イベントで陶磁器について話す東濃信金職員(左)と市原製陶の金津誉社長(3月15日、セラミックパークMINO)

2025年4月4日号10面 やさしいニュース解説 円建て保険 いま売れてるの?

  • 投信保険

 銀行窓販・円建て保険復権
 地域銀行の保険窓販の主力商品である「一時払い終身保険」で、円建て保険が存在感を増している。ニッキンの直近の調査では、2024年度上期は販売件数に占める割合が31%となり、2023年度下期に比べ11ポイント上昇した。日本銀行の利上げに伴い、生命保険各社が2024年に入ってから予定利率を相次ぎ引き上げて商品の魅力が増したことが大きい。以前は米ドル建ての利回りが高く、銀行窓販では外貨建て保険の人気がダントツだった。外貨建てに比べて極端に利回りが低かった円建て保険は影が薄くなり、2022年度下期は地方銀行で販売件数の1割まで落ち込んでいた。「金利ある世界」の復活は、保険販売にも地殻変動をもたらしている。

 ■金融政策が追い風に
 保障期間が長期にわたる商品を多く抱える生命保険会社は…

 【写真】円建て保険は為替リスクがなく販売しやすい

2025年4月4日号14面 新連載 企業価値担保権が創造する新たな中小企業金融の世界 (1)

  • 法令制度政策

 事業性融資推進法の理念と意図を理解する
 昨年6月に「事業性融資推進法」が公布され、「企業価値担保権」が創設されました。本法の施行まで残すところ1年余りです。本連載では、「企業価値担保権」が日本の中小企業金融をいかにして再生し得るのかを論考します。第1回は、「事業性融資推進法」の理念と意図について解説します。

2025年4月4日号16面 新連載 先輩の学び術ルーティンを盗め (1)清水銀行・松岡夏子さん

  • 人事施策

 弱点に照準・徹底復習
 【静岡】資格取得の勉強で得た知識を生かすため「お客さまとの接点を作る声かけを意識している」と話す清水銀行梅田町ブロックの松岡夏子さん(2020年入行、27歳)。ブロック内の梅田町・緑が丘・矢部支店で窓口テラー業務と預かり資産販売を担当。提案活動する日々だ。
 預かり資産担当になった3年目からFP2級の取得を志す。知識習得には…

 【写真】来店客への声かけを大事にし、提案につなげていく松岡夏子さん(3月13日、清水銀行梅田町支店)

2025年4月4日号18面 足利銀行太田支店、支店全員で「方針」策定、当事者意識持ち目標達成

  • 営業店

 足利銀行太田支店(田中徹支店長〈4月1日付で栃木支店長〉=行員24人うち取引先担当者10人)は、全員参加の会議で半期ごとの「支店経営方針」を策定、「法人貸出増強」などの項目について自分たちで成果指標(KPI)を定めている。全員が納得感を持ち、各項目の達成を目指す体制を構築。特に、取引先担当者は案件発掘会議をルーティン化、進捗(しんちょく)状況を共有し成果を上げている。
 同支店は、2023年度に始まった「支店経営方針」策定の試行店(2024年度下期から全店で策定)として半期ごと(2025年度から全期に変更)に…

 【写真】支店経営方針を話し合う行員(3月19日、足利銀行太田支店)

社説/ニッキン抄

学び (13面)

【Nikkin 金融講座】
私のターニングポイント(50) 城南信用金庫相談役・川本 恭治氏(下)
“仕事おこしフェア”実現、「出会いこそ財産」を実感
※「Nikkin 金融講座」は過去掲載分も含め、「ニッキンONLINE」でご覧になれます。

預かり資産 (14面)

夢育む資産形成コンサルタント
 財務諸表の基礎
資産運用における財務諸表の役割
投信窓販優績者に聞く 中国銀行・光吉 絢さん
対面から非対面に挑戦
不祥事どう防ぐ NEW!! 「不正起きない」の思い込みなくせ

レギュラー企画

寸言 座右の銘(1面)=加藤 広亮・スルガ銀行社長
東西ペンリレー 道徳銀行のルーツを誇りに(9面)=篠藤 愼一・埼玉りそな銀行取締役兼専務執行役員
ちょっと一言 「選ばれる町」めざす(9面)=鹿児島市長・下鶴 隆央さん
『初支店長 [894]』 やりがいのある職場に(18面)=大東銀行瀬上支店・本間 大輔氏
『スマイル』 専門性突き詰めたい(18面)=みずほ信託銀行・梶原智美さん

企画・特集・連載など

インタビュー(4面)
「ニッキンONLINE」に掲載
窪田 博・三菱UFJ信託銀行社長
新事業、10年後300億円
インサイト
 キーパーソンに聞く<156> (12面)
トヨクモ代表取締役社長・山本 裕次氏
災害時に確実な安否確認を
ザ・フロント・バンカーズ(60)(18面) 著:江波戸 哲夫氏

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