2020年10月30日号10・11面 特集 関東甲信越の金融機関、自然災害に備える
防災と事業継続へ本腰、台風教訓に浸水防止
全国各地で自然災害による甚大な被害が相次ぐなか、地域のインフラを担う金融機関にとって防災対策は重要な経営課題となる。特に関東やその周辺地域では2019年秋に襲来した台風15号・19号の風水害の教訓や首都直下型地震の想定などを踏まえた措置が急務だ。そこで、関東甲信越地区の地域銀行・信用金庫を対象に、業務継続計画(BCP)や防災設備・機能をめぐる動きと今後の課題を探った。
【写真】長野銀行の防災訓練(10月26日、長野銀行本店)
2020年10月30日号2面 政府、大手行人材を地方企業に、地域銀行通じマッチング
政府は2020年内に地方の中堅・中小企業に対し、大手行5グループの人材を引き合わせる支援に乗り出す。地域銀行などに人材リストを提供し、地元企業とマッチングさせる。経営者の右腕となれる人材や専門人材の確保を後押しし、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた企業の経営改善やM&A(合併・買収)などを通じた成長につなげる。
人材を供給するのは3メガバンクグループと、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス。金融庁の要請に応じ…
2020年10月30日号3面 地域銀行、広告媒体で取引先支援、電子看板や営業車活用
収益にも
地域銀行で、店頭のデジタルサイネージ(電子看板)や営業車を有料の広告媒体として提供する動きが相次いでいる。取引先の認知度向上や売り上げ増加を後押しするのが狙い。銀行は相応の利用料を設定し、収益を得られる。
静岡銀行は7月、国内全181カ店のロビーで取引先の広告放映を始めた。1枠90秒以内で提供し…
【写真】きらやか銀行は店頭の電子看板で取引先の広告を配信する(10月20日、仙台一番町支店)
2020年10月30日号5面 大手生保4社、投資先企業と対話加速、持続可能性へ重点
住友生命、社債購入先とも
大手生命保険会社4社はアフターコロナを見据え、投資先企業の持続可能性を重視した対話に取り組む。2019年(期間=19年7月~20年6月)に続き、気候変動リスクやESG(環境・社会・ガバナンス)への対応も重要テーマとするほか、住友生命保険は国内社債投資先との対話にも乗り出す。コロナ対策として、ウェブや電話会議など非対面の対話手法も取り入れる。
日本生命保険は、20年に約400社と対話する。市場データや競合他社の…
2020年10月30日号6面 北陸銀行、有償ビジネスマッチングが過去最高の558件、収益も2億円台に
コロナ需要捉え代替商材
【金沢】北陸銀行は、2020年度上期の有償ビジネスマッチング(BM)成約件数が558件と過去最高を記録し、手数料収益も2億円の大台を突破した。これまで順調にBM収益を伸ばしてきていたが、コロナ禍で戦略の見直しを迫られていた折に、素早くコロナ関連需要に対応し、小口の案件を積み上げたことが奏功した。
北陸銀のBM収益の4割(19年度下期)を占めていた航空会社や…
2020年10月30日号7面 地域銀行、「ワンタイムパス」導入広がる、口座連携時の本人確認で
不正出金受け対策厳格化
外部決済サービスとの口座連携時の本人確認に、ワンタイムパスワードを導入する地域銀行が増えている。ドコモ口座の不正出金問題を受け、キャッシュカードの暗証番号などと組み合わせて活用することで、セキュリティーを一段と強固にする狙いだ。ある地方銀行幹部は「事実上、導入が義務化された」と受け止める。
導入が相次ぐのは、顧客が届け出た電話番号にワンタイムパスワードを…
2020年10月30日号8面 信金、ネット支店新設減少、アプリ普及で役割見直し
狙いは預金からローンに
信用金庫の間で「インターネット支店」を設ける動きが鈍っている。本紙調査では、2017年度は5信金が新設したが、18、19年度は2信金ずつだった。20年度も、現在までに鹿児島信用金庫だけにとどまっている。スマートフォン向けアプリケーションなどが普及してきたため、「課題として検討しつつ、あえて作らなくても良いという考え方が広がっている」(信金業界関係者)。
ネット支店は、東海地区の8信金、近畿地区の7信金、東京都の3信金などが…
2020年10月30日号16面 インタビュー 中家・JA全中会長、対話なくして改革なし
7月にJA自己改革に関する組合員調査の最終結果を公表した全国農業協同組合中央会(JA全中)。8月に再選し、2期目を迎えた中家徹会長(70)に自己改革の今後やコロナ禍の課題を聞いた。
――2019年5月に自己改革の集中推進期間が終了した。
「不断の改革を続けていく。農政は農業の大規模化、競争に勝つとのイメージもあるが、…
2020年10月30日号20面 ワンチーム 若手の提案力磨く、愛媛銀行八幡浜支店
ネットワークをフル活用、成功体験生む環境整備
【高松】愛媛銀行八幡浜支店(仲本範之執行役員支店長=行員数17人うち女性5人。嘱託・パート5人)は、若手行員のフットワークの良さときめ細かい提案力を生かし、取引先の強みを引き出すし、ネットワークを生かすことで存在感アップを図る。若手行員には成功体験を積ませて自信をつけ、夢が持てる職場環境づくりも目指している。
仲本範之支店長は2月に着任。新型コロナ感染拡大の影響で、着任当初から取引先の資金繰り支援で奔走した。20代の営業担当者4人とともに…
【写真】取引先の技術力などの強みは日頃の訪問活動で把握。工場関係者から製品や品質管理について説明を聞く仲本範之支店長(右から2人目)と檜垣和宏主任(右、10月21日、仙味エキス)<写真撮影時にマスクを外していただきました>