2024年12月13日号2面 銀行・信金、貸出金利 全業態で上昇、取引先“利上げ許容”
日本銀行の段階的な政策金利引き上げの影響が、幅広い金融機関の貸出金利に波及している。日銀が毎月公表している「貸出約定平均金利」統計によると、10月末のストック(残高)ベースの同金利が全業態(都市銀行・地域銀行・信用金庫)において上昇基調に転じた。これまでは横ばい傾向だった信金でも、ひもづく法人融資の割合が大きい短期プライムレートの引き上げ効果が鮮明になりつつある。
10月末の貸出残高における同金利は、都銀が…
2024年12月13日号3面 信金、「自然資本」保全に関心、信金中金が初の開示へ
信用金庫が、自然資本・生物多様性分野への関心を強めている。サステナブル領域に力を入れる一部の信金を中心に、取り組みの実践に向けた情報収集などを進める。業界全体で注目が高まるなか、信金中央金庫は2025年版の統合報告書で、同分野に影響する投融資の分析などを初めて開示する方針。ノウハウの蓄積に本腰を入れ、各信金への支援体制を強化する構えだ。
信金業界では気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)対応などが進みつつあるが、…
2024年12月13日号4面 山陰合同銀行、仕組み金融 年1000億円増へ、東京の専門人員増強
【広島】山陰合同銀行は東京市場を成長エンジンと位置付けて、ストラクチャードファイナンス(仕組み金融)部門を強化している。東京営業本部を10月に新設。役員を常駐させて東京でのプレゼンテーション力を高めた。同部門は年間1千億円ペースで拡大する方針を打ち出している。
東京では外国資本も参入して高層ビル建設など大型プロジェクトが増加している。メガバンクなどの組成する不動産ノンリコースローン、LBO(借入金を活用した買収)ファイナンスなどの一翼を担い…
【写真】東京営業本部内の連携を強化する景山常務執行役員(左から3人目、製粉会館ビル)
2024年12月13日号5面 大垣共立銀行、アプリ利用 活発化、AIで顧客行動分析
【名古屋】大垣共立銀行は、顧客の行動分析が可能なAI(人工知能)を活用し、スマートフォンアプリの利用を活発化させている。預金口座を確認するバンキングアプリの利用頻度の停滞に悩む地域銀行が多いなか、顧客データの分析で成果を上げる例は全国的にも珍しい。
同行は、「OKBアプリ」でシンガポールの銀行ベンダーであるマネーソーのシステムを活用している。2021年6月に…
【写真】銀行向け説明会でプレゼンする大垣共立銀の担当者(右奥、11月27日、OKB Harmony Plaza 名駅)
2024年12月13日号6面 信金、投信窓販システムに新機能、電子署名で業務効率化
信用金庫で、投資信託の対面販売手続きを簡素化できるシステム「しんきん預かり資産ナビ」に、電子署名の機能を追加する動きが広がそうだ。11月29日に同機能の追加が可能となり、すでに16信金が申し込みを完了。そのうちの多くが2024年度末から25年度初めにかけて、顧客向けに機能提供を始める。少額投資非課税制度(NISA)拡充で投信ニーズが高まり業務負担が増えるなか、事務を効率化する。
ナビでの投信口座開設や商品売買の際は、出力した紙に署名してもらっていたが…
2024年12月13日号16面 全労金2025年春闘方針案、「1人当たり」5%目安、賃上げへ基準統一
全国労働金庫労働組合連合会(全労金、14単組、組合員9千人、深見正弘委員長=東海労金労組)は、2025年春闘の賃上げ要求の方針案を固めた。正職員は1人当たり5%を目安にするなど要求水準は24年春闘と同様だが、「1人当たり」の文言を盛り込み、中高年層を含め全世代の賃上げに向け原資を確保したい考え。
11月29日に開催した中央委員会で方針案を提起し、取り扱いを確認。具体的には…
2024年12月13日号17面 地銀、高級ホテル誘致へ、経済波及効果狙う
地方銀行が、外資などによる高級宿泊施設「ラグジュアリーホテル」建設の誘致を進めているようだ。インバウンド(訪日外国人)富裕層やMICE(国際会議や展示場)の利用を見込み、地域振興につなげる。一部地銀では、ラグジュアリーホテルの食材や内装などに地元産品をマッチングさせて、経済波及効果を生んでいる。国内の軒数は世界と比較して少なく、今後増える見通しだ。
ラグジュアリーホテルは1泊当たりの客室単価が10万円以上で、ハイシーズンには20万円以上に上昇するケースも少なくない。外資系では米国のマリオット・インターナショナルやヒルトンなどが運営するラグジュアリーホテルが有名だ。各社が顧客を組織化していることが特徴で…
2024年12月13日号18面 肥後銀行北熊本支店、「金融のテーマパーク」に
独自イベントで価値向上
【福岡】肥後銀行北熊本支店(洲上敬介執行役員支店長兼北熊本ブロック長=行員32人うち渉外担当12人。パート・嘱託8人)は、店舗を「金融のテーマパーク」にすることを掲げ、全員が一体となって顧客価値の向上に注力する。スマートフォン相談会など、行員発案の独自イベントを積極的に開催。その結果、来店客が1日1千人を超え、行員のエンゲージメントも高まっている。
洲上敬介支店長は、2023年4月に着任。同地域は、高校や大学が複数ある文教エリア。また、台湾の半導体製造大手TSMC進出で活況を呈する。
2024年4月から、新たな中期経営計画が始動。そこで、洲上支店長は北熊本ブロック(7カ店)独自の…
【写真】さまざまなイベントを企画する担当者(左から4人目)や洲上敬介支店長(同5人目)ら(11月28日、肥後銀行北熊本支店)