ニッキン・2024年5月17日号

主な記事

2024年5月17日号1面 銀行界、超低利融資が減少の兆し 企業、長期・固定を選好

  • 融資

 拡大を続けていた大手行や地域銀行の超低利融資が頭を打ちそうだ。国内銀行の利率0.5%未満の貸出残高は、2月末で207兆円となり、前年同月比0.1%減少した。新型コロナ禍の関連融資増による反動減を除くと、15年ぶりの前年割れとなる。金利上昇を見据えた企業の「長期・固定金利」選好の強まりや、信用リスクに見合った貸出スプレッドの確保など、借り手・貸し手双方の行動変容が背景にある。
 10年を超える異次元金融緩和は、融資ボリュームの拡大と超低金利シフトを加速させた。日本銀行の統計によると…

2024年5月17日号10面 改革の旗手 松橋正明・セブン銀行社長、未来読みATM開発続ける

  • 経営
  • 特集

 日本一、ATMを知る銀行経営者と言って差し支えないだろう。受注企業の社員、出向、転籍、社長と立場は変わりながらも、2001年のアイワイバンク銀行(現セブン銀)開業前を含め、すべての同行ATM開発に関わり、現金をコンビニエンスストアで入手できる社会基盤を作り上げた。キャッシュレス化の波もあり、国内ではATM台数は減少傾向にあるが、「我々がやる限り、ATMは進化し続ける」とエンジニア出身の経営者らしく力強く語る。

 ■自由に作る面白さ
 子供のころから機械の構造に興味があり「いろんなものを分解していた」という。中学卒業後…

 【写真】松橋正明・セブン銀行社長

2024年5月17日号2面 環境省、地域銀行に新プログラム、自然情報分析を後押し

  • 法令制度政策

 環境省は、地域銀行などによる自然関連情報の分析を後押しするため、新たなパイロットプログラムを創設する。参加行は、投融資先のポートフォリオ分析とバリューチェーン分析を通じて、自然との接点やリスク、機会を把握・整理する。同省は、基礎的な分析手法を身に付けることで、将来的な自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言に沿った情報開示に生かしてもらいたい考え。
 新プログラムは、「金融機関のビジネスと自然資本の関連性を基礎的な分析により理解してもらう」(同省関係者)狙いがある。今回は…

2024年5月17日号3面 地銀協、「協会団信」へ移行促す、2023年度は4行で1兆円

  • 投信保険

 全国地方銀行協会は会員行に対し、住宅ローンの団体信用生命保険を同協会の商品へ移行するよう促している。共同事業として規模の拡大を図り、スケールメリットで会員行の団信保険料負担を減らすのが目的だ。2023年度は商品性や販売サポート体制が評価され、地銀4行が外資系生命保険会社などから契約を移行した。その4行の保険金残高は1兆500億円に上る。他にも関心を示している会員行があり、24年度も同程度の行数の移行を見込んでいる。
 地銀協の団信制度は1991年に開始され…

2024年5月17日号5面 伊予銀行、“稼げる一次産業”挑む、特異な支援策が地場支える

  • 取引先支援

 【高松】伊予銀行は、地方銀行でトップクラスの実績を誇る農業ファンドだけでなく、農業向けの有償コンサルティングといった特異な支援策を展開している。技術承継を望む新規就農者の支援策を確立するなど、大きな割合を占める一次産業の活性化を根底から支える。
 農業で最も難しい課題の一つが、生産量と品質の安定化。特に小売店は安定的な出荷量を求めるケースが多い。農業者1人では…

【写真】農水産業フォーラムで生産者と情報交換する石川課長代理(右から2人目、同行提供)

2024年5月17日号6面 信金、女性活躍状況が二極化、中長期的取り組み必要

  • 人事施策

 信用金庫における女性活躍の推進体制が二極化している。多様な業務を経験する「ジョブローテーション」などを通じて、女性職員による渉外活動が定着する信金は着実に増加。その一方で、男性管理職の意識改革の遅れなどにより、浸透が進んでいない信金も少なくないという。業界全体の女性職員比率が40%を超えるなか、中長期的な計画に基づいて組織風土の醸成を目指す経営が求められている。
 女性職員が5割以上を占める東海地区のある信金では…

2024年5月17日号16面 ほくほくFG、アルムナイの接点強化、ネットワーク登録250人に

  • 人事施策

 【金沢】ほくほくフィナンシャルグループ(FG)は、アルムナイ(卒業生)との接点を強化するため、ネットワークの整備を進めている。現役社員が退職者にアルムナイ採用制度を知らせたり、グループの情報発信を積極化。FG傘下の北陸銀行、北海道銀行で2023年8月に開設したアルムナイネットワークの登録者数は4月末時点で250人になった。
 アルムナイを含むキャリア人材の確保に向けて北陸銀は23年…

2024年5月17日号8面 特集 【検証】預金金利引き上げの裏側、改定作業に混乱も

  • 預金
  • 特集

 “追随率”が収益回復のカギ
 日本銀行のマイナス金利解除に伴って、民間金融機関の預金金利が再び動き始めた。3月21日に先陣を切って三菱UFJ銀行が17年ぶりとなる普通預金金利の引き上げに動いてから1カ月半が過ぎた。これまでに、地方銀行・第二地方銀行の全99行のうち東京スター銀行を除く98行が追随した。各金融機関が引き上げを検討する過程では他の金融機関の動きをにらみながら、発表や実施のタイミングを巡って、さまざまな駆け引きがあった。その裏側を検証し、今後の課題を探った。

 ■他行の動向見極め公表
 日銀がマイナス金利解除を公表した3月19日の夕方。三菱UFJ銀は年0.001%だった普通預金金利を…

2024年5月17日号8面 特集 静岡銀行、デジタルCIO実現へ、KPMGと実証実験

  • ネット・システム
  • 特集

 【静岡】最高情報責任者(CIO)をデジタルに置き換えることは出来ないか。静岡銀行が生成人工知能(AI)を活用した実証実験を展開中だ。インターネットの一般データに同行固有のシステム情報を掛け合わせて、最適なシステム導入と配置を瞬時に導き出す「デジタルCIO」実現へ、KPMGコンサルティングの支援を受けながら試行している。企画業務を生成AIが行う“擬人化”への取り組みは国内銀行では初の試み。
 企画したのは執行役員の鈴木統也CIO。背景には、業務の品質向上や効率化を目指してデジタルトランスフォーメーション(DX)の流れが加速するなか…

2024年5月17日号18面 北日本銀行都南支店・流通センター支店、課題解決型提案で成果

  • 営業店

 相続対策やマッチング
 【仙台】北日本銀行都南支店・流通センター支店(松本孝直支店長=<2カ店合算=行員22人うち渉外7人。パート3人>)は、課題解決型の提案セールスで成果をあげている。相続対策に悩む取引先には資産管理会社の設立や所有不動産の有効活用、新本社移転を検討する法人には不動産のビジネスマッチングなどを提案。課題解決に取り組み、資金需要を発掘している。
 「お客さまが何を望んでいるのか。そのために自分は何ができるのか」(松本支店長)と顧客に役立つ営業活動を基本方針に掲げる。幅広いニーズに応えるため…

 【写真】自動ドアの販売を行う岩手ナブコの坂本啓一社長(左)の経営相談にのる松本孝直支店長(右)と土屋麻子支店長代理(4月11日、岩手ナブコ本社)

社説/ニッキン抄

学び (13面)

【Nikkin 金融講座】
私のターニングポイント(6) 堤 裕倫・熊本第一信用金庫 理事審査第一部長兼代理業務部長(下)
グループ補助金で代表に、復興へ地域の一体感創出
※「Nikkin 金融講座」は過去掲載分も含め、「ニッキンONLINE」でご覧になれます。

預かり資産 (14面)

預かり資産営業の“お悩み”Q&A (18)
 「運用」へ二の足を踏む顧客
資産運用の必要性を正しく説明
投信窓販優績者に聞く 長野信用金庫・熊谷 友里さん
ライフプランに合わせ提案
推しファンド 三井住友DSアセットマネジメント
三井住友・配当フォーカスオープン
高水準の配当の継続が期待される銘柄を厳選

レギュラー企画

寸言 未来予想図(1面)=湯浅 徹・福邦銀行頭取
東西ペンリレー イノベーションの起こし方?(9面)=小池 広靖・野村アセットマネジメント社長
ちょっと一言 「夢のエネルギー」を開発(9面)=エクスフュージョン社長・松尾 一輝さん
『初支店長 [851]』 培った経験 伝えたい(18面)=肥後銀行小川支店・吹田 宏樹氏
『スマイル』 貪欲に学び良質な提案へ(18面)=石動信用金庫・高橋 晴世さん

企画・特集・連載など

伴走支援の現在地
 ~中小機構と組む~ [4](3面)
奈良中央信用金庫
地場産品を海外輸出
インタビュー(4面)
 「ニッキンONLINE」に掲載
坂本 俊宏・熊本銀行頭取
本部と現場 つながり深く
吉岡 佐和子・山陰合同銀行専務執行役員(5面)
 「ニッキンONLINE」に掲載
チャンス生かし恩返す
インサイト
 キーパーソンに聞く<117>(12面)
李 暻祚・バンクウェアジャパン代表取締役社長
ITが銀行競争力の根幹
インタビュー(15面)
 「ニッキンONLINE」に掲載
小森 美武・ラック金融犯罪対策センター長
検知システムが「防御の砦」
羽ばたく新人へ私の仕事秘話 [6](16面) 全東栄信用組合・秋元 佑己さん
まず、やってみる
ザ・フロント・バンカーズ(17)(18面) 著:江波戸 哲夫氏

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