2024年3月22日号2面 金融庁、次の照準は安定配当商品、仕組み貸出の増加も警戒
金融庁は、安定配当を得られる複雑な金融商品に投資する地域金融機関に忠告を発している。有価証券運用で「トータル・リターン・スワップ(TRS)」と呼ばれる取引を組み込んだ私募投資信託を保有するケースを確認しており、原資産である株式などの元本割れリスクの管理を徹底するよう求めている。リスク許容度に応じた運用先の選定を促す。
3月中旬に地域銀行の業界団体に考え方を示した。資産運用会社などへの聞き取りで…
2024年3月22日号3面 デジタル庁 公金受取口座、手数料固める 1件490円に引き上げ
デジタル庁が、公金受取口座の登録で金融機関へ支払う業務委託手数料を1件490円に固めたことがわかった。複数の関係者が明らかにした。当初は1件125円を提示していたが、地域銀行界などから「実際のコストと乖離(かいり)がある」との反発があった。ある関係者は「営業店の業務フローを丁寧に説明してきた成果だろう」と語った。
デジタル庁が、各金融団体などを通じて金額案を提示した。営業店の窓口で公金受取口座を登録する際に必要なコストを想定し…
2024年3月22日号4面 地域銀行、GHG算定・分析高度化へ、環境省が先行事例を横展開
地域銀行が、投融資先の温室効果ガス(GHG)排出量を示す「ファイナンスドエミッション」の算定・分析手法の高度化に動き出している。環境省の支援事業に参加した地域銀4行・グループが、トップダウン分析による算定や分析結果の精緻(せいち)化などに取り組み、ネットゼロ達成に向けた移行戦略の骨子策定やエンゲージメント(対話)方針を具体化した。同省は、先行事例の創出を通じて、他の金融機関にも横展開していきたい考え。
環境省による「金融機関向けポートフォリオ・カーボン分析支援事業」は、2023年度が3回目。参加したのは…
2024年3月22日号5面 常陽銀行 「おひとり高齢者」サポート、身元保証や後見、死後実務
トリニティ社などと協働で
常陽銀行は、独身や単身で頼れる家族などがいない高齢者向けの生活サポートを強化している。家族信託や相続手続き、財産管理などの支援サービスを扱う「トリニティ・テクノロジー」(東京都)などと連携し、身元保証や任意後見、葬式や遺品整理、遺言書などをカバーする同社のサービス「おひさぽ」の提供を推進。高齢「おひとりさま」を支える。
トリニティは2023年11月、任意後見を手がける一般社団法人「茨城ライフサポート協会」と業務提携。同協会と同行は既に連携しており、…
【写真】共同で初開催した「人生100年時代応援セミナー」(3月5日、常陽銀行平須リテールステーション)
2024年3月22日号8面 【実像】試される「新興」・育てる覚悟、資産運用業の構造改革へ
政府は「資産運用立国」を掲げ、資産運用業の高度化に本腰を入れる。業界の活性化に向けたカギは、国内外からの新興プレーヤーの参入促進だ。だが、年金基金などアセットオーナーが受託者責任を果たしつつ、新興運用業者を起用するハードルは高い。長年の業界構造の転換へ“地に足がついた改革”が求められる。
■盛り込まれた「EMP」
政府が2023年12月策定した「資産運用立国実現プラン」に「EMP」の文字が盛り込まれた。「エマージング・マネージャーズ・プログラム」の略語。アセットオーナーが…
【写真】政府は国内外の投資家などに向けて「資産運用立国実現プラン」をアピールする(写真は大和証券が3月に開催したイベントで岸田文雄首相が寄せたビデオメッセージ、ザ・プリンスパークタワー東京)
2024年3月22日号11面 大手生保、「ペアローン団信」相次ぐ、住宅ローン差別化へ
大手生命保険会社は7月以降、夫婦で住宅ローンを借りる「ペアローン」向けの連生団体信用生命保険の取り扱いを順次始める。ペアローンは、都市部の住宅価格上昇や共働き世帯の増加などから、若年層を中心に利用が増えている。
生保にとっては、金融機関との関係強化のほか、安定的な収益が獲得できる利点がある。一方、金融機関にとっては、…
2024年3月22日号16面 金融界、男性育休「1カ月の壁」挑む、同僚手当や奨励金で効果
金融界では、男性育児の休業取得期間で心理的ハードルとされる「1カ月の壁」を乗り越えようとする動きが目立っている。三井住友海上火災保険は2023年7月から、性別を問わず育休社員の同僚に一時金を支給する「育休職場応援手当」の運用開始以降、「男性も(周囲に気兼ねなく)3カ月取得してはどうか」との声も出ているという。野村証券は23年10月から、1カ月以上育休を取る社員に年額基本給の1割を支給する制度を開始した結果、導入後の男性育休取得率が6割に高まり、取得期間も伸びている。
金融界の男性育休取得率は他産業より高いが、…
2024年3月22日号18面 佐賀銀行麦野支店、不動産や人事コンサルに注力
手数料収入上期1000万円、迅速な協議・提案が奏功
【福岡】佐賀銀行麦野支店(松尾隆寛支店長=行員10人うち渉外7人。パート2人)は、企業の課題解決に向けたコンサルティングで存在感を発揮する。定例会議を排した迅速な提案活動を軸に、2023年度上期は不動産コンサルや人事制度作成コンサルで10件・約1千万円の手数料を獲得。預金と融資もバランスよく伸ばし、上期総合のブロック優秀賞に選ばれた。
同店は福岡市、大野城市が主なテリトリー。製造業や金属加工業、建設・不動産など約330社と取引する法人店舗だ。
2023年4月に着任した松尾隆寛支店長は、同行が中計で掲げる…
【写真】富永スチール工業の富永崇仁取締役工場長(左)と富永健治社長(同2人目)から説明を受ける担当者(同3人目)と松尾隆寛支店長(2月29日、富永スチール工業)